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む 「武蔵野市」
武蔵野市に住んでいる。住民になってだいたい3年が経つ。東京都民になってからは17年が経つ。東京都にはいろんな自治体があって、それぞれに相当個性的だぞというのは、地方からはあまり見えない現実のような気がする。東京とひとくちに言っても、東京のどこなのかでその意味する所は相当異なる。同じ北海道でも札幌なのか網走なのかでまったく違うし、同じ大阪でも岸和田と梅田は全然違うように、東京の中でも地域のカラーというのがあり、それは相当に多様だということが分かってくる。東京を見る解像度が、17年も住んでいれば「東京にハマっていない」でおなじみの僕でもさすがに高くなってくるのだ。
まず、東側と西側は本当に違う。東京でアメリカ大統領選をしたら(言っている意味がまったく分からないが)東側は共和党が、西側は民主党が優位になる、多分。東側の東京はローカルで比較的保守的(それでも地方に比べたら拓けているが)、西側はグローバルで進歩的なのだ。じっさい国立や杉並や渋谷や世田谷など、パートナーシップ制度などにも積極的で多文化共生的で、日本で進歩的な自治をしている「左派」といわれる自治体はだいたい東京の西側に集中している。そして東京の西側には地方からの移民の第一世代や第二世代の「新住民」が多く、金持ちが多い(ただし僕を除く)。企業の正社員や銀行員や公務員や外資系社員が多く住む。中央区や港区や目黒区のように「過激な金持ち」はいないけれど、いわゆる「高収入世帯」が多く、子どもを私立の学校にやる親も多い。
東側はもっとローカルで、地元ヤンキーのネットワークなんかもあり、親同士が友達で子ども同士も友達、そしてみんな同じ小学校出身、みたいな状況が東側では生じうる。僕は根が田舎者だから、東側のほうが気持ちは落ち着く。人が多いのは変わらないけれど、なんか流れている空気がゆったりとしていて、垢抜けていないのが安心する。垢抜けているとソワソワするタイプなので二子玉とか目黒とか港区とか恵比寿にはなるべく近寄りたくない。武蔵野市はそこまで垢抜けてもおらず、でも基本的に新住民が多いという地域。東京のなかではわりと住みやすいのではないかと今のところ考えているが、東京の他の地域に引っ越すエネルギーがあるならもういっそ東京を脱出するほうを考えたいので、比較参照は難しいだろう。
結論:武蔵野市は悪くない。
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