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南インドにある世界最大規模のエコビレッジ「Auroville」へ弾丸一人旅してみた話

先日、1週間ほどの有給休暇を取り、世界最大規模のエコビレッジとして知られる南インドにある「Auroville」を訪れました。(2023.10.26-29)
このnoteでは、自身の備忘録も含めAurovilleでの経験についてまとめました。
Aurovilleに興味がある方、これから訪問予定の方の参考になれば嬉しいです。

世界最大規模のエコビレッジAurovilleとは

Aurovilleは1968年に「持続可能な生活と人間性の進化を通じて世界平和の構築」を目的とし、インド人哲学者とフランス人芸術家によって創設されました。
Aurovilleではエコフレンドリーな建築や再生可能エネルギー、有機農業が取り入れられており、ハンドクラフトやアート、観光業農業、ワークショップから収益を得ています。
また、自動車やコンサルティング企業として有名な
TATAグループやユネスコ、インド政府からの支援も受けているそうです。
現在は若年層を中心に約3500人(多国籍)が生活しており、「世界最大級のエコビレッジ」とも言われています。

Aurovilleの象徴であるMatrimandir(マトリマンダル)
住人の集会場所としても使用されるが、2023.10月時点では周辺工事中でした

Aurovilleを訪問した目的ときっかけ

Aurovilleを訪れた動機は「世界最大級のエコビレッジをこの目で見たい」でしたが、Aurovilleを知るきっかけは偶然でした。

9月某日、札幌からの帰路で成田空港の国際線エリアをふらふらしていると、仕事のストレス相殺に値する刺激強めな国に行きたい衝動に駆られ、帰りの電車中で海外航空券サイトを眺めていると「インド チェンナイ」という文字が目に入りました。
初めて知る「チェンナイ」という場所を調べてみると、「世界最大級のエコビレッジAuroville」と書かれた記事を見つけました。

6月〜9月は専ら、自然農を学びに月1で北海道の農学校へ行っていたことや北海道のエコビレッジを訪れていたことから、このAurovilleの出会いは直感的に呼ばれてると感じ、Auroville行きを即決しました。

自分の時間を生きる空間や選択肢が広がる場所

Aurovilleに行くまでの道のりは想像以上に簡単ではなく、紆余曲折紆余曲折紆余曲折….(割愛)あり、インドの洗礼を浴びながらも無事到着。

Auroville内にはゲストや住人向けの様々な活動が行われており、
各活動はドネーション制や予め金額が決められているものなど様々あります。
内容はヨガやマントラ、瞑想、アート、ファームのボランティア等、多岐に渡り、それぞれ主催者にコンタクトをとり自由に参加することができます。

ゲストハウスやカフェの掲示板にアクティビティ情報が掲載されており、
直接訪問または電話・メールで主催者にコンタクトして参加する
掲示板以外にも冊子にAuroville内の情報がまとめられており、
団体でのイベント情報から個人的なタクシーの相乗り募集も掲載されている

自然と住居が調和的に共存する場所

Aurovilleにはいくつか素敵なゲストハウスや滞在施設があり、私は2泊3日ゲストハウスに滞在しました。

ここにある全ての住居と自然は完全に調和しており、いずれかが誇張しているわけでもなく、むしろ自然の中に人間が住まわせていただいていると感じるくらい住居が自然に、慎ましく溶け込んで存在する風景がとても理想的で落ち着く感覚がありました。

滞在した緑豊かな美しいゲストハウスのお庭
写真から感じる緑の澄んだエネルギー

※もし滞在してみたい方は参考にしてください。
ゲストハウスを予約する際はウェブサイトで事前に連絡する必要があります。
ゲストハウスの管理人から連絡があり、滞在期間や部屋の希望グレードの希望を聞かれるので、希望を伝えてアレンジしてもらいます。
Aurovilleを訪れた10月頃は長期滞在者が多いタイミングで部屋の空きが少なかったため、選択肢は1つでしたが、かなり快適なお部屋でした。

滞在したお部屋の窓から煌々と差し込む光に毎朝癒しをもらいました

「自然農」提唱者である福岡正信氏の農法を実践するファーム

Auroville内には様々なファームがあり、その1つに自然農法の提唱者である福岡正信氏の農法を模倣したファームがあったので最終日にファームツアーに参加してみました。

ファームツアーでは、ヨーロッパ人(おそらくオランダ人)の方がファームの特徴や自然農法について解説し、参加者全員が素足になりファームを回りました。
インドの地でヨーロッパ人が日本人の提唱する農法を解説している光景がなんだか不思議でしたが、今思えば自然を前にして人間の国籍や言語の違いなんぞは本当にナンセンスですよね。

ファームツアーに参加する各国からの参加者
アジア圏だと日本人(記者)や韓国人(投資会社の社長)にお会いしました
環境系NGOで働くフランス人カップルもいたり、多様性あふれるツアー
黒マルチの代わりに自然に還る
枯れ草を野菜の周りに撒いている光景(不耕起)
ほぼジャングルな農園
福岡正信氏の書籍「わら一本の革命」から引用されたQuote的なものが
ファーム内のあちらこちらにありました

ちなみに、このファームではほぼ毎日ボランティアを募集しており、朝〜昼過ぎまでボランティア活動を行う代わりに朝ごはんとお昼ごはんが提供されます。
(本当はこのボランティアに参加したかったけど、ファーム入口が分からず迷子になり到着した頃にはボランティア受付終わっていたため、諦めてファームツアーに参加しました笑)

FARM TO TABLE(農園から食卓へ)をベースに
農園で採れた果物や野菜を使ったメニューを提供しているカフェ
※価格は現地価格よりやや高め

一人一人の意識で成り立つ「平和」

Aurovilleの全容を知るには2泊3日の滞在期間は短すぎましたが、滞在中に改めて考えさせられた出来事もありました。

1つエピソードを共有させてください。
Auroville内を散策中、たびたび「Conscious(意識)」という言葉を目にする瞬間が多く、頭の片隅になんとなく残っていました。

レストランで見つけた「Conscious」

Auroville滞在の最終日に参加したファームツアーで、一緒にツアーに参加していた日本の某通信社の記者の方が「Aurovilleについて記事を書きたいので少しインタビューをさせて欲しい」「Auroville滞在での気づきや学びを教えてほしい」と、私に声をかけてくれました。
Aurovilleでの情報量の多い時間や出来事を整理できておらず、今はうまく答えられないかもしれないと思いながらも、何か執筆の材料になれば、とあれこれ考えた末、「Aurovilleで感じる『平和』の感覚は日本とあまり変わらない」と田んぼに片足入れたようなぬるっとした回答をすると、記者さんが求めている内容ではなかったようであまり納得されずに帰られました。(すみませんw)

その後、帰りのタクシーの中で「的外れな回答をしたな・・」と申し訳ない気持ちを引きずりながらAurovilleで感じた「平和」を反芻していたところ、施設内で度々目にした「Conscious」という言葉をふと思い出しました。
そして、そこで感じた「平和」の感覚は住人の意識によって作られているものであり、私は住人が作り出した美しい意識の映し絵のおこぼれをいただき体験させてもらっていたのかもしれないと感じました。
それは日本で感じる平和ともまた違うような感覚で、日本で感じる平和が無意識で実現されているならば、それはただの「無関心」という表現や感覚が近しい気がしました。

自分含め一体、国民一人一人がどれくらい平和や自分の周りの環境について考えて生活しているのだろうか。世界ではメディアには報道されない紛争や内戦など様々な強烈で残酷な瞬間が毎秒流れる中で「日本って平和だね」と他人事のように軽量な言葉で片付けながら今日も習慣的にSNSや芸能ニュースを流し読みしている。

そんな日常が無意識的に漂っている虚構な世界を平和と呼べるのか、または無関心と表現するのが適切なのか、なんてことを考えました。

Aurovilleに来て、意識の集合体により発生する「平和」の違いを目の当たりにし、「いま」「ここ」を改めて考えるきっかけとなった素晴らしい滞在経験でした。

書き足りないことだらけですが、
ここまで読んでいただきありがとうございました。


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