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2022_夏

詩「2022、夏」 初出「びーぐる」57号

    • 高校の頃の詩の供養vol.2

      牛の放物線は竹下通りにナップザックを置き忘れたまま快速電車の時刻通りにカプチーノは冷める 構想三年の香草は暫く高層建築のふしだらな面を露見したのちに霧散し結界に努める油売りのため あらかた片付いた部屋に招き入れるのは通り雨を予見した君へのささやかな街道無論礼には及ばず それでもHの記号に沿うのは市ヶ谷四谷信濃町千駄ヶ谷の順番に花売りは乗車し満ちていくことの 謝意とノンアルコール通りに公約通りに植えられた樹木その一つに似ていたベル音を合成している ノコギリ波のシンセサイザーは恋

      • 高校の頃に書いた詩の供養

         パンクロック                  避けて避けて避けてえええとワタクシ自転車に乗ってカステラ頬張りアラスカどこすか小僧なかなかやりおるわ それでまあ小田急線の改札にいた木綿豆腐を盗んだ小悪党の再婚の顛末などどうでもいいのであって暑さをどうにかこうにかならないと気が狂うときが来るう 今朝の新聞にはとっくに火を放ったのであるからキャンプには線香花火しか残されていない悪く思うな 奥様お買い得ですわ奥様本当にお似合い奥様出来うる事なら跪いて豚細切れ肉を生のまま下さいお

        • 【満員御礼】下北沢「気流舎」にて詩作のワークショップをします。

          下北沢の書店、気流舎にて詩作のワークショップをします。 早稲田の喫茶店「早苗」にて今年の3月にワークショップを催しましたが、気流舎にてワークショップをしたのは昨年の12月15日以来、久しぶりの開催です。 ホームページにあるように、店内は4坪ほどの広さのため、少人数でゆっくり、じっくりと詩について話し、読み、書く、会になると思います。 10月26日の土曜日、13時30分からです。 会費は1000円+ワンドリンクオーダー制。 お申し込みは、exnqc84070@yahoo.co

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        • 街を歩く
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          最近作った短歌

          ニトログリセリン初夏にも傍証を罪には罪の表情をして 発砲音その他、やがては過疎となる果実をすべて絞って捨てる 玄米の仕草を嫌う国境に花植える人そのなかのきみ 空間の扱い方に無理がある悲しみに似たあひるのワルツ 参上!のあとに出てくるセリフさえ夕景に溶け夕景を描く ぼろ布の幼少期まで遡りトマトジュースをひとつください 魚群から外れたことを誉めそやしご覧、薔薇には薔薇の死に方 パントマイム1号と2号の愛の行方にも言葉はあった俺が壊した 愛には愛の逃げ場はあって銭湯

          最近作った短歌

          最近作った短歌

          相応の金品などと引き換えにもらった海を埋め立ててゆく サフランライス、これを言いたいいつもより慰められる「フラ」のあたりで 国王の夜泣きを憂う人たちとダーツで狙うインナーブルを 銀座から新富町に歩みゆく肥えた鼠の尾のだらしなさ 八重洲から丸ノ内まで綿菓子を配って歩きもう尽きたのだ アフタヌーンティーに沈める角砂糖、恨みつらみはございませんが 木挽町外れに残る一軒家、否、残るではなく家はただ在る ポン酢へと変化してゆく液体に期待しているしかもなかなか 谷底にあと

          最近作った短歌

          詩の創作と鑑賞講座を始めます

          4月から目黒学園カルチャースクールにて、「詩の創作と鑑賞講座」を始めます。 「詩を書いてみたい」、あるいは「これって詩なのだろうか」という思いはあっても、いざ詩を作るとなるとハードルが高くなるという方は少なくないと思います。 僕も、2013年「現代詩手帖」の新人投稿欄へ投稿した際には、自身の詩が「詩」であるという根拠も自信もありませんでした。 講座では、書くこと(創作)と、読むこと(鑑賞)の二点を丁寧にゆっくりとやってゆきたいと思います。名詩と言われている詩を読み解くことで

          詩の創作と鑑賞講座を始めます

          最近作った短歌

          〈その他〉の箱に屍体を置いて飛び立とう嘗てあなたは大名だった 商船の先に見えてきたのでやめました・ママ・国旗にも・白い・ペンキ・が 〈阿佐ヶ谷の帰り道〉からずれてゆく段々それが癖になってく 陰毛と能登湾のこと忘れるな今朝級長は欠席ですか みんなみんなラタトゥユみてえな顔をして2月10日の花火はきれい ベリーグッド高輪を待ちさまよって明日彼女は鮪を揚げる バッハありがとう志賀直哉から太宰まで瞬間、瞬間、が光に見えた 光速の海老フライには戻れないあなたがいつも原宿だ

          最近作った短歌

          漫才「読書感想文」

          甲 (舞台下手の袖に向かって)もう、ついてこないで 乙 ……。 甲 もう、あらかた火に焚べたから、ついてこないで 乙 ……。 甲 (何事もなかったように)今日はネアンデルタール人と光についての続きです 乙 ……。 甲 (気にせず)あー、やっぱり阪急塚口駅の伊丹線のカーブのことが気になりますね 乙 (小声で)カーブ……? 甲 そう来たか、そう曲がるんだ、そうやって曲がっていくんだ、あなたもわたしを捨てて曲がるんです、曲がっていかれました、曲がってゆかれましたか? 曲がってゆかれ

          漫才「読書感想文」

          最近作った短歌です。「何をお前は知っている」

          滑稽なおとこ器用にバルーンをつなぎ此処らの鳩を手招く アーケード街から左に逸れてゆく足が自由に辿り着くまで 賽の目に生姜を刻む朝は過ぎこれは前戯かキュビスム展へ 蜜と飛行機みなそれぞれに寂しくてアンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言』 私には私などなく銀座線座って手繰る後藤明生 ガリガリくんも社ではガリガリ課長なのか飲むために飲み酔うために酔う ニトログリセリンを一つ机上に配置して三半規管にあとは任せろ 羊羹は親のかたきのごと甘く恨みつらみは口の端にでる シ

          最近作った短歌です。「何をお前は知っている」

          一篇の詩を書きながら、完成するまでの工程を言語化してみよう

          まず、頭のなかに、「乳白色の闘争」という言葉が浮かんだ。この言葉に、後付けの感情が湧いてきて、「乳白色」という語句の「乳」の「nyuu」というマシマロを人差し指で押してゆくような音が良いと思った。それに比べて、「闘争」という語句の、視覚的なイメージに比べて、発音は「toso」と、朝の新宿三丁目の丸の内線の改札口をゆくサラリーマンの足取りのようにあっさりとしている、ところも良い。 次に、「三宿の火花はまだ咲いていたのか」という言葉が浮かんだ。谷底の渋谷から、246号線がアップダ

          一篇の詩を書きながら、完成するまでの工程を言語化してみよう