
華
煙草をふかしながら変わりない景色に目をやる
愛煙はピース
亡くなった祖父の味がする
都会であっても、此処には何も無い
昔から花は好きじゃない
季節毎に自然の中で過ごす時間は幸せであったが、
私の中で花は死を連想させるからだ
昼下がりの太陽は暖かい
頭がふわりとして、眠気を誘う
外では次々と人が落ちて行く
時の流れが緩やかになり、
その都度影が私を隠す
女性達の顔は見えずとも、
一人一人恨みを持ち、その感情を潰して行く
私はその光景を煙と共に味わう
ここに非日常は存在しない
また次から次へと、彼女達は落ちて行く
静寂の中、とても心地良い
窓の下では、
彼女達が柘榴の様な赤い華を咲かせているであろう
私はまた煙草に火をつける
半透明の煙に影が重なる
心の中で渦巻く感情を一つ一つ抱え、
私はまた落ちて行く
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