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【視聴率】に騙されるな
今週、ダウンタウンの松本さんがコア視聴率に触れていることがちょっとした話題になっている。
テレビ業界で働く人以外は分かりにくいと思うが、【視聴率】というと…昔は「その家庭がテレビを付けているかどうか」…要は見ている人がいるかいないかの「ゼロイチ」で判断されていた。
これがいわゆる「世帯視聴率」と呼ばれている視聴率だ。
ところが、近年は「テレビの前に誰がいるか?」というところもカウントされるようになっていて…。
そのデータを元に「コア」と呼ばれる(主に)49歳以下の年齢を対象とした視聴率を重視するようになってきたのがここ1〜2年の話。
最近、ゴールデンの時間帯に”お笑い番組”が増えているのはそのせいだ。
『有吉の壁』『クセがスゴいネタグランプリ』はじめ『お笑い実力刃』などなど。
世帯視聴率は低くてもいいから、コア層がテレビを見ればそれでいい
という考えにシフトしているため、若者が好みそうなお笑いネタ番組が増加。
3〜4年前まではとにかく「世帯」を取らないといけないから、「お笑い」という情報性がまるでない番組より「健康」「グルメ」「旅行」「ペット」…といった高齢者向けの内容に寄せまくっていた。
それにお笑い番組をやったところで、19時とかだと見てくれそうな若い人はテレビの前にいないもんなぁ(苦笑)。
となると、「世帯」を取るためには高齢者に刺さりまくりの情報満載でお届けしないといけないわけで。
だから『たけしの家庭の医学』みたいな健康情報番組や「熟女仲良し三人旅」みたいな企画ばかりがはびこった結果、ますます若い世代がテレビに寄り付かなくなる…という【負のスパイラル】、、いわゆる
若者のテレビ離れ
現象を起こしていたわけだ。
それじゃいかん…というか、高齢者にCMを見せたところで「老後は年金の他に2000万円が必要!」と言われている時代において、上の世代は余計なお金を使おうとはしなくなっている。
家・車・家族といった「安定」の要素を手に入れた50歳以上の世代は、もはや冒険をする必要も無いので無駄金はほぼ使わない。
なので(スポンサーの意向もあり)そうした視聴率の指標・基準が見直され、お金を使ってくれそうな若い世代(=コア)が見ているかどうかで判断しよう、となったわけで。
ただ!!
こたつライターを多く抱えるウェブ媒体は、ぶっちゃけ【コア】だろうが【世帯】だろうが視聴率そのものにまるで興味が無い。
彼らが興味あるのは「いかにアクセスしてもらえるか?」の一点のみ。
ゆえに!!
高視聴率を強調したい → 世帯
低視聴率を強調したい → コア
といった感じでデータの使い分けを行う。
例えば、ドラマ『半沢直樹』だったら数値が高く出る世帯視聴率を取り上げて「最終回が40%超え!」とした方がブームやセンセーショナル感を煽れる。
逆に『ポツンと一軒家』は若者が見てないのでコアを取り上げて「世帯は取っているけど、コアは取れていない」とオワコン感をアピールする。
そうした「ライターの悪意」がネット媒体を通じて”情報弱者”に届いてしまう結果に。
松本さんが問題視したのはソコで、閲覧者に「松本人志のコント番組が視聴率で惨敗!」のイメージを植え付けたいがゆえに、今回は世帯のデータを使い「裏番組に負けた!」「松本人志はオワコン!」感を出そうとしたのだ。
データを観察してみるとスポンサーの欲しがっているコアの視聴者が一番取れていたのは松本さんの出ていた番組。
しかし…
松本人志はやっぱり人気者だった!
それではアクセス数を稼げないがゆえ、コア視聴率が取れていることを伏せて世帯視聴率惨敗…というデータだけ見せた、、というのが今回の騒動の顛末かと。
テレビを持たない若い世代が増えているのは事実かもしれない。
が、世帯やコアなどの視聴率の指標も知らないまま「松本人志は数字が取れなくなってきたんだ…オワコンか!」と騙される読み手にも問題がある思うんだよね。
情報をそのまま受け取る「THE 情報弱者」になるのではなく、キチンと自分で判断できる指標のデータを持っていて欲しいな…と思う。