積木を積み上げること
弊社は投資もコンサルティングも基本的には全てプロジェクトワークであり、ゼロからイチを目指すものが大半を占める。
様々な企業、個人の課題から産業課題まで扱うが、昨年から取り組んでいる某産業変革プロジェクトはとにかく学ぶ事が大きい。
ルールメイキングも絡むこのプロジェクトには多くのステークホルダーの巻き込みが必要で、かつそうしたステークホルダーの多様性が足りてないことが課題の一つでもあった。
いざ着手してみると、声を上げたり口を出して来る人は多いが手足を動かせる人が極端に少ない。様々な産業やプロジェクトを横串で少なからず見ている私としてもその少なさも大きな課題になっている。
ゼロ、むしろマイナスの状態からあるべきゴール、理想像を掲げて関係者を巻き込んでいく。積み木で言えば一つずつ、少しずつ積み上げていく状態だ。自分たちも手足を動かす。ここに近道はない。ちょっとしたレシピや地図があって遠回りすることを多少避けることはできるかもしれないが、ショートカットはほとんど無い。
衝撃的だったのは積み上げた積木を横から壊す人物の存在だ。積木を一つずつ積み上げることもできず、積み上がってきた積木をただ壊すだけ。完全に赤ちゃんの状態。ちょうど私自身小さな子供がいて日々その成長を目の当たりにしているので、思う事、考える事が多かった。
改革や変革にはこうした人物や組織、反対勢力との対峙が必要になってくるのだろう。
先日とある政治家の方と話していた時。「真の課題解決力とは経歴や価値観が全く異なるような多様性の中、あるいはアウェイな状況ででこそ発揮されるべきもので、政治家の方はまさにその典型でとにかく凄いと思う」という事を伝えたら深く共感されていた。
起業家、大手企業、官僚、政治家、弁護士、業界団体。ステークホルダーとしての多様性があっても、所属組織が異なるだけで出自がほとんど同じ人間達の中でのルールメイキングや調整を多少なりともやっていた身としては、それは単に自身の能力ではなく周囲の理解力や価値観の受け入れ、共有なのだなと。
積木を積み上げるのはプロジェクト毎に難易度が異なる。積み上げることで誰かの積木を奪うことになるなら当然反発がある。経済合理性なく積木を壊して来る人がいる場合もある。積み上げる土台が不安定、あるいは全くない状態で土台、土壌から整備が必要な場合もある。
少しずつ積み木のタイプがわかるようにはなってきたが、産業を創る、を目標に世の中に貢献できる積木プロジェクトを増やしていきたいところである。