スタートアップコーポレート担当になったら読みたい本 6選
最近、スタートアップでコーポレート担当になる方とお話しされる機会が多く、「担当になったばかりで、読んでおいたほうがいい本を教えて下さい」という声をいただくので、今回軽めの本を中心に6冊紹介してみます。
年末年始期間が長い貴重なタイミングですので、少しでも興味を持った本があればぜひ読んでいただけたらと思います。
書き込み式で 経理実務が身につく本
自分がコーポレート職にキャリアチェンジして、最初に買った本。
第18版ということからも永年のベストセラーといえる。
経理実務だけにとどまらず、給与計算や社会保険、税金対応まで幅広い業務内容の紹介されています。
業務が紹介されているだけの本は非常に多いと思いますが、この本は「どの業務を、いつやらないといけないか」を明確にしてくれているのが初学者向けだなと感じているところです。
給与計算や給与支払報告書提出、各種税金申告・納付は顧問の税理士や社労士の方がやってくれるから大丈夫!ではいつか事故が起こります。
依頼している業務をちゃんと理解した上で、各種依頼を適切に出来るために手元に置いておきたい1冊です。
外資系投資銀行のエクセル仕事術
定番の一冊。
最近はスプレッドシートで作業する人も増えてきているが、概念のインストールという意味ではこの本で紹介されている仕事術は汎用性が高いと言える。
見やすいエクセル、ミスのないエクセル、早いエクセルをどのように作成すればよいかのTipsが細かく紹介されており、「自分なりの変な型」が身につく前に読んでおくべきと思う。あとで矯正するの大変だから・・・。
エクセル・スプレッドシートで困るのは、各人のマイルールがバラバラで読み解くの時間がかかって、本質的な意思決定に時間をかけられなくなってしまうってこと。
コーポレート全員がこの本を読んで、同じルールでエクセル・スプレッドシートを作成することで、読み解く時間を節約できるのでおすすめ。コーポレートチームでのタイパ面でも必携の1冊。
財務3表一体理解法
最近は、フリーやマネーフォワードといったクラウド会計のお陰で、初学者の試算表作成のハードルは下がってきていると感じます。
一方で、PLはキレイに締まっているが、BSが「???」という事例を見かけることも少なくないです。
PL⇔BS⇔CFはすべて繋がっているという基本原則をちゃんと理解出来るように構成されており、一つ一つの事象が発生したら3表でどのように計上されるかを図解入りで紹介されており、非常にわかりやすい。
名著中の名著です。
「経理の仕組み」で実現する決算早期化の実務マニュアル
月次決算についてはこんなことをよく聞く方も多いのではないでしょうか。
・月次決算を早く締められれば、より早く、翌月以降のアクションを軌道修正すべきか、そのままでよいかを判断しやすくなる。
・IPO準備に向けて、決算早期化は大事。
一般的に決算が遅い会社は、①従業員勤怠データや経費精算データなどのインプット情報収集が遅い、②全体スケジュールが存在しない、③直列業務が多いの3つに集約できると考えているのですが、本書ではより詳細な原因特定やその原因に対しての打ち手を紹介してくれています。
決算早期化と一言で言っても、各社ごとに事情が異なるので本書で複数のケースを理解するのは良いかなと思います。
事業計画の極意
表紙からは初学者向けなのか?と思ってしまうかもという感じですが、事業計画に入る前の会計の総ざらいから入っている点や図解が多い点から初学者の方でも取っ付きやすい一冊です。
一言でいうと、「事業計画のレシピ」という本です。
金融機関からの融資、ベンチャーキャピタルからの出資のために、必ず求められる事業計画。
ただ、今まで事業計画の作り方を体系的に説明している本が少なく、各社オリジナルに作っていることが多かったように思います。
この本がめっちゃすごいと思ったのは、トップラインやコストを分解する際の方程式がたくさん紹介されている点。
法定福利費は「給与 × ●%」、地代家賃はBS論点含めてこの方程式で対応したほうがよいなど、この本が片手にあれば初学者でも事業計画作成できるのではというレシピの数々で必携の1冊です。
会社法実務スケジュール
会社法でいつも悩ましいスケジュール問題、タスク何やればいいんだっけ問題。
例えば、株主総会・取締役会の招集通知はいつまでに出さないといけないか、新株予約権発行や増資をしたいと言われて、いつまでに何をやらないといけないかが全然わからない・・・。
そんなお悩みはスタートアップのコーポレートの方が一度は抱えたことがある悩みだと思います。
そんな悩みを解決できる1冊。
株主総会・取締役会などの機関運営にとどまらず、増資、社債発行、新株予約権発行などのコーポレートアクションまで、①スケジュールと②タスクが明確になっており、この本を手元に置きながら顧問弁護士の先生に確認していくと遅滞や漏れなく一連の流れを完了できます。
非常に分厚く、辞書的な位置づけですが、1冊で完結出来るという意味ではコスパよいです。
まとめ
スタートアップのコーポレート担当として押さえておきたいテーマ(経理・財務・法務・事業計画など)を網羅できる書籍をピックアップしました。
年末年始のまとまった時間を活用してこれらの本を読み、仕事の型や全体像をインプットしておくと、年度明け以降の業務効率化や社内外ステークホルダーとの信頼関係向上につながると思います!
ぜひ手に取ってみて、必要に応じて専門家と連携しながら、よりスムーズで安定したコーポレート業務体制を目指してみてください。