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【2013-2021】東京転居備忘録❷【仕事柄痛み入った「高価値の押し付け」】

上記の続きです。

引っ越しを機に「家でどう生きたいか」が特にないことに気づいてしまった35歳の話。暮らすという言葉が気分ではないため、生きるという動詞を使いましたが。朝日が昇って陽が落ちるまでをただ過ごすというより、たった1日でも命をどう使うか見たいな気分です。今は。

知恵に金を払いたいんだけど、という残念さ

前回↑でも触れた通り、数社の不動産会社や仲介業者に接触しました。まあその70%がしょうもないと言いましたが、契約が決まりそうなのでと内見のキャンセルを予定日の1週間以上前にメールしたが一向に返事がなく、前日に電話したら「担当は今手が話せないんですが、あなたはとっくにキャンセルになってますよ」と言い捨てられたSUUMO経由のM部屋や、今回内見したところは埋まったというが他の部屋を紹介をして欲しいとメールしたらそこからシカト決め込まれたg社など、基本的には東京に出てきた時のまま不動産業のイメージは最悪のままです。これがアベレージなんだろうな〜という印象。

正直、部屋を決めて以降の引越し業者さんだったり、ガス会社さんだったり……という、いわゆるブルーカラー系の業種の皆さんにほんっっっっっとうによくしていただいき、特に引越し業者さんはこんな安価でいいんですか兄さん!とつい言ってしまった程だったので、なんか物悲しい気持ちになりました。本人たちの儲かる儲からないは置いといて、消費者側としても払いたい先に払えず、払いたくない先に払わねばならないってなんだろなって。課金しがいがないというんですかね。この発想はいかにもオタクっぽいけど。

ちなみに、課金しがいがある引越し業者さん、今回使ったのは「東京ムービング」さんです。私が転居日不問だったのもあったんだろうけど信じらんないくらい安くて(2万円切った)、リーダーでいらしたおいちゃん、とっても素敵な人だった。普段は自営業で、元サッカー選手で、趣味で引越し業をやってるんだそうです。キラキラしてました。ああいう生き方素敵だなという人に、引越し業のおっちゃんという形で出会うとは思わなんだ。

で、話はそれましたが、そんな不動産業👎の私でしたが、2人だけプロだなあと思う人に出会えました。

1人は、自社で分譲賃貸の管理も行うような高級賃貸を主に扱う会社の主任みたいな人でした。サラサラのロングヘアでクールな女性の担当者。気になった部屋の内見から出会ったんだけども、この人のかっこ良かったところは地名を言った瞬間に、大体の主要都市までの乗り入れとか路線とかが即座に出てくるところでした。田舎から見ると「普通じゃん」という感じだと思うんだけど、東京に住んで8年、いまだに複雑だなと感じるし、実際複雑なんですよね。わかってるようで、NAVITIMEとかで検索すると、思ってもないような経路が出たりしてですね。

東京や首都圏全域を管轄する会社とのことで当然知っていたのもあるのでしょうが、東京全域の魅力をご存知な方という印象がありました。特に、私が働き方の変化の影響で「エリアを問わない」となったことに親身に対応してくれました。

逆に、大手の、支店が特定のエリアを管轄しているところは自分のエリアの利便性を判を押したようにお話になるんですね。前に住んでたところが「荻窪」なんですが、中央線が乗り入れて、丸ノ内線が始発で、という。そんなの路線図見たらわかるんだけど、という話。美容業という視点ながら、いろんな地域にお邪魔していろんな地域の魅力に触れてきた身としては、地域を生業にしていてその程度しか話せないんですか……という人ばかりだったので、東京や首都圏全域を管轄するその会社の若い女性が、各路線や各エリアの特色などを親身に話してくれるのはとても印象的で、プロだなあと感心したものでした。

結局、その会社で契約はしなかったんだけど、地域に根ざした知識を売り物にしている会社がある一方で、かたや判を押したようなつまらない対応をしている会社も同じように商売しているわけで、振り返るとなかなかモヤモヤするなと思っています。もっと掘り下げると、超絶神対応&肉体労働の東京ムービングさんみたいな引越し業者は、ユーザーが払う料金は安価なわけで。

ものすごい気持ち悪いなと思いました。

肉体労働こそ価値があるとは全く思わないし、磨かれた知識や基礎研究など、ホワイトカラー系の業種も大事なんだけど。人の数だけ物差しやら塩梅がありそうで、難しい話です。

結局契約した業者の担当さんは“オタク“だった

で、その東京の地理に詳しいロングヘア美女のところで契約しなかったのは、何度かやり取りするに従って価値観の相違に気づくことになったからでした。

「築浅の物件空きました」「30㎡の高層階です」

見てみると、とっても綺麗なんだけどめちゃくちゃ北向きだったり……、あとは居室8畳でフローリング&それなりの水回りという、前の家と大差ない条件で駅からも遠くないんだけど、隣やテナント1階にボロボロのアパートや明らかに場末感ただよう居酒屋があるような物件だったり……この場所でこの家賃なら前の家は普通だな…というか。利点は築浅で高層階ということだけ、みたいな。

何より、もともと在宅勤務になるので家にいる時間が増えるため、基本的に南向きで探していますと言ってるのにこの提案だったんですよ。南向きでも向かいに高層マンションが立っていたりしたら意味がないことも流石にわかっているので見てからの判断になりますが、その観点鑑みても日当たりが悪く。何より、まだ退去してないなどの理由で見られない物件が多かったのも不信感が募る原因になりました。

彼女との溝が埋まらなかった一番の問題は、振り返ると、条件以前の価値観の問題な気がしています。

一見関係ない話なんですが、不動産内見系YouTuberの「ゆっくり不動産」さんという人がいるんですけど↓

この人が言うところの「田の字物件」こそが最強で正義と思ってるタイプなんだろうな〜という感じがヒシヒシする人でした。新しいですよ、使いやすいですよ、収納がたっぷりありますよ、みたいな。

うーん、エリアやセキュリティ・設備に関しては「もう少し希望のエリアありますか?自由に考えていいんですよ」と言ってくれたのに、日当たりや使いやすさみたいな要望に関しては引き出しがなかったんですね、多分。「田の字」の高級賃貸の築浅で高層!このお値段!みたいなことを推してきたキャリアだったんだろうな〜と思いました。築浅となると日当たりは無理です!そう言うもんなので、みたいな。また、彼女の場合これまでそれでいけたわけだから、そう言うニーズが99%なんだろうなという発見にもなりました。

ほんで、最終的にお部屋を仲介してもらったのは「R-STORE」さんになります。

ここも都内などいろんな地域の物件を持っている会社で、エリアを絞らず気になるところ全部見せてもらいました。人によってはウィークポイントかもしれないが、1日にいろんなエリアを内見するとして、車を使わず電車移動をさせられるところが個人的には好きでした。正直担当者さんと車の中で小一時間過ごすのストレスだしw(人の運転が気になる、神経質なので。特に車線変更が) 何より最寄りの駅からの街並みが見られるのはめちゃいいと思うからです。R-STOREさんは社用車なしの案内申し訳なさそうに紹介してますが、個人的にはむしろメリットちゃうの? 私、他社さんの場合車で連れて行かれても、歩ける範囲は無理言って駅まで歩かせてもらったりしたので。

で、見出しに「オタク」と冠してますが、うちの担当者さんは無垢フローリングオタク&変わった間取り住まいやバス交通に精通した人でした。ナチュラルおしゃれな雰囲気の同世代女性。

この、彼女の特化した知識は全て、ポータルサイトで見つけられないポイントなんですよね。

2人で亀戸やら用賀やらいろんなところ回って、最終的にバスを乗り継いで今の家に出会うことになりましたが、彼女、いい意味で物件に良し悪しのランクをつけないところが好きだなと思ったんですね。「ここはこう言う使い方ができますね」「ここはウィークポイントかもしれないです」みたいな感じで。何より、楽しそうでした。1軒、ルーフバルコニーがあるアパートに行った時は私よりテンション上がってて、屋上で2人で爆笑したり。

うちの業界でもいう「価値」ってなんやろなということ

で、今結局、間取り図的には一見住みづらそうな変な形・収納なし・水回り一体型の家で非常に快適に過ごしているわけです。多分前者の“高級賃貸”の会社の女性からするとびっくりするようなスペックだと思うんですけど。収納も自分でカスタマイズできると思うと無限だし、掃除がしやすいし、何より前の家で作れなかったワークスペースを作れてるし……。自分は取るに足らないクリエイティビティのつまらない平均的な人間だと思っていましたが、部屋の使い方は常識に縛られない方が使いやすいんだなと新たな発見でした。

一番びっくりしているのは自分で、これまでいろんなインテリア雑誌とかルームツアー系YouTube見てて「見せる収納なんてありえへんやろ」と思ってたわけなんですが、いざ住んでみると「見せる」とまでは行かないけども、オープンクローゼット超快適なわけです。これもまたいつか記事にしたいけど、掃除しやすいし衣替え&買い物しやすいんだよね〜。あの、折戸を滑らすレールにたまる埃が超超超ストレスだったので、家の隅々までケースさえ動かせば掃除できる家に出会えたのは、ここ数年で一番の幸せかもしれない!というくらい。

住んで1カ月、今掃除が超楽しいです。改めて、クローゼットって何?要るの?って気になってる。ウォークインできれば別なんだろうけど。ウォークインできなくて幅取ってるクローゼット、全部いらねーなという境地でおります、今。見せる収納系の部屋、一人暮らしなら最高だというのが今回の転居最大の発見かも。もちろんお子さんがいたら無理だろうなとは思いますが。

そういうのも、よくある「田の字」至上主義で選んでると出会えないライフスタイルなので、今回R-STOREさんに出会ってよかったなと思いました。

今回、そういう自分でも気付いてないニーズって、どの分野にもあるんだろうなと思ったわけです。自分の業かは美容ですが、ファッションでも飲食でもその他サービスでも、99%にとっての高価値が、目の前のその人にとっての高価値とは限らないということ。

でも、その一方で“普遍”もあるはずだということ。

部屋探しから、本業のそんなことを思いました。

答えは全然出てない。チューニング中です。

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オチのない長い話にお付き合いくださりありがとうございます。

収納やなんやの話もいつか書きたいんですが、そんなことを偉そうに書けるほど丁寧に暮らしてもおらず……

目まぐるしく過ぎていくなりに、大事に使いたいと思います。

次回からまた村上さんのお焚き上げに戻ります!

ご静聴ありがとうございました。

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