『1秒でつかむ』520ページ!テレビ版柔よく剛を制す。
いま流れているテレビ番組、しっかりと見ていますか?
スマフォ片手に、ご飯を食べながら、家事育児をしながら、え?そもそもテレビ持ってないけど…etc
真剣に画面に向き合っている人はそんなに多くはないのかもしれません。
しかし、どんなにくだらないお笑い番組でも早朝の寂しげな5分間のニュース番組でもTVの現場は視聴者に少しでも見てもらおうと、頭が沸騰しそうな創意工夫と血がにじむような努力で番組を制作しています。
今日ご紹介するのは、そんなテレビ制作現場でのアプローチとノウハウをビジネスや日々の生活に向けて書かれた本です。
1秒でつかむ――「見たことないおもしろさ」で最後まで飽きさせない32の技術 著・高橋 弘樹 氏
この本の作者高橋弘樹さん。テレビ東京のディレクターさんで人気番組『家、ついて行ってイイですか?』や『空から日本を見てみよう』等、ザ・テレ東的なコンテンツを作り出している超売れっ子さんです。
逆境を逆手にどんどん他局を追撃するテレ東愛に満ち溢れたページ数はざっと520ページ(!)辞書か?六法か?という分厚さなのですが、中は意外と読みやすく1~4章と持続編から成る32のテーマで構成されています。作者の高橋さんも必要なところを読んでくれというスタンスでした。
特に目からウロコだったのはテーマ11の「自分『取調力』」。
取材者として一番大切なことは、「取材者自身を取材すること」である。(P161より引用)
取材とは、対象者相手に話を聞いたり文献にあたることですが、同じくらいに大事なことがあると高橋さんは書かれています。
それは取材者自身の解釈や思想が無意識に投影されるため、自分自身への認識を明確にしておかないと取材したものが受け手にうまく伝わらないということです。
私も今まで演出論や取材方法に書かれた色々な本を読みましたが、自身への取材という発想は聞いたことがありませんでした。ニュースでもドキュメンタリーでも作り手のフィルターを通ると色がついてしまうというのはありますが、それを事前に認識する視点には正直唸りました。
「自分はなぜそう思ったか?」とよほど意識的に自問自答するクセをつけないと、つい「自明の罠」に陥ってしまう。(P165から引用)
高橋さんが文中で言っている以上のことは、文章制作でも商品PRでも同じことが言えると思います。
その他にも発想力や戦略的な配分の話など、TV制作者でなくても気がついたらガッツリ読んでしまう内容です。
編集者は名著『読みたいことを、書けばいい。』のダイヤモンド社の今野良介氏。今回もいい仕事をしています。
つたない文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。 もっと上手に書けるよう精進します。