今月の書籍:『お金の向こうに人がいる』
開催日:2024年3月22日金曜日 20:00~21:30
●お金の向こうに人がいる
著者:田内学
出版年:2021年
出版社:ダイヤモンド社
リンク:
▼▼▼各章の冒頭の14のQuestionとその答えが秀逸▼▼▼
、、、Q1~14は導入の部分に書かれていて、
これが本書の「内容の予告」のような形になっています。
「お金とは何か」ということに関して、
私達の多くは「勘違い」しているという前提で田内学さんは語ります。
田内さんはもともと、
ゴールドマンサックスでトレーダーをしていて、
国債などの金融商品を取り扱っていました。
そのキャリアの中で、
「何かがおかしい」と感じ始めます。
そして「お金についての知識を、
この国の偉い人も教育者も親も子どもも、
誰もちゃんと持ってないんじゃないか」
という危機感を抱き、
トレーダーをやめて、
「お金についての知識を啓発する仕事」を始めます。
現在では全国の学校で講演をしたり、
テレビやラジオに出演したり、
本を執筆したりしています。
私は因みに「ビデオニュース」という、
月に550円課金して見ているネット番組で、
田内学さんの存在を知り本書を手に取りました。
ちなみに田内さんの言う「お金の教育」とは、
国が今進めている、
「金融教育」「新NISAについて」「S&P500を買え!」
などとはまったく違う話です。
真逆と言っても良い。
そういった「勘違い」を正すことが、
この本の目的です。
ではそもそもお金は何のためにあるのか?
一緒に学んで生きましょう。
▼▼▼社会はあなたの財布の外側に広がっている▼▼▼
、、、「財布の中だけ見ていてもお金のことは分からない」。
と田内さんは言います。
「お金には価値がある」としか羅針盤には書いていません。
でも「財布の中」を凝視しても、
お金の本当の働きは分かりません。
「社会はお金の外に広がっている」のです。
この社会が社会であるために、
そしてみんなが幸せになるために、
人類は「お金」という大発明をしました。
ここから考えないと、お金のことは分かりません。
じゃあ、お金は何のため?
端的に言うと、
「人が人のために働く社会を実現するため」です。
田内さんはある「思考実験」を紹介しています。
引用します。
▼▼▼お金は「みんながみんなのために働く社会」をつくるという点において価値がある▼▼▼
、、、ほとんどのすべての国家で、
「納税」を仮想通貨で行うことや、
外貨で行うことが認められていない理由は、
近代的な貨幣はそもそも、「納税」のために創られた、
という田内さんの理論に照らすとその理由が分かります。
明治以降日本の「納税方法」が「円」のみになりました。
農家が大根で納税をできた江戸時代には起きなかったことが起きます。
農家は大根を売って「円」に替える必要がでてくるのです。
それまで農家の屋根を葺いてあげることで、
大根と米をもらっていた職人もまた政府に「円」を納める必要があるので、
屋根を葺いた「代金」を円としてもらう必要があります。
最初の「円」はまず、
農家が町で大根を売るところから始まり、
その円の一部は納税に、
一部は職人に払われます。
職人は手にした円の一部を納税し、
一部をまた別のサービスやモノの購入に使います。
そのサービス業者や販売者はまた円を手にします。
どうでしょう。
「円」と「納税」というシステムを導入すると、
農家と職人という「閉じた社会」が、
町と社会に開かれました。
それによって社会は複雑化し、
「分業」が起きます。
かくして各人は「円」を稼ぐために必死に働いた結果、
有名な「見えざる手」が働き、
気付けば社会全体が豊かになっています。
そう。
田内さんの思考実験は、
古典『国富論』でアダム・スミスが言ったことをなぞっているに過ぎません。
デイヴィッド・リカードの「比較優位」の概念もここから発展します。
注目すべきは「お金」自体ではありません。
逆に誰かがお金を貯め込むこと自体を目的とすると、
「誰かが誰かのために働く」という社会がそこで目詰まりを起こします。
日本の個人の金融資産(特に預金)が世界最高クラスなのに、
先進国で圧倒的に経済がうまくいってないのって、
そういうことですよね。
「社会の潤滑油」というお金の役割を忘れ、
一斗缶に油をため込むことが豊かさだと勘違いした人が増えたから、
日本の経済は不調を来しているのです。
話はまだまだ終わりません。
次週に続きます。
この本を今月の第四週の金曜日に学んでいきます。
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