機械仕掛けのコウノトリ 18
都内のSoGのビルは人で溢れていた。
ガラス張りで中の見える内部では、真剣な顔をして話を聞いている私たちと同年齢帯の男女が見えた。
事前予約制とはいえ、酔いそうなほど人で溢れるのは、皆、私と同じように悩んでいる人が多いからなのだろう。私は一人で安心していた。
自動ドアが開いて中に進み、目の前に受付が見えた。紺色のスーツを着た二人の女性が同じタイミングで立ち上がり、お辞儀をした。
同じように髪を分け、揺れる毛先さえも同じ量動いていた。
よく見れば、二人は双子でもなく血の関係さえないであろう人間であることはすぐにわかった。
彼女たちがこの会社の技術によって生み出された人ではないこともわかっていたが、この会社のことを端的に示しているように思えて、私は肌の上を蛇が這うような恐れを抱いた。
「名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「石原忠義です。妻の明美です」
夫が言うと私はお辞儀をした。
彼女はタブレットで何かを調べ始め、すぐに見つけるとまた私たちに話をした。