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トヨタのEV戦略について(2)ーなぜEVは主流と見なされる

前回:豊田社長の会見を見た感想を語る

自動車産業は日本にとって世界との競争で優位を確立できているとても重要な産業の一つです。たくさんの期待と誇りを詰まっているため、不都合な脅威が現れるとき、客観的に直視できない人がたくさんいました。最近は減っていると思いますが、まだいろんなメディアで、EVについて懐疑的、批判的な意見を散見しています。ここでそういった代表的な観点を整理した上で改めてEVはメインストリームとみなされる理由について話したいと思います。

EVの反対派がよく持ち出された理由としては
・EVが製造工程でエンジン車より多くのCO2を排出する
・EVが走るときゼロエミッションですが、使う電気は火力発電によるもので意味がない
・上記の理由で製造期間と使用期間を合わせて考えるとEVの排出はむしろエンジン車より多いので、環境保護に役を立たない
一つ一つ議論させていただきたいです。

製造期間もEVの排出が少ない時期はいずれ到来する

現時点でEVを製造する時にエンジン車より多く排出していることが一般的に認識されています。しかし、ご存知の通り、EVはエンジン車より部品数が劇的に少なくなりますが、現在生産規模が小さいため、効率が上がらず(バッテリー以外の部分の製造)排出はエンジン車とさほど変わらない現状です。EVの普及により生産規模が大きくなることにつれて排出が低減していく見込みが大きいと思われます。一方バッテリーの製造は既に一部大手メーカーに集中する傾向が顕在化になって、規模による効率性と経済性の効果と技術の進歩と合わせて、バッテリーの生産コスト(排出)が常に予測より早く下回ていきます。

Part1でも例を挙げましたが、太陽光発電が大規模で応用される前にも同様にパネルの製造に大量にエネルギーを消費して排出しているため意味がないと指摘した人結構いました。最近はもう見かけなくなりましたが、また同じ理屈で標的を変えてEVを批判される番になってしまいます。

EVの本来の部品数が少ないアドバンテージと大規模生産による効率の向上により、後2年~5年で製造段階のコスト、使用するエネルギーそして排出、どちらもエンジン車と同等にもしくはそれ以下になると予測されます。

EVが使う電力が火力発電によるものの場合意味がない

もう一つよく指摘されるのは日本の発電電力の75%が火力発電によるもので、EVは走るときにゼロエミッションだが、火力発電で作った電力を使うと意味がないと主張しています。

例えEVが使う電力は全部火力発電によるものの場合でもEVの方が総合的に環境にいいと見なされる理由は下記2つあります。

1.エンジン車の排出は温室ガスだけではなく、Co、Nox、など人の健康に有害なガスも排出しています。そして火力発電所は郊外など人の生活や活動地域から離れる場所で作られますが、車が人にとって身近いもので、同じ量の廃棄ガスを排出しても人への影響が遥かに高いです。最近「自動車公害」という言葉をあまり見かけなくなりましたが、先日イギリスの9歳の少女が世界初で「大気汚染」を死因として当局により判断されまして、久々この言葉を思い出しました。
2、EVのエネルギー利用率は95%となり、一台一台の車が化石燃料を燃焼させて走る動力を得るより、集中して作った方が効率がいいし、排出削減の対策もよりやりやすく効率的になることを誰でも理解できるでしょう。

そもそもEVが使う電力は火力発電によるものでなければいけないという考え方が不思議でおかしいと思います。化石燃料への依存を脱却し、再生可能エネルギーを大幅普及させるエネルギー転換というの変革は日本を含めて世界中で進むの中、社会全体に変化を求めています。このトレンドの元に自動車業界にエンジン車からEVへのシフトを求められています。再生可能エネルギーを増やして、作った電気をEVに走らせガソリンの使用を減らし、輸送・移動部門の排出量を減らすという非常に単純明快なシナリオです。EV普及の先進国は当然ながら再生可能エネルギーの利用拡大に力を入れています。日本政府も電動化率とREの利用率、それぞれマイルストーンを置いてカーボンフリーの政策の中核としました。

意図的に両者の関係を切り離して、EVが使う電力は火力発電によるものという無理やりな設定を前提にしてEVの普及が意味がないと言っている人、悪意を持っているとしか言えないです。

具体的な数字を見てみるともっと実感がわくと思います。先日の政府の発表で2050年REの発電量は50%に到達すると目標を設定しました。現在はREの発電量は20%未満ですので、これから仮に平均で毎年現在年間約1%の発電量のREでの発電が増えていくとします。日本の年間発電量の1%は約120億kwhとなる。車の平均年間走行距離を10,000kmとし、100kmを走行して20kwhの電力を使うという条件で計算しますと、毎年増える分の120億kwhのREは600万台のEVを走らせることができる。(※日本現在年間新車販売は約400万台)

※EVを批判する人が良く引用する論文を反論する研究がありまして、興味がありましたら下記ご覧ください。
・https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/technische-universiteit-eindhoven-research-shows-electric-cars-are-greener/
・https://ev.nissan.co.jp/BLOG/585/

※日本のEVの普及率2030年まで20%~30%目指す

EVの普及はREの利用に促進する

EV産業と再生可能エネルギー産業の関係は単なる電気の供給と使用という一方的な関係ではなく、EVの普及もRE産業に促進する効果があります。

ご存知の通り、電力は化石燃料と違って貯蓄に向けない、蓄電池に貯めることができますが、価格が高くて大容量の蓄電池を導入するには膨大なコストをかかってしまい採算が合わない。一方REの発電は場所や時間の制約があるので、電気を大量に使われる場所と離れ過ぎたり、時間がずれ込んだりすると、作った電力を輸送や貯蓄できなく廃棄されてしまうこともありです。

EVの普及により、もちろんEVを”移動可能な蓄電池”とみなして充電させることも可能だし、車載バッテリーの大量生産により、電池のコストが劇的低下してきまして、中古のEV用のバッテリーを購入して蓄電池として使う電気事業者も各地で現れました。

REの発電効率が向上して、さらに大規模な導入が見込まれ発電コストも低下となります。(中国は去年初めて太陽光発電のコストは火力発電下回りました)そして電力が更に安くなり、EVの利用コストが更に低下させるというプラスの循環が成り立ちます。

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政策主導から需要主導へ転換しつつある

EVの主要市場である中国やヨーロパは今までは政府の手厚い補助金制度と厳しい規制でEVの産業を強く後押ししてきまして、長い間に続けた政策の影響で、多くのEVメーカーと関連部品メーカーを育ってただけではなく、消費者心理にも大きい影響を与えて、EVに対する認知や購入意欲が日々高まって来ました。

新しい電池技術が実用化されると大手自動車メーカーの参戦により、2020年後半からたくさんの魅力的な車種が次々と登場しました。11月と12月、中国とヨロッパの各国のEV(phvを含め)のシェア相次ぎに記録を更新しました。特にドイツでは、本国のVWのID3の発売によりEV車のシェアが一気に27%に到達しました。中国でも年間でみるとEV+phvのシェアが5%しかないですが、11月と12月は9%に急激にシェアを拡大しました。

さらに新規購入の急増だけではなく、購入した人のEVに対する満足度もとても高いと唆しています。EUとアメリカでEVの利用者を対象に調査を行われまして、ほとんどの利用者はもうガソリン車に戻らないと答えてます。
Zap-map:New survey reveals EV switchers don’t look back
AAA study:EGEB: 96% of EV owners say they’d buy another electric vehicle

従来から広く認識されているEVの欠点(値段が高い、航続距離が短い、充電が不便など)が着々と改善され、ラインナップの拡充も急激に加速して、購入者にいろんなバリエーションを提供するようになってきました。EVのターゲットユーザーはもう環境保護支持者やEV愛好者、富裕層など特定の一部の人に限らず、より多くユーザーがEVを検討し始めている。

止まらない電池の進化

EVが急激な発展を遂げる一つ大きい要因はバッテリー技術の進歩により性能が大幅改善される同時に、大規模な製造によりコストダウンの両方が実現されたからです。

バッテリーの価格は100ドル/kwhに到達したら、EVの生産コストはガソリン車と同等になるという昔からの研究結果があります。ブルームバーグ社の調査により2020年のバッテリーの平均価格は137ドル/kwhとなり、一番低い値段はすでに100ドル/kwhに到達していました。

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同社は2023年に業界平均価格は100ドル/kwhの転換点に到達すると予測しました。更にイーロンマクスは先日のバッテリーDayで2023年に60ドルまで下げるとの目標を発表しました。60ドルまで本当に達成できなくても、ほぼ確実に2年後にEVの生産コストは同クラスのガソリン車と同等にもしくはその以下になります。

価格面だけではなく、バッテリーのエネルギー密度、耐久性、安全性、低温性能、充電速度などの性能の改善のため、各メーカーの間に激しい技術競争が繰り返されてます。そのお陰で、EVの平均続行距離は毎年50~100kmぐらい伸びって来まして、耐久性や温度管理も初代の製品より大幅改善されました。完璧な状態になるまでまだ程遠いだが、もう十分実用に応えるレベルになっています。

まとめ

EVは電気で走らせ、走行時にゼロエミッションという特徴を持ちまして、いろんな種類の”環境にやさしい車”の中に、一番究極な選択肢として認識されます。しかし産業の発展段階としてはまだ幼少期であり、未熟の部分が多く、個別の製品をさておき業界全体として"完全体"になるのはもう少し時間をかかります。

同じ事実に対して、EVを後ろ向きする人この未熟の部分を用いてEVを全面でもしくは一部を否定しようとしています。一方でEVの未来を確信している一部の資本家、企業、団体、地域や国は、EVの現在の未熟さをチャンスとみなして、先を越して取り込んで先行者アドバンテージを掴もうとしています。ゲームの進行がどんどん加速されました。次第に大きい成果が達成されたくさんの人に認められるようになって、さらに新しい参加者が飛び込もうとしています。

もちろんこういった過熱の状態の中、一部の企業の価値が過大評価されたり、一部の人がまだできないことをできたように大口を叩いたりしばしばあります。しかしそういったことを批判するためEV産業全体を否定するのは本末転倒となります。

確かに日本の自動車メーカーがEVへの取り込みが海外に比べて遅れが目立ちます。しかし遅れ側が”焦る必要がない”理由や考えがあるように、フライングする人達も彼らの理由があります。ただ一つ確定できるのはトヨタを含め日本の自動車メーカーも乗用車は最終的EVに一本化になることを備えてそれ以上遅れを取らないように準備が進んでいます。

次にEVが最も熱い中国の最新の事情を紹介して、先行しているプレイヤー達の思惑と現状について具体的なイメージがつけたらと思います。

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次:世界最大EV市場ー中国のクローズアップ






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