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ファーウェイADS責任者苏箐のインタービューの日本語訳

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DeepLで翻訳を掛けたが、専門用語が多いから?理解しづらいところが多くて手直しました。

2021年上海モーターショーの開幕の前夜、ファーウェイの自動運転システム「ADS」を搭載したBAIC(北京汽車)のプレミアムEVブランドArcfoxが新しい車種「αS」を披露するとともに上海で自動運転機能の公開デモストレーションを行い、その過程を記録した動画がウェブ上で拡散され、ものすごく反響を読んでました。 動画に登場するファーウェイのADSは、複雑な交通量の繁華街で、まるで長年の運転経験を持つドライバーのように、洗練で堅牢性の高いアルゴリズムを見せしました。

ファーウェイの自動運転技術がいきなりの登場で、2年前のように上海モーターショーで地味に参加し自動車産業への本格的な参入を発表したときと同じくらいの驚かせました。

これはファーウェイのいつものスタイル。開発時は秘密主義を徹底し、いざ披露するとき世を驚かせる。

4月16日、「类星频道(類星チャンネル)」はファーウェイの上海研究所を訪れ、ファーウェイのADSの責任者である苏箐(スー・チー)氏にインタビューを行った。 苏箐はHiSiliconチップに始まり、ファーウェイのAIチップアーキテクチャ「ダ・ヴィンチ」の開発をリードし、現在はファーウェイの自動車BUの自動運転技術の製品群の総裁兼チーフアーキテクトを務めています。

苏箐は、メディアをすぐに虜にしてしまうタイプのインタビュアーです。 彼は頭の回転が速く、非常に話が早く、自動運転について非常に先進的なビジョンを持っています。また、非常に自信に満ちており、業界の他社に対する意見を遠慮なく述べることができます。もちろん、その後に「これは私の個人的な意見であり、会社の立場を代表するものではありません」と非常に専門的に付け加えることも忘れません。

類星チャンネルなどのメディアに掲載された苏箐のインタビューを以下まとめました。

Arcfox αS のHuawei HI Editionについて

Arcfox αSはファーウェイのADS機能を搭載する・搭載しない2つのバージョンを用意されています。搭載するバージョンはArcfox αS Huawei HI Editionと名付けされます。ちなみにHi carはファーウェイ去年発表した自動車のブランドであり、Hiはhuawei insideの略です。

メディア:現在、このシステム(ADS)はどの都市で利用可能になっていますか?

苏:まず、モードのお話をしましょう。NCA(高精度地図が完備された環境)、ICA(高精度地図がない環境)、ICA+(高精度地図ないだが走ったことがある環境)の3種類のモードがあります。多分あなたの質問も今日なされた体験(上海で行われた公開デモのこと)もNCAモードだと思います。NCAのモードの場合、ユーザーが得られる体験は(他社の)Robotaxiのサービスと近いです。(Waymo、百度、AutoXなど)

今年年末で量産する際に、先に北京、上海、広州、深圳の4都市は(NCAモードを)公開され、約3ヵ月ごとに新しいいくつか都市が追加でされることになります。また、中国では2級都市~4級都市が多くて、人々も車を購入したりニーズもあるため、それらの地域にICA+のモードを提供する予定。我々の車は自分で交通環境を学習して地図を構築する能力がもっているから。

この車は、あなた自分が運転したことがあったり、近所の人が運転したことがあれば、自動的に道路状況を学習し、リアルタイムで地図を構成し、NCAモードほどに優れないが、近い体験を実現できる。

特に人気の市内の高速道路、例えば上海の内環、中環、外環、地図を全く必要とせず、基本的に同じ体験をすることができます。今年中には問題なく全国に普及させることができる。

メディア:3ヶ月に1つの都市のペースで増えていく感じですか?

苏:1つより多い、3ヶ月に1回まとめて。

メディア:1クォーターのボリュームの目安を教えてください。

苏:今はまだ何とも言えませんが、最初は6都市かな? 多分その程度だと思います。

メディア:今の内部のテストの範囲はどうなっていますか?

苏:まずは北京、上海、広州、深センで行われて、また全国の高速道路と2線都市の環状線、これは最初カバーしなければいけない範囲。今年後半から2線都市の市内にも。

メディア:市内全ての道路ですか?

苏:市内全ての道路、ただ北京は特別で、法律上5環以内に入れないです。

メディア:ハードウェアの構成について教えてください。

苏:2つの構成があります。スタンダードバージョンは400TOPSの演算能力を持ち、デラックスバージョンは800TOPSの演算能力を持ちます。

メディア:LIDARの寿命について教えてください。

苏:LIDARは乗用車で10年見ても問題ありません。

メディア:大量生産されているか?

苏:大量生産されていて在庫がある。

メディア:いつ交付されますか?

苏:今年の11月から12月にかけて。

メディア:この2日間、AVP(自動駐車)機能を体験していませんが、この作品の開発や量産計画の進捗状況はどうなっていますか?

苏:AVPは、実は一番早く完成した機能なんです。 もうパーキングにはあまり興味がないのではないかと思っていたのですが、次回は体験していただけるように手配します。AVPは市販車の中では間違いなく最高のものなので、皆さんとても驚かれるはずです。

メディア:L4 AVPは可能ですか? 人は車から降りられるのか?

苏:私は自動運転を長年やってきて、手が離せられる、足がせられる、目が離せられるという言い方があまり好きではない。

私達解決したいのは、特定のビジネス地域で特定のケースに特化したデモを作り上げるのではなく、あなたの毎日の通勤の問題を解決することだ。

明らかなのは、すべての通勤者のオフィスや住宅エリアの詳細の地図を作ることはできないです。誰にもできません。

私が解決したいと思っているのは、車の自己学習技術を使って、一人一人のオフィスや自宅の自動駐車を解決することです。

私が追求したいのは、人が車を降りて車から離れることではなく、その人がフロントゲートに到着したときに、車が「もう気にしなくていいですよ、この機能を起動してください」と言って、車が自動的に駐車スペース内に駐車するのを手伝ってくれること、これが問題解決の第一歩です。

メディア:NCA、ICA+、ICAの話が出ましたが、簡単に説明していただけますか?

苏:簡単に言うと、NCAモードは、あらかじめ高精度の地図が作られている車に見られるもので、ICA+は、高精度の地図はないが、その車やその人の車が走った環境に応じて、車が自動的に地図を学習していくもので、これがICA+です。

初めて運転する場所には、必ずこういう場面が出る。誰も運転したことがない、これがICAモードで、テスラがICAモードになっているのがわかると思いますが、この3つに分かれています。

メディア: ICA+モデルはどういうユーザー体験ですか?

苏: ICA+は、NCAとICAの中間の地帯だと思われます。 あなたが車を運転する回数が多ければ多いほど、体験はNCAに近くなります。 運転回数が少なくなると、ICAの感覚に近い、徐々に自己学習していくような体験になります。

メディア:では、地図がないということは、AIはあまり自信がなく、ちょとしたことですぐに自動運転モードを終了すると理解していいですか?もしかしたらシステムの信頼度が違っていて、ある状況下では辞めやすいということも理解できますか?

苏:簡単に言うと、人でも見知らぬ複雑な街に行くと、ゆっくりと慎重に運転するようになります。すぐ前に細い道が現れ、歩行者が飛び出してくるかどうかわからないから、AIにとって同じことです。

メディア:昨日、御社のエンジニアが、ICA+のモードでは、任意のA地点からB地点への自動運転ができないと言っていましたが?

苏:任意のAからBまでの移動というのは、出発時に地図上の目標地点を設定するという意味です。ICA+では、理論上完全なマップは存在しません。しかし行ったことのある場所では、例えば毎日の通勤で車で行ったことがある場所なら、実際に可能です。

しかし、すべての場所は達成できません。そのマップ(学習したマップ)が完全なマップではないからと理解すれば良いでしょう。

メディア:高精度の地図に比べて(習得した地図の)精度が高くないので、能力が少し弱いのでは?

苏:地図の精度は十分ですが、データは不完全です。 例えば、一度しか運転したことがない道、走った車線情報がありますが、遠くの車線データが欠けたり、反対側の車線がなかったりします。もっと運転しないと完成度が上がらないということがあります。

メディア:今日は天候に恵まれましたが、暴風雨や台風などの天候や、夜やトンネルなどの対応はどうだったのでしょうか?

苏:トンネルは難しくありません、なぜみんなトンネルの話をするのかわかりません、トンネルは難しくありません、トンネルはただGPSがないだけ、しかし、都市部でもGPS信号が届かないこともあります。難しくはありません。

昨年のモーターショーで発表した動画は、暴風雨に相当するものが見られるので、問題ないと思いますが、他にどんなシナリオがありますか?

メディア:夜は?

苏:ナイトモードを体験した人がいまして、夜も問題がないです。 雨が降る場合、センサーに影響しているので車の挙動が少し慎重になり、保守的になりますが、夜は昼間に比べてそれほど難易度が上がることはありません。

メディア:BAICとの仕事の分担はどのようになっているのでしょうか? ファーウェイが提携しているこれらの自動車会社の差別化要素は何ですか?

苏:いい質問ですね。この車はみんなで力を合わせて作ったものなので、今考えてもあまり明確な分業制のインターフェースはできてなかったです。

割り切るならば、BAICはより機械てきな部分やシャーシなど、比較的伝統的な部分が多いでしょう。

自動運転、コックピット、バックエンドのクラウドなど、車全体のコンピュータの部分はファーウェイが引き受けてしますが、長期的に分割すればそうなるのでしょうが、実際にはこのことはそれほどきれいに分かれてないです。

差別化は率直に言って非常に難しい問題です。スマートフォンの差別化はどのようなものだと思いますか? 携帯電話の差別化とは? 電子システムが複雑になればなるほど、1つのテーマの開発費が数十億ドルにもなるのに、ここで差別化を図るべきではない。

メディア:ファーウェイとBAICの協力関係は、ひとつのモデルなのか、それとも一連のプラットフォームなのか。

苏:一連のモデルです。こういう共同開発は、当社とBAICの双方にとって非常に大きな投資であり、1つのモデルだけではありません。

メディア:長安と広州汽車も?

苏:同じです。

メディア:一連のモデルはいつ来ますか?

苏:来年の前半から後半にかけて、大量のクルマがやってくるでしょう。

メディア:先ほど、体験車の完成度は30%とおっしゃっていましたが?

苏:アルゴリズム的には。

メディア:内部でテスト中の車は今何%を実現できたか?

苏:100%とは言えません。このような複雑なソフトウェアシステムになってしまうと、100%ということはなく、2〜3ヶ月に1回のアップグレードが行われ、かなり大きな変更となります。例えば急ブレーキの問題の改善とか、70~80%の変更が行われるとか。

メディア:今公開した車のはどれぐらい前の安定版でしょうか?

苏:まだ2ヶ月しか実車で適合されていないんです。バージョンは同じだよ。

メディア:自動車メーカーから何か教われたものは?

苏:簡単な例を挙げると、今のRobotaxiの車、上にセンサータワーのような大きな山を積んでいました。

正直なところ、これでアルゴリズムが非常にシンプルになるので、羨ましかったです。 私達は何年も前に最初に作ったときは、もっとサイズが小さくてもタワーを付けたいと思っていましたが、我々のビッグクライアント様から「それは絶対にやってはいけない」と断固として止められました。

そのため、ADS車は普通の車と同じように見えるようになりましたが、これは自動車メーカーから学んだ非常に重要なポイントです。


Huawei社のADS部門の計画について


メディア:今回の車の開発はどれぐらいの期間をかかりましたか?

苏:Arcfoxは他社と高度な共同開発した最初の車です。車自体はおそらく3年間の開発期間を経ているはずで、後はもっと速くなるはずですが、当然最初は一番問題が多いので。 その後導入がたくさんあるので、24ヶ月前後ではないかと個人的に想定しています、これ以上短くするのは難しいかもしれない。

メディア:ADSチームの規模はどのくらいですか?

苏:自動運転の部門には2,000人以上が集まりました。

メディア:主要な研究開発はすべて中国で行われているのでしょうか?

苏:すべて中国で、ですね。

メディア: 2,000人のチームの中で、ボックス担当、LIDAR担当、アルゴリズム担当に分かれていますが、おおよその割合を教えてください。

苏:純粋なアルゴリズムと考える人は1200ぐらいでしょう、アルゴリズムはいくつかの大きなセクションに分割することができ、私たちはビッグ検知と呼ぶ、つまり、視覚とレーザーは全部含まれているチームにあり、次は予測のチーム、そしてPNCと呼ぶ(プランニングとコントロール)チーム、PNCはまた内部で細分化されます。

各チームは200〜300人の規模で、残りの1,000人が先ほどの他のことをやっていると考えればいいでしょう。

メディア:Arcfoxの車以外に、次の段階で追加されるモデルやブランドはありますか?

苏:はい、おそらく今、会社がすでに発表したのは、Arcfox、長安、広州汽車の3社と、その次に別の大手メーカーが発表されるでしょう。

メディア:(上記の大手メーカーについて)ADSが海外に出るのか、それとも国内の合弁会社のモデルなのか。

苏:まず、中国の合弁会社のモデルです。

メディア:Robotaxiについての感想をお聞かせください。 参入する予定はありますか?

苏:まず、個人的な見解を述べさせていただきますと、私は決してRobotaxiをやりません。Robotaxiは結果であって、ビジネスプランではありません。

私は長年、出張でアメリカに行っていますが、タクシーの利用経験はとても悪いものです。中国での体験が遥かによくて、値段も高くないです。

と考えたら、中国でRobotaxiが実現されていると考えてもいいでしょう。ただRobotoではなく、人間がいます。でもその人間を仮にコンピューターにかえても、今以上の体験をユーザーに提供することができません。ということで、 私はRobotaxiが中国のお出かけ市場を変えることができないと思います。少なくとも中国では無理だと思います。

第二に、Robotaxiは最も難しい課題です。技術上、全てのコーナーケースをクリアしなければいけないです。この理由で私はRobotaxiは結果だと考えています。完璧にするまでにとても長い歳月を掛けなければいけない、この期間中、自動運転は人の介入が欠かせないもの。

時間を経て技術も進歩して、いずれ実現されますが、この期間はとても長くて、大量の車が必要だと思います。今日がいうように数万台が全然足りません。

いつ人の介入がなくても安全が保証できると言い切れるか、数十万や数百万台の車数年で走って、データ上で安全であること証明されなければいけない。だから私はRobotaxiは結果であり、目標にすべきではないです。

私個人的な観点ですが、Robotaxiをビジネスの中心とする会社は潰れるでしょう。最後Robotaxiを実現するのは完成車メーカーとなります。この市場は必ず我々のものです。でも今ではないです。

メディア:ファーウェイはどうしてBAIC、長安、広州汽車を選んでコラボしたでしょう?ファーウェイはどこまで深く入ったでしょうか?

苏:原因はいろいろあります。国内のメーカーやはりスピードが早い、なので先に結果が出ました。China speedですね。またそれぞれとコラボした原因が違いますが。例えばBAICの場合、我々に非常に信頼して、本当にうまくコラボできた。

今日見せた結果は悪くないかもしれませんが、3年前に我々がお見せできたものは今のと全然違って、原型的なものです。でもBAICは我々を信じてくれて手を組めました。

長安も実は似たようなもので、どちらも似たようなストーリーを持っていて、もちろん違う理由もありまして、ビジネス上の利害関係と絡んでいます。

メディア:ファーウェイの自動車BUにおける自動運転部門の優先順位は?

苏:私の視点では、自動運転は絶対的に最重要な部分です。

メディア:ファーウェイの自動運転に対する今後の投資計画は?

苏:今は2,000人以上いて、年間10億円くらい使っていますが、今後も年間30%くらいのスピードで増えていくと思います。

メディア:中国におけるファーウェイの自動運転はどのレベル?

苏:最高レベルですね。

メディア:今後の支払いモデルはどうなるのでしょうか? 車を購入した時に一括払いですか?

苏:2種類あります。 一括払いとサブスクリプション。 どちらもあります。

メディア:サブスクリプションモデルは、ファーウェイと関係があるのでしょうか?

苏:もちろん、自動車メーカーとレベニューシェア、我々が作ったものだから当然関係がある。

メディア:このADS部門の黒字化はいつですか?

苏:私は全然焦らない。ファーウェイはどの事業をやっても基本的10年で黒字と見ている。私達今一つだけやるべきことは、技術を世界トップにする。本当の問題を解決することだけです。 自動運転の収益性について全く心配する必要がないと思います。

一例を挙げれば、2006年の初め、ノキアが大流行していた頃を思い出します。 当時の会社にスマートフォンをやろうと言ったら、多くの人が「お前はおかしい」と言った。コンサルティング会社の報告書を見て、ユーザーの普及率はわずか0.000数ポイント、完全に技術マニア向けのおもちゃだと言って、こんなものがどんな市場を持つことができるのかと言った。

ですから、まずは全体の流れの中で、このことが正しいのか間違っているのかを判断することが大切です。 方向性が正しければ、市場は何の心配もないです。

自動運転の規制と責任について


メディア:このクルマの安全性に対する責任はどのように分担されているのでしょうか。

苏:我々は一貫として、ユーザー体験上L4の実現を目指して、法律上は紛れもなくL2です。

そして、自動運転技術が急速に発展させるため、機能とユーザー体験を法律の問題を切り離さないといけないです。ではないと、メーカーは過剰に安全面に注意を払わなければいけなく、一番安全だが役に立たないものを提供してしまいそうです。実際、たくさんのメーカーはこうしています。

メディア:自動運転がL2段階を超えるのはいつ? 規制が少し緩くなったのでは?

苏:正直に言うと、今規制を建前にしている人はみんな嘘をついていて、すべては技術上の問題なんです。

今日ご覧になったように、我々の車はすでにL4になっていますが、正直、ドライバーを車から離させるわけにはいきません。例え1,000万キロを走って一度だけ人の介入が入った、実際には早く達成するでしょうけど。 MPI(一回の介入走る距離)が極端に大きくならない限り、L4と言えない、ただのDemoなんだから。

それでたくさんの人はここまで話したらすぐに法律のことを持ち出すが、私は本当に、中国の法律は十分優しくて、国もとても自動運転のことを応援しているので、未だに法律のことを持ち出すのは適切ではないと思います。


ファーウェイのADS技術について


メディア:自己学習した地図をクラウドに送信され、またクラウドから全車両に共有されますか?

苏:完成車メーカーの選択次第です。常に車両側に残ることもあれば、クラウドでデータを融合することもあります。

メディア:ファーウェイが提供するソリューションは理想な状態になると、(ファーウェイの)車で、あるいは市販車側で、学習した地図データだけで高精度のマップを代替することが可能ですか?

苏:毎日の通勤、ポイントツーポイントの通勤ルートに対応するのであれば可能です。

メディア:NCAはファーウェイ独自の車両で高精度の地図データ収集をして構築するでしょうか?

苏:2つの部分があります。私たちのシステムを簡単に紹介するものですが、地図システム全体は「Roadcode」と呼ばれています。Roadcodeには2つの部分があり、1つは「Roadcode HD」、もう1つは「Roadcode RT」と呼ばれています。

HDは高精度地図データであり、専門の地図作成チームが作っています。オフラインで。Roadcode RTは、自動車用の自己学習型地図です。 この2つは一体(地図システム)となります。

私はこれ(自動運転)をやりはじめてやっと気づいたが、街全体のインフラがこんなにも早く変化していること。 上海の街全体では、私が思っていたよりもずっと早く道路の改修や信号機の変更が行われていることがわかりました。Roadcode HDだけを頼るとすぐに遅れてしまいます。

そのため、Roadcode RT自体が自己学習した後、常にHDを更新しているので、データが蓄積され、継続的に更新され続ける。

メディア:昨夜(公開したテスト映像)、車の横に宅配便の配達員に会ったときに、システムはどううまく処理するか迷っているようです。なにか良い対策がありますか?

苏:その通りです。この市販車には、サイドの後部側にレーザー照射範囲に死角があり、それを埋めるために視覚に頼らなければなりません。 また、この車は現在、最終的な生産状態ではありません。 実際にこの車は、シャーシが使えるようにチューニングされて、路上を走れて自動運転のテストを行えたのは、春節の後、わずか2ヶ月前のことである。

ということで、アルゴリズムの完成度が今30%~40%であると考えていただければと思います。 この問題は、あなたが購入できる頃には必ず解決しているでしょう。

メディア:センサーを追加して解決するでしょうか?

苏:いいえ、アルゴリズムの改善で解決する。

メディア:視覚だけで側面の物体の正確な位置を検出することができますか?

苏:実はこのクルマには、望遠と魚眼の2つのレンズが搭載されています。

視覚センサーの特徴は距離が遠くなればなるほど、測定の誤差が大きくなる。 逆に距離が短くなると測定精度が急速に向上し、レーザーよりも高い精度で測定できるようになります。

先の問題は、原理的にはサイドあるいは近距離で接近してくる問題です。その場合視覚センサーの距離測定は問題がないです。

メディア:そうしたら、駐車場時だけでなく、走行状態でも周囲測定センサーも稼働するということですね。

苏:もちろん、そうでなければ勿体ないじゃないですか?

メディア:前融合(センサー側で情報を融合する)について聞きしたいです。センサー側で収集したデータを融合してから計算のセンターもしくはニューラルネットワークに送り込んで計算するでしょうか?

苏:全ての情報はNNに送り込まれます。しかし一つのネットワークは一つだけではない、違う用途のネットワーク多数存在して、我々は60種類のネットワークを用いています。

メディア:人の介入がなしに1000km走れるとおっしゃっていましたね。

苏:正直なところ、自動運転を評価するについて、今はMPIよりいい指標は見当たらないのですが、MPIには計算手法や技術的な方法に大きく左右されるので、この話はあまりしたくないですが。

簡単に言えば、MPIはいくつかのことに関係しています。

まず、統計的手法との関係、そして時間と空間との関係、時間と空間とはどの時間にどのような道を選んで走るかということで、この3つには関係があり、その値は一桁違うこともあります。

なぜ今、統計的手法と関係があると言ったのですか? 我々は、カリフォルニアで行われたテストの結果を見てみると、何百台もの車を持っている場合は、一定の時間で、より良いサンプルと良い時間連続期間の統計を選ぶことができ、優れたMPI点数を得られる。

このように参加者内部でMPIを調整するには、正直言って意味がありません。それよりも、すべての時間帯で、すべての車の蓄積したデータを集計して、こう計算したMPIが本当のMPIになるのです。

私が言えるのは、どの自動運転のチームにとって、本当のMPIは核心的な秘密であり、私は具体的な数字は率直に言って言えませんし、単純な数字ではなく、大きな表です。いわゆるカリフォルニアの統計手法では、確かに上海市内で1000キロはいけますね。

しかし、実際の歴史的な統計では、私は1000まで達成していないとしか言えませんし、Waymoを含めて世界中の誰も1000まで達成できないのは間違いありません。

メディア:あなたの自己学習と、テスラのシャドーモードとの違いはありますか?

苏:正直に言うと、今までの見たテスラのシャドーモデルはコンセプトの紹介だけで、詳細の説明はありません。私たちの実践から、少なくともいくつかの内容が含まれていると見ています。シャドーモードと呼んでいいかは別として。

1つはRoadcode RTで、静的交通環境自己学習、自己構築の問題を解決するもの。先ほどのAVP(自動駐車)もこれに頼って実現しています。

もうひとつはDDIと呼ばれるもので、もしかしてテスラのシャドーモデルに該当するもの、DDIは車のオーナーの運転行動を常に学習し、車(AI)自体がオーナーの行動と一致していないかもしれませんが、オーナーの行動を記録して学習していく。

メディア:ファーウェイの視覚センサーの融合はちょっとユニークですが。

苏:どこがユニーク?

メディア:市販車ではあまり見られない、望遠+広角+二眼の4つのカメラを使う。

苏:はい、デュアルレンズは難しいので、実際に皆がやり遂げてないから、私たちはだけがやり遂げたね。

メディア:デュアルレンズのどの問題を解決しましたか?

苏:デュアルレンズにはたくさんの問題があります。簡単に言うと、機械的な観点から較正の問題があり、アルゴリズムの観点から双眼鏡をうまく使うのも簡単ではありません。デュアルレンズは本質的深度の測定ためなので、深度測定には安定が求められますが、一般化が非常に難しい問題です。ほとんどのところは20~30メートルしかできないが、我々はこの数字を大幅超えています。

メディア:現在のソリューションでは、3つのLIDARと多数のカメラが搭載されています。 この一連のアーキテクチャを他のモデルで行う場合、基本的にセンサーの数やセンサーの種類はほとんど変わらないのでしょうか?

苏: ほとんど変わらない。この世代の車はほとんど同じで、18ヶ月ごとにマイナーアップグレードを行い、継続的に改良していきます。

メディア:先自動運転は数百万台の車が必要だおっしゃいましたが、今、テスラには100万台の車があります。

苏:いい質問ですね。 昔、誰が話していたか覚えていないが、ビッグデータで何?ビッグデータのポイントは「大きい」ではなく、データの質とカバー率、これはビッグデータの本質。自動運転もそうです。 データには2つの問題があります。 まず、データそのものの質。 2つ目は、データの次元です。

この2つの問題において、テスラのデータは大きな問題を抱えていると思います。

次元というのはどういうことかというと? いくつかのシンプルなカメラで取得したデータだけで、高精度な位置情報もない場合、データの次元は非常に低いです。私達のADSで取得したデータの次元がそれより数桁高いです。データ次元は極めて重要であり、情報の豊富さと差別化の度合いを表している。

2つ目は、データそのものの質です。 データ自体がアルゴリズムで生成されていることがわかります。低次のシステム自体の複雑さは、データ自体の品質が相対的に低いことにつながります。現在、テスラはこの状態にありますが、私の推測では、テスラのデータはとっくに飽和状態となって、システムに改善効果がないと思う。

実際、私たち自身のADSもデータ不足しているではなく、アルゴリズムには解決すべき難しい問題がたくさんある。私は今、全くデータ不足はしてない。

メディア:これらの問題を解決するために、まずは正確に検知すること、次は相手車両の動きの予測すること、どっちがより難しいですか?

苏:いい質問ですね。 最初にやり始めた頃、検知が難しいと感じる、次にまた予測が難しいと感じ、予測が終わった後は、またプランニングとコントロールが難しいと感じ、こちらも克服したら、また検知もかなり難しいと感じが戻ってきて、一定のサイクルを繰り返しています。

どうしても比較したいなら、業界全体の技術的な複雑さといえば、検知が難しいのは誰もが知っていますが。 業界の理論的・技術的成熟度というと、予測とプランニングとコントロールの2つの問題が本当の問題であり、多くの人がこれについて気づいていないかもしれません。

メディア:アルゴリズムは主にニューラルネットワークの深層学習に依存しており、深層学習は時にブラックボックス化していますが、将来的にアルゴリズムにブレークスルーがあると思いますか?

苏:まず自動運転システムはニューラルネットワーク(NN)だけではなく、ニューラルネットワークはシステムの一部にすぎないです。 処理のリソースは大半NNに使われますが、ソースコードのボリューム上そのほど多くはないです。まずはそれを明確にしましょう。

また、私はAIがブラックボックスと思っていません。確率計算を基づいて、解釈は可能で全く問題がないです。

自動操縦システムの冗長化について


メディア:では、遠距離の検知はLIDARに頼るということですね。

苏:いや、そういう分け方はしていません。 前からずっと聞かれたが、あなた達のセンサーフュージョンは前融合(センサーの生データを融合してから識別を行う)ですか後融合(各センサーはそれぞれ識別して結果を融合する)ですか、それともなにかの冗長化技術ですか?

私はセンサーの冗長化の言い方はまず間違っています。そして後融合の路線は2年前に廃止しました。今全面的に前融合技術を採用しています。

前融合とは、すべての情報をまとめてNNネットワークに送り、処理させることであり、どのセンサーがどの情報を取れるか単純な問題ではありません。 また、「センサー同士が連携するメカニズムを持っている」と理解することもできます。

もう一つは、センサーによって特性が異なることです。 例えば、ミリ波は速度に敏感ですが、測定は雑です。視覚が意味的な測定に適しており、レーザーが幾何学的な測定にはが適しており、前融合はこれらの特徴を融合できます。

ミリ波 私たちは、ミリ波の生の点群を使って、生のデータを直接取得しています。

メディア:サプライヤーから生データを入手するのは難しいでしょうか?

苏:2つの問題があります。まず、ほとんどのTier 1は生データを公開することに抵抗がありますが、ファーウェイは規模が大きいので公開してくれます。またミリ波の生データはかなり雑で、処理は難しいが、われわれはNNを用いて処理しています。

メディア:ダブルレンズはレーザーの冗長化でしょうか?

苏:このことは冗長化とは言えません。実際にはセンサーごとに、性能ごとに、優劣が変動しています。

メディア:自律走行のリーディングカンパニーの一つが、レーダーとLIDARをサブシステムとして、ピュアビジョンをサブシステムとして使用し、それらを独立してテストし、2つのサブシステムの引き継ぎ率を掛け合わせることで、必要なテストマイルを統計的に有意に削減するという真の冗長性を提案しています。

ADSの競合について

メディア:一部の多国籍企業はL3のコンセプトを掲げて、法的の責任分担について突破口を模索していますが(本田のこと?)、ファーウェイは(L2で)継続的に最適化の路線で進んでいますが。 どのような違いがあるとお考えですか?

苏:実際には、ヨーロッパの各メーカーの考え方それぞれだと思います。私は個人的な評価を述べますが、会社の立場を代表しているわけではありません。

個人的には、ヨーロッパの大手メーカの中、VWの考え方が比較的先行していると思っていて、自動運転を長年にわたって模索してきたからだと思います。 他のメーカーがまだ進化の過程にあります。

実際、テスラは、申し訳ありませんが、やはりテスラを挙げなければなりません。テスラは、私たちや自動車メーカーを含めて、全ての人にたくさんのものを教えてくれたと思います。

自動車メーカーの変化を見えて、業界の本質的な変化を見ることができたら、さらに先を見ると明らかになります。

少し関係のない話になりますが、昔は蒸気機関でしたが、電動化が始めてエネルギー革命や電力革命が起こした。そしてコンピューターが発明され、コンピューターが全てのものを変えています。前回は携帯電話、今回は車、これがテスラと私たちの見解です。

従来の自動車メーカーの考え方は、まず私のベースは車であり、その次にコンピューターを埋め込んでコンピュターの特徴を持ち合わせる。

我々のビジョンが異なっている、我々のベースはコンピューターであり、車はコンピューターが制御する周辺設備、本質的なビジョンが異なっているので、すべてのことの考え方が異なって行くことになるでしょう。

従来の自動車メーカーがこの考えに基づいて、多くの小さな箱を作り、機能に加える度に箱を作ります。私たちの考えはこれは大きいなコンピュータであり、そのコンピューターに車を接続することです。

メディア:では、これはファーウェイが車を作らない根本的な理由なのでしょうか?

苏: 車を作らないこと はビジネス上の選択だと思いますが、車を作らない方が市場が大きくなります。

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インタビューは以上となります。いろいろ深いところまで話が触れまして、自動運転技術についてより理解が深めた上で、ファーウェイの自動運転技術の凄さ、自動車産業へのビジョンと全力で取り込む決心について改めて感心しまして、これからの発展についてとても楽しみにしています。期待がより高まりました。

もちろん上記の発言を100%真実だとして呑み込みことができないです。特にRobotaxi会社に関する判断について違和感を感じてました。自動運転の世界的の代表格であるWaymoも、中国のリダー格である百度もRobotaxi事業に重心を置いて力入れています。大規模な運用はまだですが、特定の地域での完全無人のテスト運用もすでに開始され、あと数年で正式にサービスが開始できるでしょう。またWaymoも百度も、AutoXなど他のRobotaxi会社を含め、完成車メーカーへ自社のソリューションを提供する可能性についていろいろなチャレンジをしています。この部分についていずれファーウェイとぶつかって競合となる可能性が高いと思います。

とにかくファーウェイは今回上海モーターショーのきっかけに自動運転を含めた自動車産業への参入についての現段階の成果を一斉に公開してういろんな方面にインパクトを与えました。上記のインタービューは自動運転以外の部分についてほとんど触れてないですが、また別の記事で事業の全容と自動車業界にどういう影響を与えるかについて詳しく話せたらと思います。


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