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真実だけの世界・国内編(SS;2,800文字/エレクトロニック・ショート・ショート・カタログ)

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 予算委員会は無気味な沈黙に包まれていた。

 不安を感じながら開会を待っていたのは、1年生議員の私だけではないようだった。正面に並ぶ閣僚や政府委員の中には、顔色の悪い者が何人かいた。
 委員長の挨拶に続いて、野党委員が緊張した面もちで質問者席に立った。
「では、文部科学省から予算要求が出ている、財団法人教育制度研究センターの設立についてお聞きしたい。そもそもこの法人設立の目的は何ですか」
「文部科学次官」
 委員長の声に、政府高官が蒼い顔で立ち上がった。
「そ、それは……」
 テレビ中継の視聴者にも明らかにわかるほど、彼は震えていた。
「わ、我が国の産業界が構造的にかかえている問題を解決するため、独創性を伸ばす教育制度の確立が求められております。こ、この新しい法人は、既存の研究機関と連携し、初等教育から高等教育までの現行制度を一括して分析し、諸外国の制度と比較研究し、将来の望ましい制度改革へ大胆な提言を行うために設立するものであります」

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