「明美さん。これ今日中にお願い」
上司が私の机に書類の束を投げ置いた。
その行為は悪臭を放つ生ゴミを捨てるようで、ゴミ箱は私だった。
私はただ「わかりました」と頷いて答えた。
それは確かに大した仕事ではなく、これだけであれば問題ではない。
しかし、私にも私の仕事がある。それを終わらせなくては段々と背中に重しを乗せていくように、月末には自分の仕事さえままならないほどになる。
そうと分かりながらも、私は受け取らざるをえない。
それが今という状況であり、私はその状況をただ受け入れるしかない。
それは人が重力に逆らえず生きることによく似ていた。