マレーシア、今回の新型コロナの波、一旦峠を越えたかも
概要
■新規症例者数が3日連続で減少。とくに、2日連続で前週から減少
■ここ2ヶ月ほどで新規症例者数が前週から減少した4日のうち、2日が昨日と今日
■重症者数、新規死亡者数も減少が明確になった
●全16州・準州のICU利用者数も、10州・準州で減少傾向
■昨日2021/8/22時点で、ワクチン1回接種は人口の55.9%、2回接種は39.9%
■マレーシアの新型コロナの今回の波も一旦収束に向かいそう
新規症例者数が2日連続で前週から減少
マレーシアの今日2021/8/23の新規症例者数は17,612人。4日前の8/20に過去最多の23,564人を記録した後、3日連続で減りました(保健省ツイート)。
また、新規治癒者数が新規症例者数を久しぶりに上回ったのも良い傾向です。7/11から続いてきた、活性症例者数の過去最多更新が昨日でストップしました(最多更新は連続43日間だった)。
ただ、新規感染者数がここ数日減ってきただけでは十分でなく、日本と同様、前週からの増減がもっと重要に思われます。
日本では、検査数の関係で新規症例者が月曜日に減り、木曜・金曜に多くなることが知られていますが、マレーシアにも似たような傾向があるからです。
下のグラフは、6/27で始まる週以降の、各曜日の新規症例者数をグラフにしたものです。
8/22の週の日曜日(8/21)と今日月曜日(8/22)で前週から減少していることがわかります。
確かに良い方向に進んでいそうです。
ここ2ヶ月ほどで新規症例者数が前週から減少した4日のうち、2日が昨日と今日
6/27の週から新規症例者数の移り変わりを調べてみると(下の表)、各曜日で前週から新規症例者数の減ったのはたったの4回(緑で塗った日)で、そのうち2回が昨日と今日だということがわかります。
なお、上の表で、橙色に塗った日は新規症例者数が過去最多を更新した日です。また、赤字は犠牲祭(Hari Raya Aidiladha)という祝祭日のあった日です。症例者の増加の一部はこの犠牲祭の集まりにあったとされています。
重症者数、新規死亡者数も減少が明確に
多くの国で、活動制限(日本だと自粛)の理由になっているのが医療の逼迫です。入院者数や重症者数がその目安になりますが、ここでは重症者を見てみます。
具体的には、下のグラフのICU利用者数(青線)と人工呼吸器利用者数(オレンジ線)です。
どちらも8月上旬をピークとして下がってきているのがわかると思います。
また、グラフの下側に示されている新規死亡者数も凸凹はありますが、8月中旬をピークに下がってきているように見えます。
10州・準州で、ICU利用者が減少中
重症者数は、新規症例者数よりも重要な指標なので、州・准州ごとの状況も見てみます。
マレーシアには州・準州が16あるので、首都圏、その他の半島西部の州、半島東部の州と東マレーシア(ボルネオ島)の3つに分けて見てみます。
数日分古いですが、以下のように多くの州・準州でICU利用者の数は横ばいか減少に転じています。
まずは首都圏の4州・準州のICU使用率です。細かいことですが、このICU使用率で用いている患者数は、純粋な新型コロナ患者だけでなく、疑いの患者も含めた数になっていると考えられます。(GitHubに保健省が提供しているデータがそうなっているため。全16州・準州の合計が、マレーシアの日々発表している数値より50%ほど多い)
政治の中心プトラジャヤは横ばいですが、クアラルンプール、セランゴール州、ネグリスンビラン州はいずれもICU利用率が低下していることがわかります。
下の図は、首都圏を除くマレー半島西部の州のICU利用率です。
ケダ州が少し増加を再開していて心配ですが、ジョホール州、マラッカ州、ペラ州、ペルリス州は減少、ペナン州は横ばいです。
最後は、マレー半島の東部の州と東マレーシアの州・準州のICU利用率です。
クランタン州とサバ州がはっきり増加中。サラワク州は横ばいから少し増加。その他のパハン州、トレンガヌ州、ラブアンは減少中です。とくに、ラブアンはICU利用率がほぼゼロの状態です。
なお、ラブアンは早々に収束していますが、ワクチンのおかげとは私は思っていません。詳しくはnote「ラブアンの感染収束はたぶんワクチンのおかげではない」をご参照ください。
結局、16州・準州のうち、10州がICU利用率減少、2州が横ばい、2州がリバウンド気味、2州が増加という結果です。
以上のように、多くの州・準州でICU利用率が減少していることを反映して、マレーシア全体としてもICU利用者の減少がはっきりしてきたのだと思われます。
ワクチン1回接種は人口の55.9%、2回接種は39.9%
最後に、ワクチン接種率を見てみましょう。
全人口に対するワクチン接種率は1回めが55.9%、2回め39.9%です(8/22現在)。
ここまでワクチンを打ってようやく新規症例者数のピークを確認できそうだということです。(もちろん、今後増えていってしまう可能性もゼロではないですが)
マレーシアの新型コロナの今回の波も一旦収束に向かいそう
以上、新規症例者数がここ数日減少しただけでなく、前週と比べても減少が見られていることを確認し、重症者数も全体として減少傾向にあることがわかりました。
マレーシアの新型コロナの今回の波も一旦収束に向かいそうです。
ワクチンを打ち出すと、とくに、高速で打ち出すと、感染拡大する例が多くの国で見られ、マレーシアでも残念ながらそうなってしまっていましたが、ともかく最終的な収束局面に入ったようです。