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機械仕掛けのコウノトリ 28
第1話
前話
出産は一二時間にも及び、痛みはまだ声を上げることのできない子供の命の叫びのように思えた。
子供たちが出てくる瞬間、それはもう痛みすら超えて、ただこの子達を生かさなければならないという使命感だけだった。それだけが私の体をずっと体を動かし続けていた。
助産師たちにずっと励ましの声をかけてくれた。対する夫はしどろもどろになりながらも優しく声をかけて汗を拭いてくれた。
ただその映像だけが残って、私はここで死んでも構わないとさえ思えた。それは人として刻まれた本能でありながら、脳の理性でもあり、私という人間が知っている限界を超える瞬間だった。
そして、私の中から熱が抜けた感覚があった。
その直後、確かな赤子の声が聞こえた。命の響きと証を示すように強く、愛を引き出すように隙間だらけな可能性を秘めた声をしていた。
私は今、親になったのだと、そう思った。