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引越★2人の《赤》のリスタート/推し(贔屓および担当)の心を守るためにオタクがすべきことを真剣に考えた

当noteはしばらくアタイの旧住所から過去記事を転送しているよ

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今日、わたしは初めて芸能人の公式アカウントに@ツイートした。

昨年末に関ジャニ∞を脱退し渋谷すばるさんのソロデビューアルバム『二歳』を聞いたこと。好きな曲、感想と感謝を伝えるためだ。

Twitterという匿名性の高いSNSでリプライすることすら、出会い頭に曲がり角から飛び出してきた知らない人に話しかけられるようで怖いだろうなと思い、アカウントをつくってから8年間そういうことをしたことがなかったのだが、今月10月にみたある光景を目の当たりにして、伝えられる好意はどんどん伝えるべきなのだと考え方が変わったのだった。

贔屓の卒業とフェアウェルパーティ

2019年10月13日。

知ってのとおり、ご贔屓の紅ゆずるさんが東京宝塚劇場大千穐楽を持って星組主演男役としての任を終えられ、宝塚歌劇団を卒業した。

熱心な会活動貢献はできてこなかったけれど、この節目くらいはと朝晩のガード、魔術師活動()とたくさん贔屓と会員さんと時間を過ごした。

そして大千穐楽、パレードのお見送り。

すべてを終えてフェアウェルパーティを、会場の端の方から眺めながら気づいたことがあった。 

たくさんの愛に包まれる時間こそがこの世界で最も強力で誰にも負けない心の武装だということ。

それまで、ガードも、お茶会も、スターさんは大変やなと思ってきた。出勤前や退勤時間に欠かさず手紙を受け取り、一言話す。疲れているところをバシバシ写真に撮られる。酷い場合はその写真をSNSに流される。歌のプレゼントの練習もしなくてはいけない。楽しく享受しながらも、生徒さんに「申し訳ない」と心のどこかで思っていたのだった。

が、あの日考え方が180度変わった。

会員やタニマチのみなさんだけの超閉鎖的な空間というのとあいまって、あまりにもリラックスムードなさゆみさん、星組子。

悪意の入りこむ隙間もない、狭くて閉ざされた直接の触れ合い。

さゆみさんは、とてもしあわせそうだった。

礼さんに至っては「パンナコッタ!」などと叫び、客席を変な空気にしていた。紅さんは大爆笑して、礼さんの背中を抱きかかえる。最近見た礼さんの中で、最もリラックスし、何の武装もない礼さんだった。

 

悪意は通り魔のように、どんなに注意していても出会い頭にぶつかってしまうものだ。

あの日のあの場所のように、完全に悪意を排除した空間をつくるのは中々難しい。ある程度の開けた交流がなければ、市場が開拓できないからだ。閉ざしていた中から愛がいきすぎてむくむくと悪意が生まれることもあるし。完全に排除するのは無理。

とすると、どうやって彼女たちの心を悪意から守り、健やかに仕事に集中してもらうのか。

それがガードなんだと思う。

これだけの人があなたを応援しているのだと示すこと。毎日。毎晩。これによって、実は彼女たちの折れそうな自信や自意識を守ってきたのではないかと、20年ファンをやってきて今更気づいたものであった。

ガードはベルばらブームのときにこれまでにないたくさんのファンが殺到し混乱をきたしたときに生徒を守るために定着した習慣と何かで読んだが(違ったらすみません)、その成果もあって暴徒が押し寄せることのない今なお、生徒さんの心を、愛で悪意から守っているのだなと思った。

もちろんガードだけがすべてではない。

ヅカには折に触れてお手紙を書く習慣があるし、とにかく、ほかの界隈と圧倒的に違うのが【課金以外で愛情を直接伝える習慣】が、本人たちにもわたしたちにも根付いているのだ。 

廓の女郎が「男」を人格として尊重するか

で、リード文の話に戻る。

わたしは3年前のリサイタルを最後に担降りするまで、関ジャニ∞のファン・エイターをやってきた。

表向きは村上信五担、10歳の頃から渋谷すばるが好きという、隠れ渋谷担として。エイターとして現場に行ってたのは約11年かな。これまた結構気の長い話ですが。

今年奇しくもそのグループから渋谷すばる・錦戸亮と脱退したわけで、そのことの是非はここで語るつもりはさらさらないが、ジャニーズの子たちにはヅカのように「課金を伴わずに愛に触れられる」という機会が圧倒的に少ないということに気づいたわけである。

コンサートで、イベントで、キャーキャー言われるのは気持ちいいだろうが、豆粒のような顔が並んでいるその情景から、悪意から守ってくれるほどの愛を得られるのだろうかと訝しいのである。


そしてこの懸念は、実はずっと以前から抱いているものであった。

ファンでない人にはもはや記憶にもないかもしれないが、関ジャニ∞と、ついでに彼らの弟分の某Gは、共に番組内での女性の尊厳にまつわる発言や行動に関して、世間からお叱りを受けた例が表沙汰に炎上した件でそれぞれ1件ずつある。

この時ファンもファンじゃないその界隈の人も含め

「番組制作者が悪い」だの「コンプライアンスとして価値観をアップデートするべき」だの最もらしい、えらそうな意見が溢れて辟易した記憶がある。

わたしはこの問題は「令和的ジェンダー観についてこられていないアラサー男子」などという表層的な問題だとはとても思えなかった。


タレントとしての彼らにとってはファンである女性はお客さまだと思う。

一方、素顔の、10代からある意味性を商売道具に生きてきた彼らにとっての女性は…

自分に群がり、人生を囲う女。性的に守られるべき少年の頃からである。

ひどい場合は「暴漢」に近い嫌悪の対象なのではないかと思う時すらある。

もちろん特定の大切な恋人を愛することはあるだろうが、それも「他の女」と同じように軽蔑して性的対象と割り切っている人も、別な生き物として慈しんでいる人もいるだろうなというのが、今のわたしの彼らのジェンダー観に対する雑感である。

やられたらやり返して良いとか弁護したいのではなく、そういう背景として、日常的に向けられる悪意の足枷があるのだという一考察である。 

暴徒化する女と触れ合い続けるという地獄

ここまで彼らのファンを「暴漢」呼ばわりするには、もちろん実体験がある。

そもそもに、彼らの行き過ぎたファン(と呼んで良いものか…便宜上ね)の犯罪スレスレの追っかけ行為については、ニュースなどでファンでない人の目に触れる機会もあると思う。専門用語でいうとマナー違反のつきまといや攻撃的なストーキング(家の周りで音楽をかけたり同じ車両に乗り込んだり、関係者に悪態をついたりするなど)を行う連中を【ヤラカシ】という。一応、ヅカほどではないがマナーがあって、小さい劇場の出待ちやお見送りなどが行われるケースがあり、それに熱心に通うファンを【オリキ】といっていた。今はどうなんやろ。いずれにしても、現場規模がアリーナレベルになってきたり売れて多忙を極めてくると、そういった行為も含めてすべて制限されるとは聞くが。

まず、そうやって日常の中で彼らは性的どころか生活の尊厳すら危機に晒されながら生活をしている。通り魔や出会い頭の事故どころか、もっと高い頻度で悪意にさらされた生活をしているわけだ。 

さらに、彼らに悪意を向けるのは【ヤラカシという特定の狂った人】だけではない。ごく一般のファンも、時に彼らの尊厳をざっくりと傷つける。

ここからが、先に述べたわたしの実体験だ。

 

『47都道府県ツアー』のとき。

あのコンサートは全公演アリーナでの公演で、スタンド席まで通路下りがあり、大変楽しませてくれたアットホームなコンサートだった。その公演で、わたしは通路を一緒に行った友達を1人挟んだ席で参戦して、友達は通路真横席をとても喜んでおり、わたしも楽しみにしていた。 

そして、通路上方にあるメンバーが現れた。

と、わかるよりも先に友人の反対隣の人に突き飛ばされ、わたしより遥かに小柄な友人にぶつかった。わたしはその人もきっと、自分のようにさらに後ろの人に突き飛ばされたんだと思った。友人は通路に出まいと必死に踏ん張った。が、その子の目の前には1列下の席から通路に出た人が登ってくるわ、わたしは【先ほどその人もきっと突き飛ばされたと思った後ろの人】に肩をつかまれるわでもみくちゃになった。

友人の目の前にそのメンバーがきた。

今度は1列上の席から背もたれを乗り越えて入ってこようとする人が来た。わたしは友人の華奢な背中を抱きかかえるように肘で守りながら踏ん張った。

誰かに左腕を強く掴まれ、すごい体重がかかる。

手から、腕をたどっていくと、わたしの腕を掴んだのは衣装を引きちぎられるような勢いで反対通路側に引っ張られ、通路に戻ろうとバランスを崩したそのメンバーだった。

目があった瞬間、彼は即座に

「ごめん!大丈夫か!?」

と言って手を離した。わたしはあまりの恐怖に、頷くことすらできなかった。

体勢を整え直した彼は、何事もなかったかのように通路からトロッコに飛び乗り、また笑顔をつくって客席に目線を送った。 


彼に左手を掴まれた跡は、翌日まで残った。

わたしは左手のアザを眺めながら、彼らの日常を慮った。なんという心の負担を毎日毎秒リセットしながらこなしているんだろう。

あの状況で「ごめん」はおろか、わたしに対して「大丈夫か!?」と問える思慮の速さも、きっとそれゆえなんだろうなと思う。自分の安全すら危うい中で、【暴徒】というかたまりの中から、状況を冷静に見つめ、その中の1人の人間に即座にフォーカスして慮れる。なんて強い。

そんなに素行がいいという噂を聞かないメンバーだし、何の思い入れもなかったが、わたしは推すか推すまいかは別として、彼のプロとしての姿勢に感服するばかりだった。

愛する人の心のゴムを切らないために

その【彼】は今、グループに属していない。

そして外に出て、今まで使えなかったSNSというツールを通して、ファンとの直接の心の渡し合いを楽しんでいる。ここまでいえばもう名前を言ったようなもんだけど、現場の特定を避けたいのでこのまま【彼】と呼んで終話することにする。

彼は在所中、ファンクラブ有料コンテンツで課せられるブログに対し非常に不精な人だった。だからSNSなんてするまいと思っていた。それを今、楽しそうに駆使している。

それをうがった見方で揶揄する人が多くいるが、わたしは、たぶん彼はポジティブな愛情を直接受け取りたかったんだなと捉えている。

【課金以外で伝えられる愛情】に包まれずに走り抜けてきた彼は、すごく強い心を育て、一流と呼べるプロアイドルになった。

誰にも【ガード】されず、悪意も攻撃も一身に受けて、たまに人を傷つけて、きっと心のゴムが切れそうだったんだと思う。 

今【無課金で愛情を渡し合うツール】を通して「ファンを不安にさせるようなことはやめてくれ」と懇願した勇しく優しい姿を見て、あの日即座にわたしに「大丈夫か!?」と言ってくれた下がり切った眉目を思い出すのである。


愛情や感謝を自由に渡し合うことが、悪意から心を守る一番の方法なんだと確信したのだった。

 

***

とまあ、長々と失礼しましたが、そんなわけで初めて推しにリプライをするという体験にいたったわけです。

ここまで黄色の話をしといてなんで赤の方やねんというと、まあ単純に黄色はそもそも推しじゃないこれからも推さないし(冷酷)、ずっともっと繊細な歌い手である渋谷さんを【ガード】したいなぁと思ったからでした。

また、ヅカ活への姿勢も単なる課金から手間ひまかける応援に変えていきたい。もし会に入ることがあれば極力入出には顔を出したいし、無理ならお手紙を書きたいと思う。座付にも書きたい。サイトー先生お茶会やろう?とか。会服はVネックT、お茶菓子はザッハトルテがいいかな??

ゴキブリのごとき週刊誌くだりに商機を嗅ぎつけられるほど一部のファンのリテラシーが乱れきった今、生徒さんや座付・スタッフに向けられる悪意を消すことは、もうできないと思う。

だとしたら、彼らの心を守るために何をするか。

 

誰がなんと言おうときみがだいすきだと、言い続けるほかないと確信した、贔屓の卒業だった。


改めて紅ゆずるさん、卒業おめでとうございました。

新しいステージも、ぜひ共に。


すばるさんも【彼】も、これからたくさん直接の無償の愛を受けて、心伸びやかにがんばってな。

もちろん残された5人も。茨の道だろうが、ほどよく。心のゴムが切れないことだけを祈っています。

 

 ご静聴ありがとうございました。

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