7つの沼❸ 宝塚歌劇 #座付を推す者 になりゆく前夜《前編》
noteに引っ越しを始めてちょうど2カ月です。
いろいろ書きたいことはあって計画していながら、さらに宝塚関連の連載の原稿なども順調に進めていながら(読んでくださりありがとうやで)、なかなかこの記事に手をつけられずにいました。
が、今日11月8日は、1997年11歳の頃に初めて宝塚大劇場で生の宝塚を見たその日なんですよ。
なんとしても今日中にコレを書き上げてアップまでこぎつけたいなと思ってます。お付き合いくださいませ。
座付を推す者って何だ
ツイッター(オタ垢)や宝塚関連の連載でも申し上げている通り、私は宝塚歌劇団の「座付作家(演出家)」をまとめて推すというキャンペーンを展開しています。ええ、一人で。連載第2回で自分をこのように定義しているのですが↓
2つめは「映画-小説型」。映画や小説のように、物語性とシーン1つひとつの美しさを大切にする。といっても高尚な純文学以外を受け付けないほどオカタイつもりはなく、話がシンプルでも粋で、会話の辻褄が合って心あざやかに見えればよいという程度だ。植田紳爾さんが1つめの立役者なら、柴田侑宏さんはこの2つめのタイプのファンの厚い支持を受け続けた。たぶん30年以上ファンを自負する人にはこのパターンが多いと思う。
わたしが最初に開けた扉はココ。だから、文学入門と冠しているのである。
よくよく考えてみると、当然ながら11歳のその時から「映画-小説型」だったということはなかったなと思うのです。純然たる「タニマチ-パトロン型」から入ったなと。みんなそうだと思います。
好きな生徒(出演者)が世界の中心で、とにかくご贔屓が出ていればなんでもよいというスタンスだ。知る限り先述の「ベルばらブーム」以降は間違いなくこの型が主流で、ある意味当時の映画スターや当時のアイドルと近い存在となった。美しさに熱狂することこそ醍醐味とすれば最も王道であり、ファンクラブ活動にしても、スターシステムにしても、この消費タイプが宝塚歌劇団を支えている。
そりゃそうだ。だって、宝塚はスターありきだもの。
と、先日宝塚大劇場花組公演『はいからさんが通る』の柚香光さん・華優希さんを見ていて、そんな当たり前のことを思い出した。
今なら書ける、と思いました。
こんなニッチな「秘密の花園」で、映画や小説を読むような作品体験を好むようになったのか。文学入門の手前を、紐解いていきます。
好きな人を取り巻く世界が目の前で壊れていく
ざっと贔屓歴を説明しておくと、私の贔屓はこんな感じで推移しました。
1997年11月 宝塚大劇場星組公演『ダル・レークの恋』ペペル役で稔幸さんのファンに→2001年宝塚大劇場星組『ベルサイユのばら』まで応援。ご本人の引退とともに推し活もフェードアウト。
並行して1998年宝塚GRAPH『どーにか瀬奈!』あたりで瀬奈じゅんさんを知る→薄ら継続的に贔屓次点として把握、2002年博多座花組公演『あかねさす紫の花/Cocktail』で贔屓に昇格(昇格?)→退団まで応援し、2016年会期満了までファンクラブにも所属
2008年宝塚大劇場公演『スカーレットピンパーネル』にて、なんだかニコニコしているベン(紅ゆずるさん)を発見→2019年卒業でお見送り。
※ベンからの贔屓になるまではこちら参照ね↓
ここまでで、1つ様子がおかしい贔屓がいることがお分かりだろうか。
2016年会期満了まで、女優・瀬奈じゅんの全公演観るとは行かずとも、結構な公演を見に行っていました。ずーっと、ずっとズルズルと卒業後も「宝塚ファンとしての贔屓」に切り替えられずにいたのです。
それは、彼女を応援していた期間が「自分も受験生だった」こと、そしてその「受験したい」奥底に「好きな人がいる世界が崩れていく」という焦躁みたいなものがあったなと。
そんな陰鬱な話です。3回目にして、マジで沼の様相を呈してきた。お付き合いください。
「恩恵を受けてる側が偉そうに」
私が『どーにか瀬奈』で「瀬奈じゅんさんという人はおかしな人やな」と気づき、興味を持った年はちょうど【宝塚5組化】の年でした。
1998年に誕生した宙組は、その前の1997年12月に名前が決まり、年明けの香港公演に向けてお稽古をされていた頃だったので、私が初めて生の宝塚を見た『ダル・レークの恋』は、まさにその人員整理で極限まで人数が減らされた状態で。今思えば舞台上は「スカスカ」でした。
それでも、初めて生で観る宝塚はキラキラしていて、何より生徒さんお一人お一人が確かに目の前に生きている女性たちなのだなということが、11歳の私にとって大きな価値観の転換点になるのは自然なことでした。
そして、2000年。当時大好きだった稔さんの退団、そして新たな“好き“の予感を瀬奈さんに感じているところに、多分20年選手の宝塚ファンには忘れられない“あの事件“が起こります。
新専科制度。
ヘアカタログ.jpさんの連載でまとめたコレ↓が、一番簡潔なので、引用します。
ファンでない人にわかりやすく、あえて乱暴に説明すると、これまでのピラミッドが崩壊し、それ以前のルールなら順当にトップスターを目指せていそうな人が「専科」という“脇役スペシャリスト“に置かれ、スターダムの外にいた人材がスター路線に躍り出てきた番狂わせが起こった。
まず、正直に、14歳の私の心の動きを追うと。
兎にも角にも、最初は嬉しかったです。正直に言います。ごめんなさい。新人公演の主演も滑り込みのような状況だった瀬奈さんは、当時遅咲きの部類に入れられていたので、このチャンスは夢のようでした。2001年、研10にして初のバウ主演。そして同年、『VIVA!!』で初銀橋ソロをもらう。スーパーラティーノというお役。確か、お写真を見たのはGRAPHでした。
嬉しかったなあ。
タカラヅカスカイステージもまだなくて、遠い遠い九州に住んでいたので、まずは写真で把握するしかなく。それでも世界一かっこいいと思いました。
一方、当時、2000年代はインターネットのHPサービスやチャットサービスなどが台頭し始めた頃でした。これもまた追々話すのですが、当時私はbaseよしもとにハマっておりまして(黒歴史)、その情報収集のために、両親に許可を得てインターネット通信をさせてもらっていた。
(化石のような話ですみません若人たちよ。ADSLってわかる?)
そうして、浮かれた気持ちで見たファンサイトだったか掲示板だったかで、初めて「自分の好きな人のアンチ」に出会います。14歳、今思えば早すぎる“アンチとの邂逅“ではなかろうか。多分、同じ花組ファンの方の会話でした。子供心に、昨日まで同じものを見てうっとりしていた人たちなのになあと思った。悲しくて、しばらく宝塚を見たくなくて、baseよしもとのイベントのVHSを繰り返し見ていました。(たむけんとコバさんの回しが天才だったし、ユウキさんの目が離れてた。あと、小杉さんがブラマヨのかっこいい方だった)
同連載中、私は2004年のことを“地獄のシャッフルイヤー“と書きましたが、あれはほとんど本音です。細かくは忘れたし、言われ続けて次第に感覚も麻痺してきていましたが、今でも忘れない罵詈雑言があります。自分が立てたスレッドだったか、日記だったかに、ちょうど春野さんの博多座お披露目くらいだったか、私がポロッと「ちょっと前の花組が好きだった(オサアサ、ミズ、みたいなくらい)」と言った発言に対して。
「恩恵を受けてる側が偉そうに文句を言われるんですね(笑)」
「あなたみたいな人がファンだから本人も図々しく二番手なんてやってる」「昔からのファンはみんな迷惑しています」みたいな春野さんと瀬奈さんファンである私への罵詈雑言が続いていました。初めて言葉でざっくりと心を刺された記念すべき瞬間でした。
15歳くらいの私は、そのコメントを無視しました。というか、刺された傷口から流れる血で真っ赤に染まった手を見つめているうちに、コメントが流れていってしまった。結果、現代的なリテラシーで言うところの「アンチ対応」としては正解を選んでいたわけです。
そうやって、この辺りの「変な人」をスルーする能力が、悲しいかなついてしまいましたが、当時コミュニケーションをとっていた知人も、似たような誹謗中傷を受けたことがあると言っていました。一番仲のいい子はキムさん(音月桂さん)のファンだったな。
だから、私のツイッター(オタ垢)のフォロワーさんには2000年代で一旦宝塚を離れている人がひじょーーーに多いのですが。そのみなさんの半分くらいは「恩恵から漏れた」(上記のコメ主がいうところの)ファンの方が多いので、心のどこかでまだ「私が2004年前後のことを振り返ると『瀬奈じゅんのファンのくせに』と思われるのでは…」という怖さで躊躇する部分もあったりします。
わたくし、齢34歳。図々しい大人になったから言いますが、この躊躇はPTSDだと思います。
心的外傷やで、ええ加減にせえよ前述のおまえ。当時の文面からすると今50絡みくらいですかね。読んでもらえるといいのですが。
ただ、ここからはポジティブな話ですが、その2000年代に耐えられなくなった方々と今「同じファン」としてコミュニケーションが取れているのは、私が提唱している【座付作家】の躍進に一助があると見ています。そう言った方達が出戻ってきてくださったポイントも【座付】にあると。そう信じているのです。
3つ目の沼は、過去に詰め込まれた泥を吐き出す作業に終わってしまいましたが…
その泥も大切な歴史。
次に流れる水が、濁らないための堤防にできればなと、思ってやみません。
アンチ、ダメ、絶対。ご清聴ありがとうございました。
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