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【第14回】「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」について

こんにちは! shuhigashiです。
第14回目の投稿は、「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」について、調べたことを纏めて書いていきます。

以前の記事で、ROESGランキングで世界56位(日本勢1位)の花王から学べることについて書きましたが、その中で「外部評価がオンパレードである」点が学べることの1つであると述べました。何とその数24個。笑
ですので、今後はその外部評価を1つずつ調べながら記事に纏めていくことにしました。今回がその第8回となります。

それでは、宜しくお願いします!

1.「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」とは

環境、社会、企業統治を重視する「ESG投資」のうちE(環境)に着目した株価指数です。米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスと日本取引所グループが共同で開発し算出・公表し、TOPIX(東証株価指数)の構成銘柄を対象に、環境情報の開示状況と炭素効率性(売上高当たり炭素排出量)を考慮して、指数への組み入れ比率を決定しています。炭素排出量の少ない企業のウエイトを引き上げ、炭素排出量の多い企業のウエイトを引き下げることで、指数全体として炭素排出量の削減を目指しています。

2.「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」を調べてみる

日本取引所グループ(JPX)の公式サイトより、構成銘柄情報が取得できます。いつものようにPDFファイルのため、Excelファイルに変換してサクっと分析していきます!

会社数:1800

まずは、純粋に「GICS産業グループ」の割合を見ていきましょう。

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資本財、素材、テクノロジー・ハードウェアおよび機器という順番ですね。

次に「産業グループ・ファクター」別の「GICS産業グループ」の割合を見てみましょう。まずは「High Impact」です。

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素材が半分を占めていますね。

次に「Mid Impact」です。

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資本財が36.4%、テクノロジー・ハードウェアおよび機器が13.6%と二つ合わせて半分を占めていますね。

最後に「Low Impact」です。

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ソフトウェア・サービスが20.0%、小売りが16.0%、メディア・娯楽が14.4%で三つ合わせて半分を占めていますね。

全体では2番目だった素材ですが「High Impact」で半数を占めるようです。単に東証一部上場企業に素材の企業が多いということだけ言えるかもしれませんが、「High Impact」(つまり炭素が多い)で半数を占めるのは重要なポイントですね。

では、次に「カーボン情報の開示ステータス」について全体の開示有無の割合を見てみましょう。

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なぜか1社だけ開示情報が空白でしたが、それにしても非開示がおよそ3/4を占めているという現実が寂しいですね。ちなみに「カーボン情報の開示ステータス」については次の記載がありました。

各企業については、Trucost社が炭素排出量を十分に開示していると認めた企業と、そうでない企業に分類します。Trucost者が最大の炭素排出量カテゴリー(スコープ1と2の間)の中で、全てまたは一部を開示しているとして企業を指定した際に、各企業の開示状況も決まります。

Trucost社に十分な開示を認めて貰わないといけないみたいですね。それにしても、東証一部上場企業において、非開示とされている企業がおよそ1/4というのは寂しいですね。がんばれニホン!

では、「産業グループ・ファクター」別の「カーボン情報の開示ステータス」の割合を見てみましょう。100%積み上げ縦棒グラフで一気にお見せしますね!こちらです。

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どうでしょうか。左から炭素排出が多いファクターの順番に100%積み上げ縦棒グラフが並んでいますが、見事に開示・非開示の割合が比例していますね。炭素排出が多いファクターは開示している割合が高く、逆に炭素排出が少ないファクターは開示している割合が低いです。
でも、これはファクターの認識が正しいとも取れますよね。元々炭素排出が少ない(限りなく無い)ということであれば、企業が開示情報を出すかと言われれば、恐らく出さないですよね。

ただ、High、Midなど炭素排出が多いファクターについては、やはり非開示の企業は開示するべき(開示と認められるように努力すべき)だと思いますね。もっともっと低炭素を意識しないと、環境のためというのは当然ですが、企業価値の創造をする上ではこの辺り、ちゃんと取り組んでいかないといけないと思います。

3.どうしたら選ばれるのか

日本取引所グループ(JPX)の公式サイトより、図を引用すると次の通りです。

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なるほど。まずはTOPIX構成銘柄に入っていれば良いのですね。これは東京証券取引所第一部上場全銘柄(つまり、東証一部上場企業)ということになりますので、多くの企業にチャンスがあることがわかりますね。
で、気になるのが除外基準ですね。「Trucostの炭素効率性」と「RepRisk社のRRI指標」が鍵を握ってくるのですね。詳しく調べてみましょう。

「Trucostの炭素効率性」とは
本指標のメソドロジーにはTrucostの環境登録リサーチ・プロセスとして次の記載がありました。

1. 企業のビジネス・セグメントのマッピング:Trucostは、Trucostモデルの中で、企業のビジネス・セグメントを450以上のビジネス活動にマッピングします。このモデルは、北米産業分類システム(NAICS)に基づいていますが、一部の分野(電力セクターなど)についてはより詳細に分類されています。

2. データのモデル化プロファイルの評価:企業のビジネス・セグメントがTrucostのセクターにマッピングされ、各ビジネス・セグメントの売上高の割合が各セクターに割り振られると、Trucostは、企業のデータのモデル化プロファイルを効率的に作り出すことができます。Trucostは環境を含めたインプット/アウトプット(EEIO)モデルを使用し、企業の業務全体にわたる800以上の環境面及び業務面の指標に関するデータを評価します。これらのデータは、企業がサプライチェーンに依存している原材料から、企業が業務に使用するために購入する電力にまで及んでいます。

3. 開示情報の収集:Trucostは、年次レポート、サステナビリティ・レポート、ウェブサイト、及び公に開示されている情報ソースをチェックし、その中から環境パフォーマンス情報を収集します。サードパーティのデータセット(例えば、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)への開示情報など)もレビューします。次にTrucostでは、報告された環境パフォーマンス・データを企業、地域、及び事業活動全体にわたり比較できるように、それらのデータをベストプラクティスに対して標準化します。企業の報告エラーを修正する場合、データ管理手順を定め、セクター・スペシャリストによるデータ検証、異常値の自動検出、及び前年実績との比較などを行います。重要な指標が開示されていない場合には、Trucostはモデル化された価値を使用し、欠陥データ分野を評価します。

4. 企業に対するエンゲージメント活動:次に、Trucostは各企業に対するエンゲージメント活動を実施することにより、環境パフォーマンスを検証し、追加情報を獲得します。各企業は、環境報告サイクルのどの時点でもTrucostのアナリストに問い合わせを行い、直近のデータを提供することができます。これにより、Trucostは最新の企業情報を活用し、データの質を最大化することが可能となります。

色々書いてますが、要するに企業が出来る最低限の策としては、企業HPに「サステナビリティ」などといった環境パフォーマンス情報を開示する必要があるということですね。以前の記事でも記載しましたが花王のHPには「サステナビリティ」というダイレクトなタブが存在してますよね。そういうことだったんですね!!良いこと知りましたね!(タブだけじゃなく、中身が一番大事なんですけどね。笑)

ちなみに、本指標に関する「よくある質問(FAQ)」というのが掲載されていますが、この中で、リサーチ・プロセスに関する質問において丁寧に解説されています。日本語は読みやすいですね!!笑

「RepRisk社のRRI指標」とは
同じく本指標のメソドロジーには次の記載がありました。

環境・社会・ガバナンス・リスクに関するビジネス情報の大手プロバイダーであるRepRisk社が、構成銘柄を日次ベースで監視します。RepRisk社は、経済的な犯罪、汚職、詐欺、違法な商慣行、人権問題、労働争議、職場の安全性、壊滅的な事故、環境災害など論争の的になる問題に関して企業を分析します。このデータを用いて、日々のRepRisk指数(RRI)指標を各企業に割り当てます。各企業のRRI指標が75以上になった場合、その企業はリスクがあるとして定義されます。

まぁ、要するに普通にしていれば、このフィルターにはかからないということですね。

4.最後に

低炭素が叫ばれる現代において、企業はそれをやっていることを「ちゃんと開示する」必要があるのですね。まずは自社のHPの見直しが必要ということがわかりました。

余談ですが・・・
この類の記事を書いてきて、初めて日本語の公式サイトに巡り合いました。やはり日本語を主の言語として暮らしてきた日本人である私にとっては、日本語だと直感的でわかりやすかったです。英語はもちろん、将来的には中国語も必要と言われています。文字を読むだけであれば、現代には素晴らしいTranslatorがありますので書かれている内容のイメージはつきますし、書くことについても同様に”外国人なまり”にはなりますが気持ちは届くはずでしょう。やっぱり問題なのは聴けない、喋れない、というところでしょうか。

以前、仕事でベトナムに訪れたことがありますが、ベトナム語に関しては「hoá đơn」「taxi cho tôi」と「Tôi tên là shuhigashi.」に「Một! Hai! Ba! Vô!」だけ喋れたらイケる!という先輩の言葉を頼りに挑みましたが、見事に撃沈。笑

何を覚えさせられたかというと「領収書くれ」「タクシー呼んでくれ」「私はshuhigashiだ」「1,2,3、乾杯!(会食時に必須の発声)」だけです。笑
領収書に関しては、日本に比べて物価が安いですから、タクシーに乗った時には少額すぎるから精算するまでもないやん!ってレベルだったので貰わず、タクシーは現地の方が先に手配してくれてるし、自己紹介しても名前だけを言うわけですから笑われる。唯一、乾杯の発声だけが必要だったということがわかりました。

先輩いわく、ベトナムの方の会食の雰囲気は”昭和チック”だという話だったんですが、本当に面白かったですね。缶ビールを振って安全ピンみたいなやつで穴あけて「シャーーー」ってやって飲んだり、食べカスや飲みカスは室内ですが足元へ「ポイっ」。挙句の果てには現地の方がギターを弾き出して、何を思ったか坂本九さんの「上を向いて歩こう」を皆で歌い出すという始末。激しかったですが本当に面白かったです。
2軒目はリバーサイドのオープンな場所へ。ゆるやかな時が流れるの店内とは打って変わって、静寂なリバーサイドのベトナムの夜景を前に行きかう多くのバイクや車の警笛の音が時の流れを急がせて、不思議と私を優しく包み込むような時間が流れました。唯一の心残りとしては、出された緑色した飲み物の正体が未だに不明なことだけです。

宿泊するホテルでは英語が使えると、先輩が言うもんですから少しは安心していました。しかし、前述の通り、私、英語、聴けない、喋れない、ものですから、エレベーターで朝食会場に降り立つと目の前にウェイトレスの方が居て何か喋り掛けてくれるのですが聞き取れず、良い機会だと思った私は「pardon?」と聞き返したはずなのに、同じことを言ってくれず、そのまま席に通されるという経験をしました。発音の問題なのか、「pardon?」自体がベトナムでの英語では使われない単語なのか、はたまた実はベトナム語で喋られていたのか・・・。謎が多いです。二日酔いでもあったし。笑
ちなみに私、パクチーは好きじゃないです(-_-)

はい。
話がそれましたがこの記事までが花王における外部評価の中でも「SRIインデックスへの組み入れおよび評価」に該当するものを調べて纏めた記事でした。
次回からは外部評価の中でも「評価」に該当するものについて記事にします!まずは「CDP」です。こちらは本記事にも記載がありましたが、「Trucostの炭素効率性」にも関連するものです。どんなものか楽しみですね。


~行動は今日からはじめる!~
それでは頑張っていきましょう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上です。

Thank you!