マユラと云う男
私の山に"マユラ"と云う男が居る。
スリランカ人だ。
クルマ一台がスレスレで走る我が山道で対向車として出会った。
軽トラを乗るマユラが坂道をバックで戻るのだが、パワーが足らず上がれない為、前から押してやったのが出会い。
(どんな道に住んでんねん!だが)
その後、何かと気にかけてくれて未だに引っ越し当初にマユラが持ってきてくれた庭道具を使わせてもらってる。
友達が来た時は、「顔出すよ〜」と忙しい中挨拶に来てくれる。
天然ハーブやシードを使ったスリランカ料理を食わせてくれたり。
ハーブや、アーユルヴェーダを教えてくれたり。
祖国で教育番組を作っていたマユラは長引く内戦から日本へ逃げてきた。
老人が多く住む我が山はマユラがカブで皆んなのゴミを集めて山の下のゴミ収集まで運ぶ。
住職もいない廃寺の管理は誰に言われたでもなく、マユラがしてるのを聞いた。
マユラは飲食店を経営しながら、解体屋の手伝いに行き、リサイクルショップを経営して、市場の人出が足りないからと手伝いに行き。最近山の下で破格で野菜を売り始めた。
マユラは1日2時間しか寝ない。
シングルファザーのマユラは1日2回家に戻り、息子にご飯を作り一緒に食べて、また仕事に戻る。
何かしらの仕事に向かう。
手が空いたら、近所のフィリピン人のシングルマザーが車を持ってないからと一緒に車で買い物に付き合う。
さっき下で会ったら、町内会長と定食屋のオヤジと喋ってたから寄せてもらった。
町のことなら、大概知ってるマユラ。
「リサイクルショップの看板描いて欲しい」と訪ねてきた。
3Dで描いて欲しいと、こだわりのオーダーして来たから、フリーハンドで描いてやった。笑
マユラと云う男。
彼が居れば、世界は平和になる。
マユラと云う男。
人の為に生きる。
外国人が多い私たちの町。気軽にリラックスできる場所を作りたいって。
次は、今からポートピアの倉庫でバンドが音出せるカフェを作るんだ。
車も入れない山道だらけの私の町は皆年寄りも歩いて登ってくる。「トゥクトゥクで山の上まで運んであげるタクシーするから、奥さん運転しない?」と妻に白羽の矢もたっている。
マユラは忙しい。
マユラを頼る人も多い。
忙しいマユラを助ける人も多い。
私も、マユラを助けたいと思っている。
マユラは引っ越して来て初めての友達だ。
マユラと云う男。
彼と出会えたことは、私にとって大きな財産だ。