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【経済指標分析】 深刻化する「空き家問題」と解決方法とは?

総務省は9月25日に「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」を発表しました。
1948年以来5年ごとに調査を実施しており、今回で16回目の調査となります。

この調査から空き家の問題がさらに深刻になっている状況がわかります。

空き家には大きく分けて4種類あり、
・賃貸用
・売却用
・二次的住宅(別荘や普段住んでいる家とは別にたまに寝泊まりする住宅)
・その他の住宅(上記以外の住宅)

深刻な空き家問題となっているのは「その他の住宅」のことで、いわゆる倒壊寸前の家や窓ガラスや壁が破損していて明らかに長期間にわたり放置されている住宅です。

空き家のリスクとして
・景観悪化
・建物倒壊
・放火
・悪臭の発生
・不法投棄
・害虫の発生

といったリスクがあります。
空き家を放置すると上記のリスクが発生し、近隣住民とトラブルになる可能性も出てきます。

その問題となっている「その他の住宅」=「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は今回の調査で385万6千戸と、2018年と比べ36万9千戸の増加となっています。

総務省:令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果より引用
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf

「その他の住宅」増加の原因として
・思い出のある家である、思い出の品があるため家を処分できない
・家の所有者が不明で処理ができない
・住宅用の建物が建っている土地は「住宅用地の特例」により固定資産税や都市計画税の優遇措置を受けることができるためそのまま放置している
(→そのため空き家であっても建物を残しておいたほうが得という側面がある)

といった理由が大半を占めているようです。

国も対策はしていて、空き家対策特別措置法により倒壊の恐れがある住宅を「特定空き家」に指定し、固定資産税が最大6分の1になる軽減措置の対象外にしてきました。
さらに2023年12月から「管理不全空き家」(窓や壁の一部が破損している、雑草が生い茂っている住宅)も新設され、これに指定されると固定資産税が最大6倍となります。

以上のことからできるだけ早く空き家を処理する必要がありますが、現実問題として解体費用やリフォーム費用など莫大な費用がかかるため、経済面で八方塞がりの状態の方も見受けられます。

そういった状況の中で解決の一つとして、空き家ビジネスが出てきています。
例えば空き家を処理したい所有者とビジネスをしたい起業家をマッチングするサービスがあります。
具体的には空き家をお店に改装してビジネスを展開するといったものです。

増加傾向の空き家問題を解決するには行政だけの力では困難になってきています。
先ほど取り上げた空き家ビジネスといった民間の力もフル活用し、国による幅広い支援が必要となってきていると思います。


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