【東証】取引時間を30分延長へ～メリットは？～

2024年11月5日 10:12

東京証券取引所（東証）は、11月5日から取引時間を30分延長し、15時30分を取引終了時間とします。

取引時間の延長は、1954年に14時から現在の15時に変更して以来、70年ぶりです。

経緯としては、2020年10月1日に発生したシステム障害により、取引が終日できなかったことを踏まえ、新システム導入のタイミングに合わせて、システム障害が発生しても取引時間内に復旧させ、取引ができないことを防ぐために、時間を延長することになったようです。

それでも、世界と比べると、まだまだ取引時間が5時間30分と短い日本。

ちなみに世界の状況は・・・
アメリカ：6時間30分
ドイツ：8時間30分
フランス：8時間30分
イギリス：8時間30分

今後も日本は、世界標準に向けて取引時間の改善が行われると思われます。

ところで、取引時間が延長されることで、メリットは生じるのでしょうか？

●取引時間延長に伴うメリット

メリットとしては、主に以下の項目がいわれています。

①日本取引所グループは、さらなる取引の活性化を目指している

②取引時間延長に伴い、企業に対し決算発表を取引中に行うように要請
→今までは、取引終了時刻の15時以降に決算を発表するのが通例
→決算発表という取引材料の提供により、取引がより活発になることを期待

さらに新しい仕組みも導入されます。
それが「クロージング・オークション（CA）」です。

取引時間延長に伴い、クロージング・オークション（CA）が導入されます。

これは、15時25分から15時30分の5分間に設けられます。

この5分間を「注文受付時間」とし、寄り付き前（午前の取引前の注文）と同様に、注文状況が把握できるようになります。
その間、取引を変更したり中止することもできます。

終値は、板寄せ方式で決定します。

板寄せ方式とは、価格優先の原則に従い、価格的に優先順位が高いものから対当させながら、数量的に合致する価格を決め、その値段を単一の約定値段として売買を締結させます。

つまり、取引前に様々な価格と数量を提示している状況から、単一の約定値段として売買を締結させることができます。

これによって、価格を上げ下げする相場操縦行為の懸念が解消され、透明性が確保できます。
この透明性の担保により、大引け（その日の最後の取引）前に、より多くの参加者が取引に加われることを東証は目指しているようです。

また、クロージング・オークション（CA）は、ロンドンや香港といった、海外の主要取引所でも導入が進んでいます。

こういった背景から、今回、クロージング・オークション（CA）の導入が決まったと思われます。

取引時間延長に伴うメリットとクロージング・オークション（CA）についてまとめてみました。

個人的に注目しているのが、取引時間中に決算発表をすることで、さらに売買が活性化するのか、という点です。

各企業が決算発表時間をどの時間にしていくのか、それによって売買はどのようになっていくのか？今後さらに注目していきたいと思います。