「とりビー」時代の終焉 #240
テレビやラジオなどの企画を考えたり台本を書いたりする放送作家が、日常の思いつきや体験などを綴るエッセイ風note。
「とりあえず(人数分の)ビールで!」
平成中期ぐらいまでの飲み会では、ファーストドリンクを頼む時に「とりビーでいい?」と最初の一杯をビールから始めるのが、一般的な宴会のスタイルだった気がする。
「最初はビール!」
とりあえず一秒でも早く酒を飲みたい…。
全員の注文を確認している時間がもったいない!!
ビールで乾杯した後、2杯目以降は好きなの頼んでいいから、まずは人数分のビールを注文して乾杯しよう!
そんな思いが「とりビー」という言葉に現れているし、その「とりビー」の風潮を断れなかった時代でもあったと推察。
そして、宴会場となる居酒屋も「とりあえず和民」が当たり前だった気がする。
なぜ「和民」だったか?
・たいていの駅前にあるw
・飲み放題がある(財布に優しい)
・一品が安い(財布に優しい)
・”激ウマ”ではないが”激マズ”でもない「平均点」をクリアしている
・サラダから揚げ物、ご飯モノまで、一通り揃っている
・予約無しで行っても大箱なので(華金でなければ)ほぼ入れる
といった理由からだろう(笑)。
「和民」のほか「白木屋」「魚民」「つぼ八」といった激安チェーン居酒屋の全盛期だったな…あの頃は。
平成後期から現在にかけ、この「とりあえず〜」という風潮が無くなったのって…おそらく『食べログ』と『インスタグラム』が原因じゃないかと個人的に思っている。
まず『食べログ』が普及したことで、最寄り駅でお店の”検索”が出来るようになり「地元にこんなに居酒屋あったの!?」「こんな穴場の店、知らなかった!」となって…。
それまで「知る人ぞ知るお店」だったり「東京ウォーカーといった情報誌を買わないと知ることが出来なかったお店」の情報が、インターネットの普及により【情報弱者層】の目にも届くようになったのだ。
その検索結果の中には、「和民」より安くて美味しい焼き鳥を1本から焼いてくれるお店や、値段は少々上がるもののこだわりの絶品グルメが食べられるお店があったりもしただろう。
お酒の種類も、焼酎が数多く揃っているとか…「こだわり」で選べるようになっていった。
そして、ぶっちゃけ「和民」の料理じゃ…インスタ映えしない(苦笑)。
ちょっと値段が高くとも、個性的な料理…つまり「フォロワーからたくさんイイねがもらえるお店」へ行く風潮になったのではないかと。
加えて、「アルコールハラスメント」といった部下(年下)へ飲酒を強制できない時代の流れが「とりビー」という文化を無くしたんじゃないかな〜。
飲めなくても…口をつけるだけでもいいから「一杯目はビールで!」という流れが徐々に、そして確実に無くなっていった。
もしかして「とりビー」の文化が無くなったことで【若者のビール離れ】と言われるようになったのかもしれない。
ビールの美味しさに目覚める前に、チューハイだったりサワー系の甘さにハマってしまっていう(苦笑)。
ちなみに…。
若者ではない【中年のビール離れ】が起きているのは、プリン体による尿酸値の上昇が怖いためだと思っている(爆)。
俺も”ソレ”が理由でビールを飲まなくなった一人なので。
昭和の時代は「プリン体」なんて言葉、そもそもあまり知られていなかったんじゃないかな?
まさかソレが痛風になる要因の1つだとはね…。
20代の頃は「とりビー」じゃなく「むしろビール!」だったので。
今は、ほぼハイボール一択。
「とりハイで!」である。