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旅の写真帖|建築と歴史、文化を巡る
スープカレーに入ったうずらの卵をどのタイミングで食べようか。
こんな選択肢でさえ疎ましく感じてしまうようになったなら、仕事から離れて旅に出ましょう。
ということで、2024年最後の記事は年に一度の恒例行事、友人たちとの経験値上げ旅行で訪れた、会津若松の旅日記を投稿します。
最近趣味の写真を撮る時間もあまりなかったので、ここぞとばかりにシャッターをたくさん切ったのでありました。
今年も一年いろんなお仕事をいただき、全国各地を訪問できたこと、大変楽しかったです。その反面、個人的な時間があまり取れずインプットが少ない年でもありました。
昨年から始めたnoteでのアウトプットの種が、少しずつ芽吹いてきた実感があった2024年。2025年は成果を実感できるように、インプットを増やし、それに伴うようにアウトプットの量と質を上げていきたいと思います。
ともあれ、みなさん、今年も一年お疲れ様でした。
年末は暦の関係で長いお休みとなる人も多いでしょう。ゆっくり英気を養い、来年も頑張りましょう。
1日目
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伊丹空港から福島空港へ。
一泊二日しか時間がないので、朝早い便で。
保安検査場を抜けた先のロビーで、この店舗ではめずらしく長いスタバの行列に並ぶこと10分ほど。普段は平日しか訪れないから、休日は混んでいるのかと新たな発見をし、レジに差し掛かったところで友人から声をかけられる。
コーヒーの注文をパシり、彼らにコーヒーをお届けする(笑)
最初の写真は、機内でiPhoneで撮影したこちら。
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山間部なのに勾配が緩く、畑や家のある集落が近距離で点在している、なんだか「ぽこぽこ」した地形。
山を切り拓いてこのような地形になったのか分かりませんが、見慣れない風景だったので思わず撮影しました。
奥の方に送電線のための鉄塔がポツポツ建っているのが見えますね。
上空から見ると、人間が生活するためのインフラ建築の凄さを感じられます。
数十キロに及ぶ発電所から電気を送るルートの構築。
山間部にこんなに大きな鉄塔と建てる労力や技術に改めて舌を巻いたのでした。
空港でレンタカーに乗り込み最初に訪れたのはここ、須賀川市民交流センター 「tette」
設計は石本建築事務所+畝森泰行建築設計事務所
建築の詳しい情報は、建築好きの方はご存知architecturephotoのこちらの記事でどうぞ。
印象的だったのは、グランドフロアの土地の勾配そのままの緩やかな斜面になっている床と、複数の階層が明快にではなく、なんとなくつながっていることを体感できる断面計画、そして早朝にもかかわらず、いろんな世代の市民の方々が本当に生活の一部として利用している風景でした。
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「なんとなく」つながっている空間の面白さは意識せずに体感する。
そんな設計が良いのだと設計者は考えているような気がした。(違ったらすみません)
この施設のある須賀川市は、ウルトラマンなどの特撮映像の巨匠、円谷英二の出生の地であるため、この施設にもちなんだコーナーがありました。
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カメラ越しに見ると本当にリアルに見える。
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tetteから徒歩1分もないところにある円谷英二氏の生家は、ウルトラマンなど生み出されたキャラクターグッズを販売する小さな商店になっていた。
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次に訪れたのは昔の宿場町の趣を多く残す「大内宿」
うっすらと雪が残り、時折雨がぱらつく天気でしたが、雨音のノイズが観光客たちの雑音を消して、古い街並みの姿を際立たせていた。
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名物?「ねぎそば」
ねぎを箸代わりにしてそばをいただくようだが、食べにくそうだった(笑)
お腹も満たされ、次に向かったのはさざえ堂と白虎隊ゆかりの地。
二重螺旋で構成された塔の空間には学生の時から気になっていたので、実際に体感することができて感激した。
眼前にあった土産物屋の、人目につかなさそうな片隅に「図面あり〼」の文字を発見したのは、さざえ堂のことをよほど意識していたからだろうか。
即購入した。
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上りと下りでは同じルートを通らない。
それではこの斜めの窓は上りのルートのもの?それとも下りの?
あれ、どっちだろう?わからなくなってくる。
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上りのスロープから向こう側にいくと下りのスロープに切り替わる。
段に見えているところはスロープに設けられた滑り止めのための木材。さざえ堂には階段はなく、全てスロープでできている
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初日の外回りはここまで。
少々早い時間だったが、宿に移動する。
今宵の宿は「向瀧」
"むかいだき"と読みます。
開湯1300余年の東山温泉にある老舗旅館で、国の登録有形文化財第一号に指定された建築物。
おっさん旅では、それぞれで個室を取るのではなく、全員で夜な夜な飲んで語ってそのまま寝られるよう、広い部屋を探すのですが、この宿の一番大きな部屋は、天皇皇后が宿泊されたことのある"特別室"でした。
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一気に昔にタイムスリップする。
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大理石を彫って作られた洗面台
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僕が買ったのはソフビのダダ。グラフィカルだ。
奥の大きな赤べこは、展示品を店のおばちゃんに交渉してゲットした友人のもの。
2日目
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この日のスタートは猪苗代湖の風景から。
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水の色と空の色、静かな湖面が心静かにしてくれる。
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出航時間待ちができないせっかちメンバーがいるので乗船はおあずけに(笑)
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鳥の写真をできる限り低いアングルで撮ろうとしている写真家のK氏
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やはり靄がつくってくれる幻想的な風景。
晴れてたらこんな事象にはお目にかかれない。
猪苗代湖の次に訪れたのは「はじまりの美術館」。
美術館の成り立ちはこちらに詳しいので興味のある方はどうぞ。
設計は関西に居を構えながらも全国的な認知度がある建築家の竹原義二氏。
木の扱いにおいては右に出る人はどれくらいいるだろう?と悩むほど、木の使い方が素敵な建築家。
訪れた日に開催されていた展覧会は「きになる⇄ひょうげん2024」でした。
障害を持った人たちが、日常的に気になったものを純度100%で表現した作品が多く展示されていました。
訪問者はそれら作品の中からもっとも「気になった」ものにコメントを記して選ぶ企画になっていて、鑑賞者の感性が作家の意図とどう交錯しているのか、それも見て楽しめるという良い展覧会でした。
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次に訪れたのは「HOTELLI aalto」
勉強不足でこの宿のことは知らなかったし、記事を書いている今もさほどの知識はないので写真だけ。
見学は共用部だけのOKだったので、客室やレストランなどは見れなかったが、共用部のデザインだけ見ればわかる、微に入り細に入り計算されたディテールと、どこにいても落ち着きが感じられる空間デザインに脱帽した。
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山荘を後にして、さほど走ることなく到着したのは五色沼。
時間の関係で全部の色(沼)を見ることはできなかったが、湖畔を歩きながら見られる水辺の風景はすこぶる綺麗だった。
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風景を第一に考えた設計だなと、手すりがないところに気概を感じた。
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五色沼を後にして、小一時間移動。
到着したのは「高柴デコ屋敷」
デコ屋敷??デコトラみたいな派手な装飾をされた家があるの?
と民藝品を物色しに行くために検索をした本人の頭にもハテナが出たようで、到着するまで前情報なしで突撃した。
到着してわかったのは、「デコ」とは木偶の読み方が転じた言葉で、「屋敷」は集落を表すことでした。
なので「デコ屋敷」とは「人形を作る人たちの集落」という意味なのでした。
木の人形を型とする張子が発展したこともあり、いくつか残る製作の家にはそれぞれ個性のある張子が展示・販売されていました。
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デコ屋敷でおじさんたちはなかなかの散財をして、そろそろ飛行機の時間だと空港に向かいます。
道中で喜多方ラーメンは食べようと、車を飛ばしました。
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丼を埋め尽くすチャーシューの味の濃さで麺のすすりが捗る。
無事ラーメンにありつき、レンタカーを返して楽しい旅は終わりを迎えました。
年に一度の濃厚濃密な時間。
何かを表現すること、つくることを生業にする友人たちと過ごすこの時間は変え難い価値があるなと毎回思います。
あと何回こんな旅ができるだろう?
歳を重ねてきた最近、こんな話題で盛り上がるようになってしまった。
気持ちだけは若いけど体は老いてくるんだから、みんな健康には気をつけて、来年もまた旅をしよう。
それでは良いお年を!
来年も宜しくお願いいたします。
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