第54回読書会レポート:G・ガルシア=マルケス『百年の孤独』感想・レビュー
(レポートの性質上ネタバレを含みます)
今回は久々の長編(*゚▽゚*)
無事に読了してご参加いただいた皆さま、お疲れさまでした!拍手!
(当日体調崩されて来れない方が多かったんだけど…笑)
今回は2回目以降の顔なじみばかりの濃厚な回となりましたよ^^
閉店後の本屋さんでスピーカーをお借りして『百年の孤独』にちなんだラテンの曲を流しながら、
さまざまな視点からの感想が次々に披露される時間は楽しく、濃密だけれども儚いコロンビアの空気感が会場にも立ち込めていました。
参加者の皆さんのご感想
読み飛ばせない
レメディオスの昇天する場面が好き
孤独がテーマ
企業や家族に当てはめると読みやすくなった
真面目に読まなくてもいいのでは?
ゴシップ
死の臭いがするエピソードが続く
無常
夢の中みたい
終わり方がカッコいい
スペインのハプスブルク家に似てる
ピラルテルネラがウルスラと対に置かれる存在では?
『ジョジョの奇妙な冒険』みたい
ブエンディア家の家系図がスペイン・ハプスブルク家と一致する!
いつも多くの資料を準備してくださるOさんが、今回もたくさん調べてご参加くださいました!
Oさん、いつもありがとうございます!!
Oさんのレポートでまず衝撃的たっだのは、実在したスペイン・ハプスブルク家の家系図とブエンディア家のそれがほぼ一致するというものです。
スペイン・ハプスブルク家でも本作品と同じ様に近親相姦が繰り返されてきました。
それは厳格なカトリックのために、プロテスタントや正教会の王家とは結婚できず、また格下の諸侯とも結婚ができないという理由があったからだそう。
こうなると規律や宗教というものは一体なんなのか分からなくなるものです。
スペインの植民地で豊かになった国はないと言われていますが、他者を受け入れない価値観ではすべてが収縮し衰退していくのは道理のような気がします。
訳のわからない恋愛観が衝撃的な本作品ですが、実在の王族になぞらえていると知りゾッとしました。
千日戦争とバナナ虐殺
本作品はコロンビアの内戦や
アメリカ資本のバナナ会社で実際に起きた労働者虐殺事件など、
史実もふんだんに盛り込まれています。
本作品のカオスはコロンビアの歴史そのものです。
本作品でも、特に中盤以降、外部からの”闖入”により人々が虐げられ迫害されていく理不尽さが、改行がほとんどない文字の羅列で埋め尽くされながらとうとうと語られていきます。
物語のきっかけは祝福されなかった一組の男女から始まります。
彼らが新天地を求めて旅に出ていき、たどり着いた先で隆盛を極めるも、
さらなる権力者が現れ虐殺され衰退していく様がリアルであり、
そうした人間の所業を嘲笑うようにラテンアメリカの激しい天候が滅茶苦茶にしていく帰結は、
そもそも人間こそ地球にとってみればちっぽけな闖入者であると思い知らされる壮大な物語です。
視点を変えて……テクストから感じ取るラテンアメリカの熱風
今一度テクストの特徴へと目を向けてみましょう。
ほとんど改行がなされず、会話文さえほぼなく、地の文が敷き詰められていくスタイルがとられており、次から次へとエピソードが地続きに途切れなく描写され、目まぐるしさについていくのがやっとです。
ラテンアメリカの濃密な瞬間、そこに住まう人々のパッションが凝縮されているような、独特の空気感が表現されているように思います。
記号にすれば「!」読者を孤独の中へ放置(@_@)
このようにブエンディア一族の歴史は、すでに百年前にメルキアデスによって暗号化され羊皮紙に編まれていたという事実に気がついたアウレリャノが、クライマックスで一気に解読にかかります。
百年の歴史を一瞬のうちに閉じ込めた羊皮紙を、読了したその瞬間とともに風によってなぎ倒され、人間の記憶からは消え去り、記録されていたいっさいは反復されない……
終わり方がカッコいい٩(๑´3`๑)۶
そうしてページをめくると……
真っさらなページが飛び込んできて。。。
(新潮文庫では最後のページが白紙になっているのです)
完
!
息継ぎできないほど畳み掛けてきた文字の羅列の世界から、突然一文字も書かれていない真っ白なページへと放り出され、
読者だった我々の思考は呆けて空白状態へ、、、
つまり私達読者は改行もままならない文章を一生懸命読まされた果てに、
無の瞬間に飛ばされて行くのです。
記号一文字で表すとすれば「!」です。
本作品の孤独とは、読者のこの一瞬の空白の思考のことなのかもしれないと思いました。
あっけないこの感覚すらメルキアデスの思惑通りなのではと考えてしまいました。
もちろん、最後のページに文字がないのは、編集上たまたまとも言えますが、その偶発性すら「百年にわたる日々の出来事を圧縮し、すべて一瞬のうちに閉じ込めたため」だと読めるのは、この作品の重層的なパラドックスを鑑みれば強引な解釈にはならないと思います。
何があってもおかしくない予定不調和でハチャメチャな百年の瞬間、
「!」としたその瞬間はもう二度と反復し得ない過去と未来である。
孤独という時間軸の表現への挑戦は、宇宙のビッグバンすら想起させる摩訶不思議で壮大なエンディングで幕を閉じました。
まんまと
「!(なんだったんだ?)」という
誰もいない瞬間の孤独へ飛ばされていきました~
(2024年11月10日日曜開催)
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