年越しのイワシの梅しそはさみ焼きに辛口の多治見の酒三千盛
昨年の秋、同居人がネットで見たのか、TVの料理系番組を視ていたのか、突如、
「イワシの梅シソ巻きが食べたくなった!」
と言い出したことがあった。
彼女は即、近くのスーパー数軒に向かったのだが、
「おかしい! いつもあんなにイワシがある店にも置いていない!」
……そして、年を越した1月も下旬になってから、
「いいイワシがあった!」
と食卓に。
『巻き』ではなく、『はさみ焼き』に変わっていましたが、誤差範囲でしょう。
この間、この国の ── 近海に限るのかもしれないが ── イワシ君らに何かあったのだろうか?
イワシの漁法は巻き網が多いようだが、彼らに有能なリーダーが現れ、巻き網漁をかいくぐる方法を考案したとか、どこかにプランクトンの養殖場を作って回遊を止めたとか、何かドラスティックな変化が起こったのだろうか。
昨年の春だったか、北海道の浜にイワシの大群が押し寄せたニュースを何度か見たけれど、あれが何かの予兆だったのだろうか?
統計データを見てみることに。
まだ2024年下半期のデータはなかったけれど……
例年は秋から冬にかけてマイワシの漁獲量は徐々に減りはするのだけれど(上記点線)、2021-23の3年間は、11、12月とまったく獲れていないようである。
うーむ……温暖化のせいだろうか(近頃はなんでも……)
ま、ともかく、ここは冷酒でいただきましょう。
ちょうど数日前に買った『三千盛』があります。からくち純米大吟醸です。
三千盛は多治見の酒で、からくちで知られています。
永井龍雄がどこかの新聞にこの酒を《発見》したというような記事を書き、世間に知られるようになったようです。
私が呑み始めたのは、同じ業界で画期的な材料作製技術を考案した先輩技術者を、彼がリタイア後に住んでいる山荘に尋ねた時、ふるまっていただいた時でしょうか。
このため、個人的記憶庫の中で、この酒は敬愛すべき隠遁者と共に収納されています。
山奥で畑を耕しながら水彩画を描いている、ある種の天才技術者は今、どうしているだろうか……。
三千盛を吞むのはかなり久しぶりでしたが、ここ数年、出羽系のコクのある酒を吞みなれたせいか、この酒は、もちろん辛口だからなんだけれど、ややあっさりし過ぎている印象を受けました。
ひとの好みというのも、変わってくるものですね。