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機械仕掛けのコウノトリ 9

 どれだけ仕事で疲れていようが、休日は必ず外出することにしている。

出来れば丸一日。二十二時くらいまでは外にいることが理想ではある。

幸いなことにお金は貯金をしていたおかげで問題はなく、それが残っているという事実自体が少しだけ私の胸を締め付けていた。

 行きつけのカフェはいつも混雑していて、誰の声かもわからない雑音が隙間を埋めるように流れていた。

開店と同時に入る私はカウンターの一番左端を選び、ぼおっとその音に内臓を震わせていた。

そして、何もしないことで逆に店員や場所空きを待っている人を煽るようなことになる前に、持ってきていた資格の勉強を始める。

それに飽きたら本を読む。これが私のいつもの日常だった。

資格の本も読書用の本も全て紙のものにしていた。

周りを見渡せば、読書をしている人はたくさんいたが、私と同じ捲るという作業をしていたのは一ヶ月で二、三人見えば良い方だった。

しかし、紙という独立された媒体は他の情報を遮断して、私を現実とは異なる世界に閉じ込めて離さないだけの魅力があった。

私にとって内容などはどうでもよく、その世界に閉じ込めるという動機が大切だった。

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