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ら 「ラケット」


中学生時代の3年間、僕は卓球部に所属していた。倉敷市内の強豪校は格違いに強くて、個人戦で大会上位入賞したことはなかったけれど、僕は団体戦で1番手を任されるぐらいには倉敷南学校の中では強かった。今はほとんど絶滅したペンホルダー型ラケットの前陣速攻型のプレイスタイルで、打ち合いはけっこう得意だったし、手足がわりと長いので「これを拾うか!」というコースの決め球を逆にドライブで打ち返したときなどは本当に気持ちが良かった。松本大洋の「ピンポン」に出てくるペコは僕と同じペンホルダー型の前陣速攻で、裏面にもラバーを貼るという戦法以外はけっこう似ていたので、あのマンガ(および宮藤官九郎監督の映画)は僕にとって特別だ。もちろんあの作品はペコとスマイルの友情、いや「血のつながっていない兄弟」の物語であり、青春の物語なのだけど、卓球というスポーツを描いたスポ根マンガでもある。

さて。僕は当時、Butterflyというメーカーのラケットに、Butterflyのラバーを貼っていた。ほかにもTSPやNittakuというメーカーもあって、だいたいこの3つのメーカーのラケットとラバーの組み合わせで「マイラケット」を作る。卓球の用具というのはちょっと「クラフト感」があるのだ。そしてNittakuのスプレー(ヘアムースみたいな泡が出る)を卓球ラケットに塗って、スポンジで拭く。試合前にこれをやるとサーブやドライブ回転のキレが良くなる。あと、表ラバーと裏ラバーというのがあって、裏ラバーがつるつる、表ラバーがツブツブだ。「ツブ高(つぶだか)」というラバーは細いツブツブの表ラバーで、相手がこのラバーだとそれだけで「やりづらい」と思う。すべての回転を吸収するし、返ってくる球が無回転に近くてどういうバウンドをするかが読めない。

あと、ラケットのグリップの部分ってコルクでできていて、それを紙やすりで削り、自分の指の形にフィットするようにする。このようにクラフトしてラケットをつくると、当時で合計6000円とか8000円とかしたんじゃなかったかな。ラバーが2000円ぐらい、ラケットの部分が4000円~5000円という感じ。今は絶対技術革新が進んでいて、カーボンファイバーとか使われていてもっと高価格なんだろうな。あと、ペンホルダーの前陣速攻の選手なんて今はどこにもいないんだろうな。卓球は高齢者になっても続けられるスポーツでもあるので、いつか再開しようかな。でも今は筋トレがひたすら楽しすぎて他のスポーツに手を出そうという気にはならない。


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陣内俊
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