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『帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男』を読んで。 20200728

こんばんは!コダカです!!

今日は『帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男 』著・鷹匠裕
氏の感想を書こうと思います。

大手広告代理店にまつわる物語。

メディアの発展によって世界一位の売り上げを誇り多の追随を許さない広告代理店「連広」。

常にナンバー1を守り抜く為に常軌を逸する工作や泥臭く猛烈な仕事に埋没する日々。

次期社長を目指す城田常務はそんな「連広」の象徴のような存在だった。

そんなハードワークな職場で過労死で夫を亡くした妻「真美」が「思いやり制度」を利用して「連広」に入社し、夫が気に入られていた上司城田の元で秘書として働きはじめる。

夫がどのような風景を見て働いていたのか知りたかった真美はその巨人の中枢で自ら経験していく。

堪能。
一気に読みました。

仮名で登場する総理大臣経験した政治家や自動車会社の創業家の社長が登場し、日本の現代史に残る、選挙やスポーツの国際大会、次世代商品の開発まで裏舞台を再現。

そして陰と陽でいえば広告代理店の陰の部分である取引企業への圧力、社内パワハラや派閥争いによる怪文ビラもリアリティを醸し出しグイグイ引き込まれます。

昭和から平成の実際に起こった事件や既知の出来事と答え合わせをしながら読むスリリングな物語は、ページをめくる手が止まりません。

歴史的出来事と個人の動きがリンクしていく構成に、昔見たトム・ハンクス主演の映画「フォレストガンプ/一期一会」を思い出しました。

しかし、ちょうど同じ時代に余波を受ける会社や団体に所属していたこともあるので、どこかで当時の自分と重ね合わせて、これ本当?あ、これ知ってる!と話の中でフィクションとノンフィクションの間を行ったり来たりしました。

そして最初は夫を亡くした真美さんの視点で過酷な仕事風景が切り取られていくのですが、徐々に野心の中にも人情を感じさせる城田常務の視点に移っていく過程が、真美さんのみならず読者の僕の心の変化みたいなものを現しているようで引き込まれました。

完読した後、ちょっとだけ残念だったのはエピソードが多すぎて最後の方がやや駆け足になってしまった印象がありました。
もう少し帝王の落日の景色を見たかったです。

広告代理店の仕事を知りたい方や企業ドキュメンタリーものが好きな人にはたまらない作品だと思います。

これは追伸ですが、角川書店の特集サイトを読んでいたら、作者の鷹匠さんは元広告代理店勤務ということです。
てっきり僕はD社のご出身だと思い込んでいたら、競合として登場するH社の社員だったというのも驚きました笑。

この話は広告業界内の出来事や噂話、あんなことやこんなことをご自身のネットワークを使って取材して、物語にしたそうです。

ディティールがしっかりしているのはそういうことなんですね。

あらすじ
日本最大の広告代理店「連広」の常務に就任した城田毅は、その存在感を示すべく、さまざまな事業の指揮をとる。各業界のトップ企業の広告独占、広告第二位「弘朋社」への圧力など、手段を選ばず強行した。一方、過労死した連広社員の妻だった真美は、「思いやり雇用」制度によって連広に入社し、城田の秘書となった。真美は「この会社に夫は殺されたのだ」と憎悪の心を持って、夫の死の真相解明に乗り出す。しかし城田の間近で働くうち、やがて彼の魅力にも惹かれていく。城田は「帝王」として君臨し、やがて社長に就任するが、後継者として育てた腹心の裏切りに直面する……。(引用:角川書店「帝王の誤算」サイト)
作者紹介 鷹匠裕(たかじょう・ゆたか)1956年、兵庫県生まれ。東京大学文学部を卒業後、1980年、大手広告代理店入社。コピーライター、CMディレクター、デジタルプロデューサーなどを歴任し、2016年に退社。2012年、第4回城山三郎経済小説大賞最終候補、2016年、藤本義一文学賞・特別賞受賞など。東京大学大学院情報学環教育部の非常勤講師も務める。(引用:カドブン[KADOKAWA文芸WEBマガジン]より)


今日も最後までお読みいただきありがとうございました。


参考サイト

アマゾン 「帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男 (角川書店単行本) 」鷹匠 裕 https://www.amazon.co.jp/dp/B07HJYSJQL/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_z06hFbJ99JQYT

カドブン(KADOKAWA文芸WEBマガジン)


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コダカシュウジ
つたない文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。 もっと上手に書けるよう精進します。