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漫才かどうかを叩くやつをしばき回すついでに、サロンスタイルとクリエイティブの違いを言語化できるやつがいんのかコラ?という話
この回で少し触れましたけれども、私の所属する会社での仕事で「技術コンテスト審査」というのがあります。
基本的に総合誌(ヘアスタイルや技術を特集する月刊誌)の編集長や編集部が担当することになりまして、書籍部・経営誌所属になるとどんなに若くてセンスがあろうが審査の目や心構えがあろうがその仕事は振られないというのが“業界誌様のお決まり“だと思います。会社に采配されて決まるんですね。会社員ですからそれは致し方ありません。
そんな中、久しぶりにフォトコンテストの審査をさせていただきました。
今回は、その審査の結果は別として、考えさせられたという話。
※募集は締め切っております
結果はこちら。七島が選ばせていただいた髪書房賞はZENKOの工藤和希さんでした。アカウントリンクから全結果に飛べますよって。
自分の中に線引きがあるかどうかということ
このフォトコンは、2020年の忌むべきコロナ禍においてバタバタと中止になった各種セミナーの場、コンテストの場を補完しようと主催された美容師さん発信の企画でした。
そうやって前進をやめない姿勢に心を打たれたこともあり、弊社も協力したいということで、関わらせていただけることになった。めちゃくちゃ嬉しかったです。
じゃあ、こんな状況だからなんでもいいかというとそうでもなくて、こんな今だからこそもう一歩前に進化しましょうよと思うことがあります。これは、会社の思惑とは全く別のところにある、というかそこまで考えているジャーナルが何人いるかしらという話にもなるんだけど。
自分の趣味と時事と踏まえてぶん回していきますんで、お付き合いください。
久しぶりに審査して、部門ってなんなんだろうなって思ったんですよ
急に話は賞レースに飛びますが、12月20日、マヂカルラブリーがM-1グランプリを制しました。
「あれは漫才なのか?コントなのではないか?」みたいな議論が、昨日まで興味も関心もなかったような層を中心に巻き起こったと伝え聞いています。筆者は大宮セブンのファンなので、うるせーよ死ねと思いつつも、一方ブンヒツ業の端くれなので、刃…もとい拳を握り締めながらその言い分に細かく耳を傾けていました。
それを眺めていると、ほとんどが外野の“べき論“であって(一人「あれはコントやと思うなあ」と言ったエセプロがいるらしいですが、基本的に)、ほとんどの“プロ“たちが思い思いの【俺たちの漫才(コント)とは】を表明していたということがクリアになりました。
でも、だからこそそれを見たとき同時に、ああ、私の身を置く業界はこの【責任をともなう言語化】ができている人がどれだけいるかしらと、絶望にも似た感想を抱いてしまったのでした。
正直、それまではその辺の「フィロソフィーの言語化」って、ジャーナルの専門分野であって、“演る“美容師さんをはじめ、メーカーさん・ディーラーさんに差し迫って必要なことだと思ってこなかったのです
なんか、でも、それって違ったんだなって。
“演る“ほうに確固たる「俺の〇〇」がないとダメなのよと思った動画を紹介しますね。これだ、くらえ。
非常に繊細で神経質な主張なので、主旨を要約するにも違ってしまいそうだしとりあえず見てほしいんだけど、私は福井さんの弁をお聞きして
・〇〇じゃない=▲▲(即ち背反)だという乱暴な格付けはやめてくれ
・多分“演じ手“の数だけ「これが俺(私)の〇〇だ」という覚悟と定義がある
というふうに読んだのです。
確かにさ、それがない“演じ手“ってなんなのよと。10代から芸事をしてきた人間からしたら、当たり前のことだったな。
遅くなりましたが、これが今回の主題です。
これが俺のサロンスタイルだという矜持、ある?
先に紹介した『ひくねとチャンネル』。その中で
「コマンダンテの石井くんが『(あれは漫才でもコントでもなく)茶番なんじゃないですか』と言った」
というの、個人的にはすごくグッときました。石井くん失礼!とか噛み付いているファン?いはりましたけど、芸人さんにとって“茶番“ってめちゃくちゃ褒め言葉だと思うんですよ。お笑いってプロレスやプロ野球の延長だと思っているので、茶番って最上級の褒め言葉やん。そこに噛み付く無作法、だいぶ引いちゃいましたけど。話が逸れましたが、一応そこは弁護しておきたい。
茶番って、滑稽な物事を表す言葉です。
石井くんの言うところの“茶番“って、美容コンテストでいうところの「なんか分からんけどとにかく可愛い」っていうのと一緒だと思う。
この回でも言いましたが
とは言え、やっぱり大衆が沸いたら加点はしたくなるのも心情だ。「競技の笑いだから大衆ウケは一切加味しない」というのも、これは極端で間違っていると思う。美容の技術コンテストでもあるんだ、うーん、何が新しいとかエッジがあるわけではないんだけど、どう考えても誰よりもめちゃくちゃ可愛いんだよな…というとき。競技の笑いと大衆ウケは一致はしないが、背反もしない。線引きもできない。マーブル模様の微妙な色で、毎秒変わるものだ。
こういう“マーブル“の中で出てきた言葉が、石井くんの【茶番】という絶妙な表現だったと思うわけ。すごいなと思いました。
じゃあ、この【茶番】に匹敵する言葉が、私たち美容業界にあるんかコラ?という話です。
結論から言うと、ない。
だって、「サロンスタイル/クリエイティブ」の違いを“定義“できている人間が、主催側にもジャーナルにも美容師さんにすらいないからです。
これは、クソみたいな本当の話。
漫才とコントの間を埋める「なんか知らんけど面白い、あれ“茶番“やで」と言うラベリングは、漫才とコントの定義が評価する側にも演る側にもあるから成り立つ言葉なのだ。それが、美容コンテストのたった2軸「クリエイティブ」と「サロンスタイル」の間にすら明確な定義が誰の心の中にもないことが、今回久しぶりに「そっか〜、そうだったわ〜🙈」と絶望した次第だったのね。万死じゃん。
7年勤めて、めちゃくちゃ考えて苦しんで思うんですが、やっぱりこの物差しができていないのは、ジャーナル審査員とコンテスト主催の怠慢なのかなと最近気づきはじめています。申し訳ございません、、7年分の。
このいい加減さをどうにかせなあかんのやろうなと言うのは、私の「美容の賞レースを他の業界と同じように、なんとか若い才能が食えるステップにしたい」という人生の壮大な目標に対して打破すべき課題なのかなと感じたりしています。
美容師さんが言語化が苦手とか、元来緻密なタイプが少ないとか、そう言うことは言い訳にならないと思っている。私がオタごとで見てきた「タカラジェンヌ」や「ジャニタレ」は芸事一本の中卒〜高卒でなっていますし、先に例を出したお笑いさんも似たようなもんなので。
結局、美容師さん側からの進言もあるのだろうが「美容師さんって文字読むのが嫌いなんですよ」みたいな話に「ですよね☺️文字読ませないように売れるもの作りますね☺️☺️」で済ませてきた数十年の責任は周辺企業(つーか業界誌)にあるんだよなと自分をグーパンしたと言う話です。
私にとっての“定義“をおいて帰りますね
先述の「ヨモヤマフォト」さんの審査に際して求められた「コメント」に、私が寄せた文章です。
まず、審査させていただく際に私が常に意識している「サロンスタイルとは」という基準を示しておくと、人が主役の作品であるということに主軸を置いています。
写真としてのムードやヘアメイクが主題でなく、あくまでサロン帰りのその人を撮りましたという雰囲気をたたえていてほしい。そこが私なりのクリエイティブとの違いです。
その上で、票を入れるとなると
・ヘアの色、形、質感がしっかり味わえる
・モデルさんに似合っている
・今のトレンドから一歩踏み込んだ新しさがある
という3つの視点で選んでいますので、今回はこちらの作品にさせていただきました。
今日、口の悪い記事を通して主張しまくりましたが、本来ジャーナルや周辺企業がここまで考えねばならないところを有耶無耶にしているにも関わらず、ここまでの長文コメントを結果発表に際して全文掲載してくださったことに改めてお礼申し上げます。
願わくば、せっかく美容師さんが作るムーブメントだからこそ、この「サロンスタイルとは?/クリエイティブとは?」を、もっとちゃんと言語化していきたいな!と思いはしましたが。
「髪としていきすぎていないからサロンスタイル」?
「ヘアメイク、写真、作品として作り込んでいるからクリエイティブ」??
……基準が明示されていない以上、それぞれの物差しがあっていいとは思うんですが…………😇
それってファッション業界の「モード/トレンド」の線引きと照らしたときどうなのかな?って思ったりもして。
周りに対して遅れてるぞと被害意識を持つわけではないですが、エンタメにしろファッションにしろ、他の業界はそう言う【基準】を内部発生的にご自分でも考えていますよ〜と言うことを残したくなりました。
クリエイティブスタイルもサロンスタイルも、ゆくゆくは街を意識しているんじゃないの😇😇😇
多くのコンテストシーンが、美容業界のM-1になるといいのだが。
ご清聴ありがとうございました。
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