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僕らはテレパシーを使って働いている

3年くらい前から、MOSHというフルリモートの会社で働いている。コロナになり、リモート勤務は一般的なものになっていったが、そんなフルリモート勤務を続けながら思い至ったことについて、今回書いてみる。

それは、僕らはテレパシーを使って働いている、ということだ。

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僕は今、一時的にヨーロッパにいるので、日本とは時差のある環境にいる。そして、海外にいる間も、普通に日本の仕事を続けている。

朝、起きると、いくつかのメッセージが、コミュニケーションツールのslackに届いている。そのもらったメッセージのひとつひとつを読みながら、僕の一日は始まる。

それが「何かの依頼」についてのメッセージであれば、送信者が送信時に抱いていたであろう「申し訳なさ」などの感情を、その文章と一緒に受け取る。

それが「感謝」のメッセージであれば、送信者からの温かい気持ちが伝わってくるし、何か問題が発生した時のメッセージからは、緊迫感や緊張感が同時に伝わってくる。

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僕は毎朝、それらのメッセージを読みながら、数時間前にメッセージを送ってくれた送信者の感情をリアルに感じ取る。

「顔を見て話す」という行為をしていないのにも関わらず、ただ文章を読むだけで、相手の感情や伝えたい思いが伝わってくる。胸の中に、相手のメッセージを読むことでしか生まれない感情が現れる。

そして、だから、文章とはテレパシーなのだ、と僕は身をもって知るのである。

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まだ納得がいかない方のために付け加えると、僕はこの文章を、2023年12月10日の日曜日に、ハンガリーのブダペストで書いている。

今、この文章を読んでいるあなたは、おそらく日本にいるだろうし、執筆時から時間を空けて公開しているから、読んでいる日時は12月10日よりも遅い日付であることは間違いないだろう。

僕がブダペストで12月10日に書いた文章を、一定の距離と時間を跨いで、どこかの誰かが読み、それに対して何らかの感想を抱く。僕の想いが、時空を超えて、誰かに伝わっていく。

これは、文章がテレパシーに他ならない証左であると言える。

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リモートワークが一般的になったことで、文章(メッセージ)によるコミュニケーションの量が、圧倒的に増えたのだと感じる。

そしてそれに伴い、おそらく本人が自覚することもないまま、リモート環境で働く人間の文章力も向上していっている。

「文章力が発達する」ことは、「テレパシーの能力が向上する」ことと同義だ。

現代人は、テレパシーの能力を次第に強くしていっているのである。

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これまで偉そうにつらつらと書いてきたが、「文章はテレパシー」という言説自体は、あるアメリカ人の作家の受け売りである。

ずっと前にその作家のエッセイを読んでいたのを、この文章を書きながら思い出した。

アメリカ人の彼から受け継いだ「テレパシー」を、僕が日本語の文章に変換し、それを、日本語を読めるどこかの誰かが感じ取っている。

文章は面白いな、と思う。

(終)

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MOSHのアドベントカレンダーの12月13日担当ということで、リモートワークというテーマでこの文章を書いてみました。

よかったら他の方のも読んでみてください。

また、フルリモート環境で働いてみたい方は、以下の採用ページをぜひご覧ください(いろんな職種で採用中! 僕への連絡でもOKです)

久しぶりの文章を、お読みいただきありがとうございました(ぺこり)

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菊池俊平
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