![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79577933/rectangle_large_type_2_f5004826ee1ad20bd041505d12215b37.jpg?width=1200)
機械仕掛けのコウノトリ 34
第1話
前話
郵便受けの中には嫌味のように分譲住宅のチラシが入っていた。日曜日の確認はほとんどがゴミ掃除だ。普段なら引き出したチラシを筒状にして握りつぶし、そのまま家のゴミ箱に捨てる。
今日もそのつもりでポストの蓋を開けてチラシを取り出す。
すると白い封筒が滑り落ちた。
文部科学省と印字されたそれに私の脳は氷を埋められたかのように冷え切った。部屋に帰るまでの一歩一歩の感触が確かに体に残った。部屋に入っても封筒を持つ手に熱がこもり、ゴミは強く握られていた。
覚悟を決めてハサミで封を切った。
三つ折りにされた紙のタイトルを見て緊張と不安の氷は内側から湧く泉の熱に溶けた。
「子供扶養資格回復のご案内について」とそれは表示されていた。
落ち着かず、他の内容も読めないまま、その題名だけをじっと眺め、脳はやっとその意味を理解した。
その下の文章を読んでいくと電話番号が載っていた。紙は二枚あり、そこには受験票として私の名前と受験番号が記されている。
それは書いてある内容が嘘ではなく本物であることの証だった。