7. 同時代性が喪われたあとに残るもの
同時代性の持つ共感の羽衣が剥ぎ取られたとき、そこに残るのは冷徹な事実だけである。時を経て歴史に審判が下されるとき、我々に出来るのは残された事実と厳粛に向かい合うことだけだろう。例えばイギリス首相であったネヴィル・チェンバレン氏は、ミュンヘン会談当時、宥和政策により戦争を回避したことで称賛された。だが現代においては、宥和政策自体が第二次世界大戦の要因と考えられるようになった。その後、イギリス首相を引き継いだウィンストン・チャーチル氏の功績もあり、第二次世界大戦はなんとか世界に