子どもが音楽を好きになるカギは「楽曲アレンジ」にある!
みなさん、こんにちは!しゅんべです。
54歳で中学校音楽教員を
早期退職した編曲家です。
えっ!もう退職したの?
とツッコミたくなるかもしれませんが、
大丈夫です!
退職しても音楽教育には
ずっと関わっていくつもりですよ!!
僕は中学校の音楽教員として32年間、
教職の仕事をしてきました。
また、ここ数年間は中学校に加え、
小学校でも授業を行っていました。
これまで音楽教員を続けてきたのは、
「一人でも多くの子どもたちに
音楽を好きになってほしい」
という願いがずっと胸の中にあったからです。
これは、僕が教員になる前から
ずっと変わらない信念でもあります。
しかし現実には、
子どもたちの中には
音楽が好きでない子も少なからずいます。
そういう子たちにも、
少しでも音楽を好きになってもらうには
どうすればいいかを考え、
様々な工夫と努力を重ねてきました。
その工夫と努力のうちの一つが
「楽曲アレンジ」です。
「子どもたちに歌わせたり、
演奏させたりしたい曲があるけれど、
楽譜が見つからない・・・」
「楽譜があっても
子どもたちのレベルに合っていないから、
楽しく歌えそうにない・・・」
今はネットで
手軽に様々な楽譜が買える時代ですが、
それでも学校ではこんなことがよくありますね。
この悩みを解決するために、
僕は様々な「楽曲アレンジ」に
取り組んできました。
そして、子どもたちが楽しく歌ったり
演奏したりできるようになり、
音楽を好きになっていく姿を
見ることができるようになりました。
「楽曲アレンジ」によって
上手くいった例をいくつか挙げてみましょう。
例1)校内合唱コンクールで
「生徒たちがこの歌を歌いたい」
と希望しているけれど、
楽譜がなくて困っているという学級担任に、
生徒の希望する曲をアレンジした。
👉生徒たちの歌へのモチベーションが上がり、
感動的な合唱をして、
優秀賞をとることができた。
例2)吹奏楽部の人数が少なくて、
少人数用の楽譜がなかったので、
オーケストラの曲を吹奏楽用にアレンジして、
吹奏楽コンクールに出場した。
👉一人ひとりに責任感が生まれ、
意欲的に練習に取り組み、
コンクールでも予想以上の成果を出せた。
例3)ある小学校から、
音楽会で子どもに歌わせたい曲があるけど、
市販の楽譜が難しいので、
アレンジしてほしいとの依頼があった。
その学校の子どもの実態をよく聞いたうえで、
実態に合ったアレンジをして練習してもらった。
👉子どもたちが熱心に練習に取り組んで、
音楽会で感動的な合唱をすることができた。
例4)音楽会で小学生と中学生が
一緒に歌うことになったけれど、
小学生と中学生両方で歌える楽譜が売っていない。
そこで、小学生の技能と中学生の技能を考えて、
どちらにも親しめる曲を選曲・アレンジした。
👉中学生が小学生と協力して
自分たちで音楽をやろうという雰囲気が芽生え
小学生と中学生の絆が深まった。
この他にも例を挙げればキリがないのですが、
「楽曲アレンジ」によって、
子どもたちが音楽を好きになったというのは、
間違いない事実なのです!!
そこで、他の音楽の先生方にも
「楽曲アレンジ」によって、
子どもたちが音楽を好きになる
きっかけをつくることができる」
ということをお伝えしたいと考え、
その方法を記事にまとめることにしました。
この記事では、子どもたちのために
「楽曲アレンジ」をすることによって、
どんなメリットがあるのか、
どうやって「楽曲アレンジ」をしていけば
よいのかをお伝えしていきます。
そもそも「楽曲アレンジ」って何?
ある楽曲のメインメロディを作ることを
「作曲」と言います。
それを演奏するために「作り変える」のが
「楽曲アレンジ(編曲)」です。
「楽曲アレンジ」によって
その曲は魅力あるものにもなるし、
逆の場合もあります。
「楽曲アレンジ」の形は、
次のように大きく2つに分けられます。
1.その曲で、主旋律以外の音を作ること
ポップスを例にあげると、
メインとなるボーカルの歌
=主旋律が先に「作曲」され、
その裏で鳴るギターやキーボード、
ドラムスやパーカッション、
ベースなどの楽器をつけるのが
「楽曲アレンジ(編曲)」となります。
2.もとの曲を、実際の楽器編成などに
応じて「作り変える」こと
例えば、
Jpopシンガーのために作られた曲を
合唱で演奏できるように「作り変える」
ことも「楽曲アレンジ」です。
Jpopシンガーと合唱では演奏者が違い、
演奏したときの雰囲気も全く変わりますが、
同じ曲には変わりありませんよね。
つまり、Jpopだからといって、
Jpopシンガーになる必要はなく、
自分の得意なジャンルで曲を演奏することが
できるのです。
この記事で取り上げる「楽曲アレンジ」は、
主に「2」のほうにあてはまります。
それでは、学校の子どもたちにとって、
「楽曲アレンジ」をすることが
どういうことなのかを
掘り下げていきましょう!!
【目次】
1.楽曲アレンジのメリット
2.楽曲アレンジしないことのデメリット
3.楽曲アレンジの超簡単な方法
1.楽曲アレンジのメリット
「次の時間、音楽じゃん!」
と子どもの笑顔がはじける。
そんな音楽できてますか?
先生方に下記のような悩みを
お持ちの方はいらっしゃいませんか?
●子どもたちに演奏させたい曲があるけど、
楽譜が市販されていなくて手に入らない!
●教科書や市販の楽譜はあるけど、
子どもたちには難しすぎる!
これを解決するのが「楽曲アレンジ」です。
ただし
上記のようなお悩みをお持ちでない方は、
ここから先を読む必要はありません。
興味のある方は先を読み進めてくださいね。
では「楽曲アレンジ」をすることに
どんなメリットがあるのでしょうか?
ここで「楽曲アレンジ」をする目的は、
子どもたちがその曲を
より高いパフォーマンスで
演奏できるようになること。
楽しい
👇
高いパフォーマンスで演奏できるようになる
👇
自分たちの演奏に大きく満足
👇
聴いてくれた周りの人たちも感動
👇
子どもたちを心から褒める
👇
子どもたちの自己肯定感が上がる
👇
音楽を好きになる
👇
さらに音楽をやりたくなる
これは音楽の先生にとって、
何よりも嬉しいことですよね。
また、先生目線だと
次のようなメリットもあります
子どもたちが素敵な演奏をする
👇
聴いた保護者から「できる先生」と思われる
👇
周囲の先生からの評価や信頼度も高くなる
こうなるには、
実は「楽曲アレンジ」が
大きなカギを握っているのです。
2.楽曲アレンジをしないことのデメリット
あなたの授業、子どもは笑顔?
教師のエゴで歌わせ続けた音楽の末路。
ここでは合唱の例を挙げてみましょう。
教科書にある曲でも、
子どもたちにとって難しい曲はわりとあります。
中には合唱部員ぐらいでないと
歌えない曲なんてのもありますね。
そういう曲は
大人から見れば確かに魅力的ですが、
子どもの目線だと「難しい」の一言に尽きます。
歌の得意な子であれば
楽しく歌えるかもしれませんが、
苦手な子にとっては
「苦痛」以外の何物でもありません。
「音楽」が「音が苦」になっちゃいますね。
【歌の得意な子】
👇
「この歌楽しい!
でも、あの子たち何でまじめに歌わないの?」
【歌の苦手な子】
👇
「歌っててもわけわからんし、つまらない。
こんな曲マジ歌いたくない」
こうなると、
音楽の好きな子と嫌いな子が二極化する
👇
クラスの雰囲気が悪くなる
👇
先生の言うことを聞かない子が出てくる
👇
周囲の先生から
「あの先生は指導力がちょっと・・・」
なんて思われたりする
👇
保護者から
「あの先生の授業はつまらない」と思われる
これはもう音楽の先生にとって致命的ですよね。
難しすぎる曲は、
そのままのアレンジだと、
リスクになってしまうのです。
そうは言っても、
「この曲はちょっと難しいけど、
そこを乗り越えれば、
感動的な音楽になるんだ。
絶対に歌わせたい!」
なんて思う先生もいらっしゃることでしょう。
そういうときに必要なのが
「楽曲アレンジ」なのです。
でも、実際のところ
●音楽の理論なんてよく分からないし、
自分でアレンジなんて無理
●そんなことやってる時間がない
とお考えの先生もいらっしゃるかもしれません。
そこで
次は「楽曲アレンジの超簡単な方法」
について触れてみましょう。
3.楽曲アレンジの超簡単な方法
ここでは
「記念日~希望のバトン~」
(里乃塚玲央 作詞、西澤健治 作曲)を例に挙げ
楽曲アレンジの超簡単な方法について
お伝えしましょう。
この曲は卒業式などでよく歌われますね!
まず前提として
「作曲者の意図を尊重すること」が大切です。
作曲者は歌詞の内容や旋律、
ハーモニーの響きなどを
総合的にイメージした上で曲を作っています。
なので、安易に音を変えるということは、
作曲者への冒とくにもなりかねないので、
オススメしません。
しかし、教育現場では
いろいろなケースが起こりますから、
事情があって音を変えることが
やむを得ない場合もあります。
ここでは
「楽譜どおりに演奏することが
難しい場合にどうすればよいか」
ということをお伝えしていきますので、
その点はしっかりと押さえておいてくださいね。
この曲は混声三部合唱で作られています。
斉唱で歌う部分、
混声二部合唱で歌う部分もあり、
それほど難しい曲ではありません。
ただし
大ざっぱに言うと、混声三部合唱で
最も苦労するパートは大抵「アルト」。
なぜなら「アルト」は
「ソプラノ」と「男声」の
中間の音域を歌うので、
「自分よりも高い音と低い音を
両方聴きながら歌わないといけない」
という大変さがあるからです。
また「アルト」は主旋律でない音を歌う
ことが多いですね。
音程を取ることが難しい子にとって、
つまらない旋律を
正確に歌うのは結構シビアなんですね。
そこで
この曲の「アルト」の子たちが
音程を取りづらい場合どうすればよいか、
一例を考えてみましょう!
赤線①の部分は少しだけ
「ソプラノ」とのハモリがあります。
三度でハモるって割と難しいのですが、
このくらいなら楽譜どおりに
歌ってもよいかもしれませんね。
でも、赤線②の部分はどうでしょうか?
「ソプラノ」と三度のハモリがたくさんあり、
「男声」にもはさまれるので、
みんなで合唱すると
上手く歌えない子が出てくる可能性は大です。
そういう場合、僕だったら赤線②の部分は、
「アルト」の子たちに
「ソプラノ」と同じ旋律を歌わせます。
これで「音が取りにくい」というストレスは
かなり減ります。
もちろん、
ハモる部分が減るというデメリットもあります。
でも
「上手く音が取れないストレスを抱えるよりは
楽しく歌える」
と思いませんか?
青線①の部分はどうでしょう?
ここにも三度のハモリが少しだけありますね。
問題は「アルト」の子たちに
楽譜どおり歌わせるかどうか?
結論から言うと、
僕なら楽譜どおり歌わせます。
なぜなら青枠②のように、
最後のハーモニーが3和音でできていて、
「アルト」が
大切な「第3音」を歌っているからです。
ここで「アルト」の子たちに
「ソプラノ」の音を歌わせてしまうと、
「第3音」が抜け、
曲の最後の響きがさびしくなってしまいます。
また、この「アルト」の音は、
「ソプラノ」や「男声」と
三度のハモリではなく六度のハモリです。
六度のハモリは
三度に比べるとかなりやりやすいです。
比較的歌いやすくて、響きが良くなるのなら、
楽譜どおり歌わせたいですよね。
【まとめ】
1 三度のハモリには要注意!
「アルト」が自信をもって
歌えるか確認しよう!
2 三度のハモリより
六度のハモリの方が歌いやすい!
3 曲の最後など「ここはハモらせたい」
と思う重要な部分は、
しっかりと練習させよう!
以上「記念日~希望のバトン~」を易しく、
そして楽しく歌わせるにどうすればよいか、
一例を挙げてみました。
このように、
楽譜の一部を変えて歌わせることも
「楽曲アレンジ」なのです。
(あくまでも一例ですので、
他のやり方があっても構いませんし、
楽譜どおりに歌えるのならそれがベストです。)
いかがでしたか?
●えーっ!そんな簡単なことが
「楽曲アレンジ」なの?
●それって「アレンジ」というほどじゃないよ!
●いや、それじゃ合唱にならないじゃないか!
などと思われた方もいらっしゃるかも。
でも、
「楽曲アレンジ」って
「演奏者に合わせて作り変える」ことなので、
これも立派な「楽曲アレンジ」なのです。
これによって、
子どもたちが少しでも
「この曲歌ってて楽しい」と感じるのであれば、
それは音楽の先生にとって
ものすごく嬉しいことではありませんか?
そして、難しい理論が分からなくても
すぐに実践できますよね。
この方法は他の曲でも応用が効きます。
今やろうとしている曲が難しいと思う場合は、
この方法を取り入れてみましょう。
子どもたちがストレスなく歌うことができて、
歌うことが好きになれば、
その方が先生にとっての喜びになりますよ!
ぜひ実践してみてくださいね!!
ただし、
「作曲者の意図を尊重する」こともお忘れなく!!
今回は
「難しい部分を簡単にアレンジする方法」
について述べました。
これとは逆に
「易しい曲をもっとレベルの
高いものにアレンジする方法」
もありますが、
これについてはある程度理論を学んでおかないと
難しい領域になりますので、
今回は割愛させていただきます。
ここまでお読みいただいた方は、
ものすごく意識の高い先生です!!
きっと子どもたちのために、日々悩みながらも、
学校現場で奮闘していらっしゃることでしょう。
僕は、子どもの学年、技能、人数などの面で
ハンディを抱えていたり、
音楽の先生が強い願いをもっていても、
なかなか実現しづらいといった状況を
「楽曲アレンジ」によってサポートしています。
ご自身の勤務校で、
楽しく音楽をさせてあげたいけれど、
なかなか思うような楽譜が手に入らない
という先生方のお悩みに
「楽曲アレンジ」という形で楽譜を提供しています。
もしお困りの点がありましたら、
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最後までお読みいただき、
ありがとうございました!
(注)楽譜を「作り変える」場合、
著作権法上、著作者の許可が必要になります。
しかし、学校の教育活動の中では
それを行わなくてよいことになっています。
よって、
学校の中でこのような「改編」を行うことは
問題ありません。
ただし、入場料を徴収するコンサートや
演奏の録音をしたCDの販売など
収益を伴う活動においては、
著作者の許可を得る義務、
著作権料を支払う義務が生じますので、
ご注意ください。