機械仕掛けのコウノトリ 33
第１話
前話
親として私たちが前を歩いて道を整備することはもうできないと知り、そして、「ギフト」のもたらす残酷な一面を忘れたわけではなかったが強く実感させられた。当然胸は痛んだ。
しかし、子供達にまだできることはあると思った。
私と夫は礼儀や人との接しかた、常識を子供達にしっかりと教えた。天才の彼らのために、私たちが知った時期よりも何倍も早くその場所にたどり着く彼らのために、私にできることはそれくらいなものだった。
だからこそ、厳しくそのことについては教えなくてはならないと思った。
私たちにとっての宝物が不用意なミスでその道を断たれ、踏みつけた死体に足首を掴まれないように。
当然子供達は露骨にイヤな顔をして、そして、私たちに問うた。
「どうして、そんなことをしないといけないの？」
「それってすごく無駄なことじゃないの？」
この質問に答えることは凡才の私たちには手を焼いた。納得できるようなことを私たちができるかはもうわからなかったから。
でも、それはただ人生の経験者として、伝えるしかなかった。
それが親の役目だと自分に言い聞かせることが唯一の慰めだった。