佐藤 秀司(小豆島・迷路のまち アートプロジェクトMeiPAM代表)

福島県出身。東京でテレビ局→ネットメディア→小豆島移住。アートプロジェクトMeiPAM…

佐藤 秀司(小豆島・迷路のまち アートプロジェクトMeiPAM代表)

福島県出身。東京でテレビ局→ネットメディア→小豆島移住。アートプロジェクトMeiPAM代表。プラチナ大賞「地域再生賞」受賞。オリーブオイルソムリエ。小豆島ヘルシーランド株式会社地域事業創造部マネージャー。小豆島とのしょう観光協会理事。小豆島ナイトツーリズム協会会長。

最近の記事

多神教文化やアニミズムと妖怪文化との関わり

今回は、多神教文化やアニミズムと妖怪文化との関わりについて、5つの論点から述べたいと思います。 1:宇宙観と自然観 日本には「八百万の精神」があり、万物に魂矢が宿ると言われてきました。田んぼや畑からもたらされる自然の恵みや、その反対に台風や竜巻などの自然災害などから、ヤマビコや山から聞こえる不思議な音、ひいては人々が発する言葉にまで、魂が宿る、という考え方です。このような不可思議な現象に対して、原因や理由は分からないが、「わかったつもりになる」ことで平穏な日常を送ってきた

    • 北斎の凄さも、まちおこしも、結局逆輸入じゃないとわからない!?

      ノンフィクション作家・神山典士さんの「知られざる北斎」(幻冬舎)を読みました。というか2019年頃に読んだのですが、本棚を整理していて再度ページをめくってみた次第。 浮世絵師・葛飾北斎が西洋絵画のアーティストに多大なる影響をあたえ、印象派が生まれるきっかけとなったことは比較的有名な話だとは思います。ただその影響度合いは、想像以上に半端なかった、というお話。(そしてその陰には北斎の人気拡大のきっかけとなったある重要人物がいました。そこがまた面白いのですが、それについてはぜひ本

      • 【大学入学共通テスト】に出題された「江戸の妖怪革命」を読むと、アマビエがブームになった理由がわかる

        大学入学共通テストが下記の日程で行われています。 ①令和3年1月16日(土)、17日(日) ②令和3年1月30日(土)、31日(日)※1 ③特例追試験 令和3年2月13日(土)、14日(日)※2 ※1 ②は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う学業の遅れを在学する学校長に認められた者及び1月16日,17日に実施する試験の追試験を受験する者を対象として実施。※2 ③は1月30日及び31日の追試験として実施。 1月16日に行われた国語の試験、第1問には香川雅信さんの「江戸の妖

        • 【プラチナ大賞】の優秀賞「地域再生賞」を受賞しました!

          本日(10/22)、総務省と経済産業省が後援するプラチナ構想ネットワーク主催の「プラチナ大賞」において優秀賞である「地域再生賞」を受賞しました。 「プラチナ構想」とは、少子高齢化や人口減少が世界に先んじて進んでいる「課題先進国」日本において、最新の技術やイノベーションによってこれらを解決し、「課題“解決”先進国」(=プラチナ社会)を目指す全国規模の取組みです。 小豆島はその日本においても、さらにその先を行く「課題先進地域」であり、この地における地域再生の取り組みは、全国的

        多神教文化やアニミズムと妖怪文化との関わり

          【書籍】「小豆島・迷路のまちの小さな美術館の挑戦」(仮)を出版するためのクラウドファンディングを立ち上げました。

          この本は、特別なスキルや経験のない普通のサラリーマンである著者が、移住先の小豆島で七転八倒し、様々な人に支えられながら地域の活性化に取り組み成長していった物語です。そして本を書くなんて全くの素人という著者が、どんな苦労を重ねながら執筆していくのか、果たして本は完成するのか、リアルタイムに共有できる仕組みであるハラハラドキドキのエンタメ要素満載なクラウドファンディングへのご招待です。 先日、こんな光景を見ました。 小さめのリュックを背負い「迷路のまち」の地図をひろげながら歩

          【書籍】「小豆島・迷路のまちの小さな美術館の挑戦」(仮)を出版するためのクラウドファンディングを立ち上げました。

          妖怪は世界を平和にする⑤

          約6年にわたり、「妖怪アートプロジェクト」なるものに携わってきた筆者が、これまでに得た知識や経験を基にたどり着いた一つの結論「妖怪は世界を平和にする」について連載形式で述べていきます。 YOKAISM(妖怪イズム)とは?さて、お話しはまた妖怪にもどります。 これまで述べたように、妖怪はあくまでも「娯楽」であるということを強調したいのです。妖怪というものは、基本的には怖がって楽しむための存在です。ただし、怖いだけの存在だけではない、より多くの魅力があります。さらに妖怪は単なる

          妖怪は世界を平和にする④

          約6年にわたり、「妖怪アートプロジェクト」なるものに携わってきた筆者が、これまでに得た知識や経験を基にたどり着いた一つの結論「妖怪は世界を平和にする」について連載形式で述べていきます。 「怖い」という感情と妖怪「妖怪」はなんとなく気持ち悪い、怖い存在であるということには異論はないと思います。もし仮に道を歩いていて、そんなものが向こうから近づいてきたら、どうでしょう?もちろん私は、後ずさりしてその場から逃げ出します。そう、妖怪は基本的には怖い存在である、ということです。 命

          妖怪は世界を平和にする③

          約6年にわたり、「妖怪アートプロジェクト」なるものに携わってきた筆者が、これまでに得た知識や経験を基にたどり着いた一つの結論「妖怪は世界を平和にする」について連載形式で述べていきます。 ここでは、私が年間を通じて行っている「宗教行事」について紹介します。おそらく、日本の人であれば共感できそうな、“世間一般の”人たちが行っている宗教行事とほとんど変わらないと思われます。 私が参加する宗教行事【仏教】 大晦日には家の向かいにある真言宗のお寺で「除夜の鐘」を手伝います。 また、

          妖怪は世界を平和にする②

          約6年にわたり、「妖怪アートプロジェクト」なるものに携わってきた筆者が、これまでに得た知識や経験を基にたどり着いた一つの結論「妖怪は世界を平和にする」について連載形式で述べていきます。 妖怪とは何か? さすがに「わからない」といっても、一応の定義は必要ですね。 妖怪について、ウィキペディアではこのように書かれています。 妖怪(ようかい)は、日本で伝承される民間信仰において、人間の理解を超える奇怪で異常な現象や、あるいはそれらを起こす、不可思議な力を持つ非日常的・非科学的な

          妖怪は世界を平和にする①

          約6年にわたり、「妖怪アートプロジェクト」なるものに携わってきた筆者が、これまでに得た知識や経験を基にたどり着いた一つの結論「妖怪は世界を平和にする」について連載形式で述べていきます。 突然ですが、「妖怪」とは何ですか? と聞かれたら、あなたはどのように答えますか? この問いに対して、すぐに答えられる人はあまりいないと思います。 なんか怖いやつ、ゲゲゲの鬼太郎、お化けの仲間、、などいろいろな答えがあると思いますが、明確に「妖怪とは〇〇です」と言えるのは難しいのではないでし

          アフターコロナにおける、アートプロジェクトのあるべき姿を考えてみた。

          小豆島・妖怪アートプロジェクトが運営する「妖怪美術館」は現在(2020年4月)休館中です。チケットをお買い上げいただかなけれは経営は成り立ちません。当然のことながら、売り上げはゼロ。この危機に際して私たちは、オンラインでの有料の入館体験コンテンツを開始しました。刻々と変わる情勢に、試行錯誤が続く毎日ですが、こうしたサービスを開始するに至った背景をお話しします。 以下は、2020年度の事業計画策定や、増大するコロナ禍をにらみながら、2~3月にかけてスタッフ向けにまとめた文章を

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          現在進行形の歴史遺産、小豆島・妖怪アートプロジェクト

          2013年から始まった「妖怪造形大賞」は、瀬戸内・小豆島を舞台にした、妖怪フィギュアの国際的なアートコンペティションです。今回は、このプロジェクトについて、その独自の魅力をお伝えしたいと思います。 小豆島で進む「妖怪」プロジェクト 妖怪造形大賞はこれまでの7年間で、六回にわたり行われました。第一回から、審査委員長の北原照久先生をはじめとして、審査員の皆様にはいつも手弁当でご参加くださり本当に有難く思っています。毎回、グランプリの賞金30万円(第6回のドデカ妖怪造形大賞は10

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          “妖怪”と“折り鶴”の美術館が共存する。小豆島「迷路のまち」

          小豆島に2019年にオープンした「naoki onogawa museum」。 この美術館が小豆島「迷路のまち」に存在している意義や理由についてお話させていただきます。 迷路のまち アートプロジェクトのコンセプト 『神・人間・動物の関係は、ヨーロッパやアメリカでは垂直的かつ不可逆であり、それに対して日本では、円環的かつ可逆的である。このような差異は一神教であるキリスト教の秩序理念とちがった自然観、世界観が日本人の意識をながく支配して、今日にいたっているからである。』 (谷

          “妖怪”と“折り鶴”の美術館が共存する。小豆島「迷路のまち」

          「まち歩き観光」は非情である。

          観光における「まち歩き」の目的はなんでしょう? フランスの民俗学者クロード・レヴィ=ストロースの言葉を借りれば、「祖父伝来の、今も生き続ける迷信の細胞に似た蠢きを、顕微鏡の倍率を変えて浮かび上がる集団意識の膜を観察すること」にあると思われるのです。 ちょっと難解ですが、それはこのようにも言い換えられると思います。 「客体としての都市の中にある多様な主体(店をのぞいたり民家の街並みを眺めたり、職人の営みに触れたり地元民と交流することで得る事柄)を観察すること。」 観察の

          場所の持つ神聖性~自然信仰の気配とは

           私は今、瀬戸内海に浮かぶ小豆島に住んでいる。生まれは福島県の会津若松であるが、地銀に勤めていた父の転勤に合わせて福島県内を転々としながら育った。地元の大学を出るまで福島で過ごし、社会人になってからは東京で15年ほど働いた後、香川県の小豆島に移った。住まいが東北から東京を経て四国・瀬戸内海と流れていったわけだが、私が特に思うのは、東から西へ移動するにつれて、土地の雰囲気や歴史がより重厚になっていく、という印象があることである。瀬戸内海は、昔から朝鮮半島と大阪との海洋交通が盛ん

          怖がれる才能

           怖がる、ということについて少し触れてみたい。怖いという感情は、否定的な感情である。当然、外敵からの危険回避のために備わった重要な感情であり、夜道を一人で歩くときに警戒することで、なにかのトラブルから逃れようとするのは怖いという感情があるからである。生命維持にとって重要でありながら、できれば感じたくない感情のトップスリーにランクインするであろう。怖がる度合いについては、人それぞれで、お化け屋敷に行っても怖がらないでどんどん進む人もいれば、足がすくんでしまう人もいる。  私の