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「え、Ohtani? Tani に『Oh!』を付けただけさ!」

アメリカの大学院生時代、研究室の仲間には、
「Toshi」
と呼ばれていました。
ある日、同じオフィスの友人が、
「お前の名前だけど、『TOSHIBA(東芝)』と関係あるのか?」
と尋ねてきました。
── かなり『唐突感』がありましたが、
(……なるほど……アルファベットだけで表現する世界でそう思われるのも無理はないか)
「いや、まったく関係ない。意味が違う」
面倒なので、どう違うかは説明しなかったかもしれない。

それから時を経て、中国・杭州で開催された電子セラミックスの国際会議で招待講演をしたときのこと。
パワポのプレゼン資料の表紙に、いつものように、
『Toshihiko TANI』
と講演者名を書くその下に、あえて漢字で、
『谷 俊彦』
と書いておきました。
そして(英語で話しています) ──

「私の名前『Toshihiko』は漢字(Chinese Letter)ではこう表現します。漢字は現代中国と現代日本とで意味が異なる場合があります。
この漢字『俊彦』は、親が『Smart Boy』という意味で名付けました。『俊』が『Smart』、『彦』が『Boy/Prince』。
この会議の前に中国人の友人に意味を尋ねると、『俊』は中国語では『Handsome』、『彦』は『Face』だと言う。
『Smart Boy』と『Handsome Face』ならば、中国流の『Handsome Face』の方が好きだなあ(I prefer …)」

と、マクラで笑いをとってから講演を始めました。
(結果的にこの中国語訳は『彦』を『顔』と勘違いした友人の誤りで、『彦=才徳を備えた人』という意味らしい)。

名前を憶えてもらうために、この種のジョークはたいへん有効です。

MLBプレイオフ真っただ中の今、米国に住んでいたらこう尋ねられるかもしれません:
「Toshi、お前と Shohei Ohtani の Family Name は似ているけど、何か関係があるのか?」

こう応えましょうか:
「ああ、オレの『Tani』が本家で、ヤツの苗字はそれに『Oh!』って付けてやっただけさ!』

ところで、大谷翔平選手は、お父さんも岩手県出身のようです。『谷』の読み方は、東日本では『や』『やつ』のはずなので、『オータニ/Ohtani』という読み方には違和感があります。
そのさらに前の代に西日本から移転してこられたのか、あるいは本来の発音は『オーヤ/Ohya』(大谷おおや石で有名な宇都宮の『大谷(おおや)』地区など)だったのに、読み方を変えたのか、個人的にはたいへん興味があるところです。

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