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【石破首相】中国の融和政策に惑わされず、世界情勢を俯瞰する冷静さを
日本と中国が距離を縮めつつあります。
その兆候は以下の通りです。
APECが行われたペルーで石破首相が中国の習国家首席と会談をしました。
その席で、日中両国が共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」の推進を確認しました。
さらに、東京電力福島第1原子力発電所のALPS(多核種除去設備)処理水の海洋放出と、日本産水産物の輸入規制に関します9月の発表を、両国で今後、きちんと実施していくということを確認をしました。
11月19日には、日本の外務省と防衛省が8月に発生した中国軍機による領空侵犯をめぐり中国政府から再発防止に努める旨の説明を受けたと明らかにしたようです。(日経より)
続けて中国政府は11月22日、日本人が中国に入国する際の短期滞在ビザ(査証)の免除措置の再開を発表しました。
いかがでしょうか?
中国が立て続けに日本に譲歩し、融和政策を行ってきていることが見て取れるのではないでしょうか?
これは明らかに米国を意識したものであり、米国による対中強硬姿勢に対する事前の中国の対策だと感じます。
そして、トランプ氏が掲げる自国第一主義の隙をついて、日米の分断を図ろうとしているようにも見えます。
日米の連携が不安定になれば、東アジア情勢の不安定化につながり、中国には台湾を統一するチャンスが生まれます。
今後も中国は、悪い言い方をすれば、日本に「餌を与え続け」、日本との関係を強化する動きをしてくると思われます。
そうなれば、ただでさえ、石破首相は親中と思われている中で、日本も中国にすり寄っていくことになりそうです。
さらに、トランプ氏の石破首相に対する優先度は、今のところ、低い印象です。
11月7日に行った石破首相とトランプ氏との電話会談は、わずか5分でした。
たった5分で一体何を話せるというのでしょうか?
せいぜい雑談程度しか話せない時間だと思います。
そして、石破首相は、G20が行われたブラジルから帰国する途中で、トランプ氏への会談も調整していたようですが、それはトランプ氏側の都合により実現しませんでした。
その理由として、米国内法「ローガン法」に基づき大統領就任前の外交交渉は制限されているとして、トランプ氏側から「現時点ではいずれの国とも会談は行わない」との説明があったためということです。
こういった事実を見ると、今のところ、日米の距離が徐々に離れつつあるのを感じます。
これをもちろん、中国はじっと見ています。
中国はこのチャンスを見逃さないはずです。
これは日本にとって、危機的状況に陥りつつあると感じます。
石破首相には、大局観をもって世界情勢を俯瞰し、中国からの譲歩を上手に活用しながらも、米国との関係維持に努め、東アジア情勢の安定と日本の国益のために、冷静に外交を行っていただきたいと願います。