ネアンデルタール人のDNAが混入しちゃっているのだ
mRNAワクチンのおかげで遺伝子に関する話題が増えた。
mRNAワクチンのことはわからんだらけだが、ご本家のDNAについてはいろいろなことがわかっているようだ。
だいぶん前に書いたものだが、DNAからわかる我々の祖先の恋愛模様。
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サピエンスの系統のペアリング(交配)は実にいいかげんだ。
ちょっと前まではネアンデルタール人やデニソワ人らの先住種族を滅ぼして現生人類(ホモ・サピエンス)が栄えてきたと考えられていた。ところが最近のDNA解析によって、我々はほぼすべてネアンデルタール人のDNAをもっており、かなり多くの人がデニソワ人DNAを持っていることがわかっている。
つまり、ホモ・サピエンスはしょっちゅうネアンデルタール人ともまじわり、その子孫を残しているのである。我々とネアンデルタール人との差異は、豚とイノシシの差異よりずっと小さいのだ(イノブタは子孫を残せない)。
さらにこの混血の中でも、今生き残っている我々は、ホモ・サピエンスの女とネアンデルタール人の男の系統である。このことは我々のDNAの中にネアンデルタール人のミトコンドリアDNAがなく、核DNAにはネアンデルタール人のDNAがあることからわかる。
ネアンデルタール人の女とホモ・サピエンスの男の子どももいっぱいいたはずであるが、古代の母系社会ではその子どもはネアンデルタール人の集団で育てられるので、ネアンデルタール人とともに滅亡したのだろう。
そしてネアンデルタール人とホモ・サピエンスの間のセックスは両方の部族間の合意のもとにされていて、略奪や強姦はなかったと思われる。もし略奪や強姦が行われていれば、ネアンデルタール人の男に女を略奪されたホモ・サピエンスの集団はネアンデルタール人を寄せ付けなくなるはずだからだ。(いくら大昔とはいえ、ホモ・サピエンスのほうが賢いので、そのくらいの知恵は働かせたはずだ。)
そしてさらに、ホモ・サピエンス集団は早くから言葉をもっていたが、ネアンデルタール人は骨格からいってホモ・サピエンスと同レベルの言葉を持っていなかったはずなので、同意の上のエッチとはいえ、愛の言葉をささやくような口説き口説かれる関係ではなかったはずなのだ。
要するに、お互いに言葉などいらねぇや、気が合って雰囲気が盛り上がれば仲良くなってエッチしちゃうのよという関係だ。雰囲気や情感で立派にダイアローグしちゃったのである。この点、言葉にがんじがらめになってすぐに傷ついたりけんかしたりするオレらより幸せそうだ。
てなわけで肌の色がどうの、言語がどうの、文化風習の違いがどうの、だからあいつらとは一緒にやれねぇなどと言っている我々現代人と違って、祖先様はことパートナー選びについては実におおらかだった。ほんとうは、そのおおらかさを我々も受け継いでいるはずなのだ。
遠い滅びた祖先のひとつであるネアンデルタール人(男)の記憶を体の中にしまいこんだまま、我々はこの地球上に爆発的に拡散していくのだが、その間に、なんだか間違って敵対関係ばかり作り出していったようだ。
それもどうやら言葉なるものが互いの障壁をつくる大きな原因のひとつであるような気がする。であれば、せめてネアンデルタール人とホモ・サピエンスのカップルと同じくらいの、言葉をこえた愛情関係を取り戻したいものだ。
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