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カメラを止めるな!

※ネタバレはありません。

妻はあまり、映画が好きではない。

戦闘シーンがある映画にいたっては、はっきりと嫌悪感を示す。

なので、このゾンビ物の映画も、おそらく観るのを拒むだろうと思い、誘わなかった。

否。

SNSのタイムラインや口コミで、「この映画は本当にすごい!」という情報をずっと目にしていた。

だから僕は、なんとなく、この作品が世界を変えてくれる予感がしていた。

そして、妻は、海外出張中だった。

そう、僕は、妻の帰国を待ちきれず、一人で観に行ってしまったのだ。

・・・

日曜日の朝。
「人気の作品だからすぐに売り切れてしまうかも」と心配になり、映画館に電話してみた。

「今日は7回、上映しているんで、まだ余ってますよ〜」

そのような返事が返ってきた。
心配は杞憂だったらしい。

のんきに遅い朝ごはんを食べ、歯磨きをして、家を出た。

・・・

池袋のシネマロサに到着し、唖然とする。

チケット購入場所から、ものすごい数の人が並び、見たことないほどの行列を作っていた。

(こんなに並んでるんなら、ゆうといてや…)

一瞬、逡巡して、その行列の一番後ろに並んだ。

・・・

この後すぐの回も、その次の回も売り切れ、ということで、3時間ほど暇ができた。

その間、池袋のカフェで本を読んだりしながら過ごした。

最近はインターネットで座席を買うことが多いので、こういう「待ち時間」は珍しい。

そして、この「余白」すらも、この映画を作る1秒となるのではないか、という気がしてくる。

・・・

中略。

映画に関して、特に言及することは何もない。

ただただ、面白かった。

度肝を抜かれた。

映画館でこんなに笑ったのは、人生で初めてだった。

・・・

とにかく誰かにオススメしたい。

しかしこの映画は、何かに言及した瞬間に、その面白さが全て失われる、という究極のメタ構造を備えている。
(もはやこういう指摘すらもためらわれる訳だが)

だから、気になる人にとっては、とにかく映画を見るしか選択肢は残されていない。

予告編の動画も、インタビューも、ポスターすらも見ず、まっさらな状態で観るのが一番いい。

まだ見てない人を、なんなら僕はとても羨ましく思う。

・・・

妻が帰国したら、今度は一緒に観にいこうと思う。

確かにゾンビは出てくるけれど、それでもきっと、観てよかったと言ってくれるはず。

僕ももう一度、記憶を無くした状態で観たい、というのは、無茶な要求だろうか。

でも、そう思える映画は、人生でなかなか出会えるものではないのだ。

公式サイト

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菊池俊平
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