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イギリス 消費者物価指数 依然10%台為替・債券利回りへの影響は?

イギリス 消費者物価指数(CPI) 2023年3月分が、4月19日に発表されました。
結果は10.1%と、前月結果10.4%よりも低下したものの、7か月連続で10%を超える結果となりました。

イギリス国家統計局より引用

この要因として食料品の価格高騰が大きく影響しており、EU離脱による貿易障壁の復活で供給不足が続いています。

ここで、需要と供給の関係によって価格が決まる需要供給曲線をおさらいしてみます。

需要供給曲線と言いながら曲線になっていないのですが、ざっくりと説明するためなのでご容赦ください。
需要と供給が丁度マッチする価格が均衡価格となりますが、供給が減少すると横軸である数量が減少するので、供給曲線は左へシフトします。
そうすると、需要曲線との交点が左上へシフトし、その結果、均衡価格が上昇してしまいます。

今まさにこのことがイギリスで起こっており、具体的には食料品を中心に価格が高騰し、その要因は供給不足によるもので、EU離脱が大きな影響を与えています。

ここで、イギリスの経済状況を整理してみます。
まず4月18日に失業率が発表され、4月19日には消費者物価指数が発表されました。
失業率と物価には関係性があり、それを表したものがフィリップス曲線となります。
簡単に言うと、物価が高くなると失業率が低くなる現象を表したものです。
イギリスでは以下のようになっています。

時事通信社による2020年2月~2023年3月までのデータをもとに作成

フィリップス曲線は、縦軸を物価、横軸を失業率とすることで、右下がりの負の相関となるのが特徴です。
これを簡単に表現すると、先に述べた通り、物価が上がると企業の収益が上がり、その結果景気が良くなり、それに伴い失業率が減少していきます。

しかし、イギリスの場合は例外で、EU離脱により労働力不足となり失業率が改善したものの、輸出入制限による供給不足となり、現在の状況は物価が上昇し景気が悪化している状態を表すスタグフレーションに陥っています。

これを解消するために、TPP加入へと繋がりました。
しかし、この効果が出るのは当然ながらしばらく時間がかかり、引き続きイギリス経済の低迷が続きそうです。

最後に消費者物価指数の結果を受けて、マーケットはどう反応したかを見てみます。

まずポンド円の推移です。

LINE FXより引用

イギリス 消費者物価指数は日本時間15時に発表されました。
前月結果10.4%から10.1%と低下したことを受けて、発表直後に反応を見せ、ポンド高円安となりました。
これは、イギリスがインフレ抑制のためにポンド流通量を減らしているのに対し、日本は円流通量を増やしているために、ポンド>円という形でポンドの価値上昇が強まった結果と思われます。

更に、債券で最も重要であると言われる10年債利回りはどうだったのでしょうか?

Investing.comのデータより作成

物価が高止まりし、インフレ抑制のために通貨流通量を減らす動きに合わせ、利回りが更に上昇しました。

以上、4月19日の統計結果を受けて、イギリスの経済状況をまとめました。

来月5月11日(木)は、イギリス中央銀行による政策金利の発表があります。
消費者物価指数の結果から、恐らく更なる金利引き上げが強まったと思われます。


 



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