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上海の夜
1990年代の事です。
母がまだ認知症になる前の事。母の友人の会社経営者が、上海で自社工場を建てました。その落成式に母は招待され、私も同行しました。
落成式を終え、夜、自由時間となりました。上海の夜を一人でうろうろしようかなと思いました。楽しそうですね。ホテルを出ました。
そのとたん「時計! 時計!」「DVD! DVD!」と日本語で呼びかけてくる物売りに囲まれてしまいました。
私は考えました。ホテルから出てきたから、私が日本人旅行者だということがバレたんだな。ここは走って逃げてやろう。地元の中国人に紛れてしまえば、物売りに声をかけられることはないだろうと、走り出しました。
ところが走り終わったとたんその先で、「時計! 時計!」「DVD! DVD!」と別の人に声をかけられてしまい、うろうろどころではありませんでした。すっかり興ざめで、ホテルに帰ることになりました。なぜ私が日本人だとわかったのでしょう?
後に私は中国語の勉強を始めます。
中国人の先生にこの話をしたら、着ているものや、しぐさでわかるのだと言いました。最近、街で中国人を見かけることもありますね。しかし、私は着ているものやしぐさで、日本人か中国人か見分けることができません。中国語を話してくれたら、やっと中国人だとわかります。
服装やしぐさで相手の国籍が分かったりするものでしょうか?
愛知県人を尾張人か三河人か見分けることができると豪語する人に会ったことがあります。ちょっと信じられないなぁ。
インドを数カ月旅行したという日本人バックパッカーと話したことがあります。最初のうちは日本人旅行者だということがすぐにばれてしまっていたのですが、数カ月過ごし、土地の物を食べ、土地で買った服を着て、土地の人と交流していたら、旅の終わりごろには、ホテルや空港などの人から日本人だと思われなくなっていたと話していました。
旅行に行くなら、たっぷり時間をとっていきたいですねぇ。
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イラスト by Glowonconcept