『顧客体験マーケティング』
【2019年以降注目のマーケティング関連書籍】その4
『顧客体験マーケティング』
著者:村山幹朗 芹澤連
出版社:インプレス
第1刷:2020年8月21日
実は、このマーケティング本「一読良談」なんですが、予め原稿は書き溜めております。
で、昨秋書いて昨年末か今年第1弾にアップする予定でした、渾身の原稿が私のパソコンから消えていることに本日、気づきました。
もう、心が折れそうで、いっそnote辞めてしまいましょうか、、という心境になりましたが、まだ回復しないものの、これも素晴らしい本ですし、今日はこちらを紹介いたします。。
1. 本書を読んだ背景
もう9年ぐらい前でしたか? JMRX勉強会の懇親会でお会いしたコレクシアを立ち上げられて間もない村山さんの著書、思わず書店で手が伸びました。
2. どんな人に向いているのか?
序章からそのまま引用しますと・・。
「スタンスではなくスキルとして顧客体験を必要としているすべてのビジネスパーソン」とのことです。
そうですね、「スタンスではなくスキル」、最初から最後までその流れです。
さらに本書の内容はこうまとめられています。
「顧客体験を軸とした戦略立案、ターゲット設定、施策の企画、クリエイティブやコンテンツ開発、効果測定の実践テキストとなるべく構成されています」
読んでみて全く、その通りでした。
さらに、私の主観を付け加えますと、文系的脳と理系的脳(どちらもそんなに深くなくてもいいです・・)の両方を駆使することに抵抗感がない人、とでもいいましょうか?
3. 本書のポイント
3-1. とてもシンプルな「アクセプターモデル」。
①現状体験、②課題感の発生、③需要価値、④生活変化
この「アクセプターモデル」を、スルメをしゃぶりつくすかのように丁寧になぞりになぞっていく。
(できるもんなら、やってみなさい)というのは私の“空耳”でしょうけど、ここまで方法論が書いてありますので親切です。
根本的な考え方もシンプルなんですけどね。
「ブランドを価値として受け入れる理由や背景を持った人に、ブランドが価値として成立する条件を備えた顧客体験を提供することで、ブランドを選んでもらいやすくする」(116ページ)
よくあるマーケティングリサーチで、要素分解的に「AのほうがBよりも好意度が高い」とか静的な結果を活かすという話ではないのです。
つまり、「顧客体験」とは動的なストーリーである、というのは私の解釈です。
3-2. 顧客体験の観察、その具体的方法は「ナラティブ分析」。
ナラティブとは顧客が語る一人称視点の物語のことで、「その人がそう感じる背景や事情」を理解したうえで一人ひとりに寄り添ったサービスを提供することが望まれる医療や看護、教育、福祉といった対人サービス分野で発展したアプローチとのことです。
そのナラティブの根底にあるものは「社会構成主義」。
「我々の認識と独立して現実が存在するのではなく、他者との関係性や対話を通して社会的に形成された物事の解釈や意味づけが現実として認識される」というもの(66ページより)。
いいなぁ・・。
ナラティブ分析には、向き不向きがあります。
とことん、文系道、それも極めるまで突き進む覚悟、いや、覚悟とか努力なんかではなく、向いてるか向いてないか?
それに尽きるなと思います。
*商業目的のビジネス書って、「誰にでもできる」というメッセージを発するのは当然なんですが、向き不向きってのが一番大事だったりするんですよね・・。
3-3. 一転、本書の後半、「検証」のフェーズでは畳かけるように数値を駆使したロジックの嵐。
(村山さん、たかが2,000円ぐらいの本に、ここまで書かれていいんですか?)
と私が思うに、
(できるもんならやってみなさい)
と、“空耳”“幻聴”でしょうか?
4. 感想
ネガティブな意味ではなく、とても読みにくく、読了するのにやたらと時間がかかった本でした。
なぜかといえば、超実践的な本なので。
以上です。
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