経済指標から読み解く経済分析 企業物価指数
10月10日に日本銀行から「企業物価指数 2024年9月(速報)」が発表されました。
この統計は、企業間同士の商品の価格の動向を調査した統計となります。
この数値を把握すれば、実際に消費者に販売される価格がどうなるのか予測が可能となります。
2024年9月の結果ですが、
・前月比0.0%
・前年比2.8%増
という結果でした。
前年よりも増加していることで、これが商品に価格転嫁できれば、企業は増収増益の可能性が高くなります。
内訳を見ますと、
国内企業物価指数のうち、「農林水産物」が前月比8.7%増、前年同月比12.40%増となっており、項目の中で一番伸長しています。
農林水産物の中で際立っていたのが、「精米・玄米」で寄与度が0.32%でした。
米不足による需給ギャップにより、米の価格が上昇していることがデータでわかります。
私が住む近隣の小売店を見ても米は品切れで、データが実感として感じられました。
一方で、「電力・都市ガス・水道」の寄与度が0.29%減となっており、電気・ガスに対する政府からの補助金が効いているのではないかと思いました。
それ以外の内訳ですと、
輸出物価指数と輸入物価指数があります。
輸出物価指数は、簡単にいうと、その名の通り、輸出する際の価格を調査した統計となります。
ちなみに価格については、円ベースと契約通貨ベース(円に換算しない方法)の2つがあります。
輸出物価指数の結果は、
円ベース、契約通貨ベースともに前月比はマイナスで、輸出企業にとっては悪い結果となりました。
目についたのが、「シリコーンといった化学製品」が寄与度0.14%減で、輸出物価指数の項目の中では一番マイナスの数値が大きい項目でした。
一方、輸入物価指数は、こちらもその名の通り、輸入する際の価格を調査した統計となります。
輸入物価指数の結果は、
円ベース、契約通貨ベースともに前月比、前年比ともにマイナスで、輸入企業にとっては仕入れの負担減となり良い結果となりました。
意外だったのは、「石油・石炭・天然ガス」の寄与度が1.13%減とエネルギー価格が落ち着いていた点でした。
ただ中東情勢が不安定なため、現在、原油価格は1バレル70ドルを超えており、イスラエルが報復によるイランのエネルギー施設攻撃といった事態になると、原油価格高騰の可能性は否定できません。
日本政府としては、そうなった事態に備えてぜひ補助金を延長する事態に備えてほしいと思います。
●まとめ
今回の結果では、農林水産物が高騰していることがわかりました。
このことから、特に小売業者にはしっかりと商品価格に価格転嫁してもらうことで物価を上昇させ(ここでは実質賃金については置いておいて・・・)、増収増益を目指し、景気上昇に貢献してもらいたいと思います。