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左手に金の滝が打つ 13
第1話
前話
「宏人のことを引き取りたいと名乗り出てくれている人がいるんだ」
そう聞かされたのは施設に入ってから三ヶ月後のことで、それが今の父親だった。
縁もない私のことを、しかも兄弟揃ってではなく私だけを引き取りたいと言ったという笑顔の老人の写真はとてもただの好々爺には見えなかった。
話を聞くと合点がいった。
彼が施設の子供を引き取り、その子達が軒並み社会で高い地位を得て貢献をしていること。そして、彼自身が巨額の富を抱える個人資産家であることは私に一つの可能性を提示した。
それが、私はSoGの初期段階での被験者であり、非合法な促進剤を投与されている貴重な被験体であることだ。
彼ほどのものであれば、私がそういった存在であることは調査済みであることはずだ。
私は自分の中で納得をし、父親の提案を受け入れることを即決した。