見出し画像

キャリアに悩む25歳が、移動映画館を21年間主宰するジェントルマンに会いに行った話。

はじめまして、サラリーマン3年目のしゅうまです。
昔から人の働く姿や何かに没頭している姿に憧れていて、プロフェッショナル仕事の流儀や7ruleは毎週録画、最近は「夢中なあの人に会いに行こう」をテーマに何かに没頭されている方にインタビューする活動をしております。

本日は、先日インタビューをさせていただいた移動映画館キノ・イグルー有坂さんの言葉をお裾分けさせていただければと思います。

− 自己紹介をお願いします!

移動映画館「キノ・イグルー」の有坂と申します。移動映画館と聞いて、ピンと来ない人も多いと思うのですが、自分で映画を作っているわけではなく、なおかつ自分の上映場所も持ってない、毎週のように場所を変えて映画の上映会を行っているというのが活動のベースになります。僕たちのイベントは作品ありきで、場所を借りて、イベントをやるわけではなくて、あくまでも場所ありきなんですよね。なのでその場所でしか体験できない映画の時間というのを毎回作っていく、夏の時期は野外上映会が中心で、それ以外だとカフェでコース料理を食べながら映画をみるとか、酒蔵で日本酒を飲みながら映画を観るとか、その場所の特徴を活かした映画体験を作っていくオーダーメイドの映画イベントになります。

− 映画館を始めたきっかけを教えてください!

最初は、それこそ移動映画館ではなかったんですよ。いわゆるシネクラブっていう自主上映会を始めたんですけど、かつてレンタルショップでアルバイトをしていた時の友人が、DIYで東京のはずれにちっちゃい映画館を作ったんです。僕はそのバイト時代に、そのシネクラブっていうかつてパリですごい盛んだった映画文化に憧れがあって、自分のシネクラブをいつかやってみたいんだよねと言っていたのを、友人が覚えててくれてて、じゃあ俺場所持ったからやればと言ってくれたのが、2003年の5月のキノ・イグルーのイベントだったんですよね。なので1回目から、誰かから声をかけてもらったことから出発したんですよね。最初は年に2回とか、3回しかやっていなくて、バイトの方が忙しかったんですけど、だんだんお客さんでギャラリーを経営している人とか、カフェのオーナーさんとか、いろんな出会いがあって、うちでも上映会できますかと声がかかるようになって、いろんな場所でやるようになった時に、移動映画館という形に変えたという背景です。

− 有坂さんの、一番の原動力を教えてください!

原動力を考えたことがないぐらいに楽しいので、ストレスフリーなんですよ。営業するっていうスタイルだったら、仕事を取れた取れないがストレスだと思うんですけど、受け身なので、声をかけてくれた人とはまずお会いして、なるべくそのご縁を大事に、形にするように話をしていきます。求められるってうれしいじゃないですか?好きで始めたことを誰かが求めてくれるというのは本当にうれしいし、やっぱりその人との中でのベストを見つけたいなという気持ちにもなりますし、形にしたらお客さんが来て、お客さんも喜んでくれて、終わった後の打ち上げのビールもうまい、そしてまた来年もやりましょうとなっていく、それの繰り返しなんですよね。それがずっと続いて21年経ってるので、本当にストレスがないんですよ。自分らしく生きることが仕事につながっていくと思っているんですよね。

− やっぱり理想の自分みたいなのがいて、そこに行きたいがためにストレッチしすぎちゃって、続けられないことはよくあることだと思います。なので今のお話を伺って、自分らしく無理のない程度にやっていくことはすごく大事なことなんだなと気付きました。

理想の自分よりも、もっと遠くに行けるはずだと思うんですよ。ただ理想を決めてしまうと、そこの自分に向かっているかどうかっていう考え方ばかりになってしまうじゃないですか。理想のために、今日誰かが誘ってくれた飲み会を平気で断るとか、それは自分では目標に向かってるから満足できているかもしれないですけど、自分を成長させようと思ったら、そのつながりの中で、やっぱり自分はどんどん磨かれていくものだと思うので、もちろん潜る時期は必要だと思うんですけど、潜った上でこうなりたいなと思うんだったら、日常の瞬間、瞬間をワクワクできるものにしていかないと、僕は理想の自分にはたどり着けないのかなって思ってるんですよね。

− なるほど。理想の自分を定義することで、自分の限界を決めてしまっているのはありそうですね。

決めたほうがたぶん安心なんだと思います。でも、あなたの可能性はそんなものじゃないよと本当に思うので、人ってやっぱりそれぐらい、その人じゃないとたどり着けない世界っていっぱいあって、ただ社会の仕組みとか、今大学4年生就活しなきゃいけないとか、そういうものに引っ張られすぎちゃって、自分の野性的な本能や可能性に自分で蓋をしていることだらけだと思うんですよね今って。それが自分として楽しいんだったら全然いいと思うんですけど、無意識にストレスを感じてるなら、やっぱり1回矢印を自分に向けて、社会のしがらみとか全部を一回置いておいて、何がしたいとか、どう生きてれたら幸せかから考えていくとか、できることって今の所がいっぱいあるはずなので。

− 没頭を見つけたい人はどうやって没頭を見つけていけばいいと思いますか?

一言でいうなら。心で生きる。サッカーから映画に舵を切ったときも、やっぱり心が動いて、環境を変えてみたら今こういう移動映画館という唯一無二の仕事をやってるわけで、そこに自分なりの理由とか理屈を見つけてから行動してから、多分ここには辿り着いてないと思うんですよね。人間って言葉を介したコミュニケーションができる動物なので、どうしても言葉や意識にとらわれがちですけど、世の中の90パーセント以上は言語化ができない感覚とか感触なんですよね。でもやっぱり言葉にした方が安心だから、みんなそっちばっかり考え、意識がいっちゃうんですけど、そうなると90パーセントの可能性がこぼれ落ちちゃってるということなんですね。だから、やっぱり心が動いたほうに行ってみるとか直感を信じてみる、とか人間はよくできているので無意識なとこでいろんな理由づけしてくれてるんですよ。

インタビューを終えて

すごく印象的だったのが「自分は、自分の理想よりもっと遠くへ行ける。」という言葉です。僕はこの言葉を聞いた時、ミニパラダイムシフトが起こりました。今までは頭の中で想定したことを信じていましたが、それはある種自分を買い被っていたのだということに気づいたのです。結局自分で考えた理想なんて、これまでの自分の経験値の延長線上でしかない。むしろ自分の中で理想を留めておくのは、自分の可能性を制限していることになるんじゃないかって思ったんです。

もちろん理想を描くなということではないと思います。
理想を描いても、そこに制限されることなく、例え自分の頭の中で理想には直結しない行動でも、本能がときめきなら突き進んでみろということだと僕は解釈しました。その先に、頭では決して想像できなかった出会いがあり、それが自分を大きくしてくれるのだと思います。

最後に

フルバージョンは、こちらに収録させていただいておりますので、お時間のある方はぜひご視聴ください。有坂さんの人柄が、じんわり伝わってきます。

移動映画館キノ・イグルー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?