ビジョンとミッションの違いや定義、有名企業の例など
スタートアップにせよ、スモールベンチャーにせよ、非営利企業にせよ、会社経営において企業文化・カルチャーなどは早い段階で決めておくべきということはよく言われます。
自分も新しい法人格で新しい事業を始めるにあたって、MissionやCore Valuesなど、単語としては知っている気でいたけど実はそれぞれが具体的にどういうStatementであるべきかといった詳細まで理解できていなかったのに(恥ずかしながら)気づきました。
今回はVisionとMissionについて、自分なりにある程度咀嚼して理解できるレベルまで調べたことをまとめてみました。
尚、あくまで自分が調べた中で府に落ちた理解の仕方であり、これが正解で他が間違っているといった主張をするつもりは全くありません。
VisionとMissionの違いとそれぞれの定義
今回ビジョンとミッションの違いやそれらの定義について調べている中で、以下のブログが非常に役立ちました。
企業のDXを専門に大学で教鞭をとったりコンサルティングをしている Alessio Bresciani という方のブログ(英語)です。
ここではMission statement、Vision statementをそれぞれ以下のように定義されています。
Mission statement:
Outlines the organisation’s targeted, operational and strategic intent, through which actions for today can be given context, urgency and meaning.
ミッションは「組織の目標、業務上および戦略上の意図を表現し、それによって今日(いま)の行動に文脈、緊急性および意味を与えることができるもの」。
Vision statement:
Provides a picture of an organisation’s preferred future in order to give its people an enduring, deep and inspiring purpose.
ビジョンは「組織の人々に永続的で深い目的意識を与えるために、組織の望ましい将来像を提供するもの」。
ちょっとカタい文章なのでわかったようでわからない感じもするかと思うので、ブログの中にある両者の比較表の中でも特に個人的に「なるほど」と思った点を自分なりの言葉で解説します。(ちなみにブログ内の比較表は非常に納得感があるので必見です。)
* ミッションはある程度具体的な現在 or 近未来の企業活動を指し、ビジョンは未来の(より良い)イメージを連想させる
* ミッションは企業が誰に(Who)、何を(What)、どう(How)提供するかというStatementであるのに対し、ビジョンはなぜ(Why)に焦点をあてたStatement
* ミッションは何をしているか(doing)、ミッションはどういう未来をみているか(seeing)
* ビジョンは目的地や目標地点、ミッションはコンパス
かなり簡略化すると、どんな未来(Vision)を目指して何を行うのか(Mission)といった感じで個人的には理解しました。
Why, How, WhatはSimon SinekのTEDトークで有名なゴールデンサークルにも通じる部分があるように思います。
有名なグローバル企業のVision、Mission、そしてPurpose
今回実際のグローバル企業を例に調べる中で、ミッションは比較的探しやすいのですが、ビジョンが載っていない会社が多くありました。確かに考えてみると、企業の活動に直結する、わかりやすいのがミッションで、ビジョンはやや抽象度が高く設定がしにくいという背景があるように思います。
また、企業によってはPurposeという単語で企業の存在意義を定義しているところもあります。もしかしたらVisionよりもこちらのPurposeの方がこれからは主流になるのかもしれません。
Mission:
to organize the world’s information and make it universally accessible and useful.
Microsoft
Mission:
to empower every person and every organization on the planet to achieve more.
Uber
Mission:
We ignite opportunity by setting the world in motion.
Uberの以前のMission statementは to bring transportation—for everyone, everywhere. だったようです。
Tesla
Mission:
to accelerate the world’s transition to sustainable energy.
Amazon
Mission:
to be Earth's most customer-centric company.
https://www.amazon.jobs/en/working/working-amazon
スターバックス
Mission:
To inspire and nurture the human spirit – one person, one cup and one neighborhood at a time.
Mission:
bring the world closer together
Mission:
to give everyone the power to create and share ideas and information instantly without barriers.
ナイキ
Mission:
Bring inspiration and innovation to every athlete in the world
Purpose:
to unite the world through sport to create a healthy planet, active communities and an equal playing field for all.
ディズニー
Mission:
to entertain, inform and inspire people around the globe through the power of unparalleled storytelling, reflecting the iconic brands, creative minds and innovative technologies that make ours the world’s premier entertainment company.
Wikimedia Foundation
Mission:
To empower and engage people around the world to collect and develop educational content under a free license or in the public domain, and to disseminate it effectively and globally.
コカコーラ
Purpose:
Refresh the world. Make a difference.
Vision:
to craft the brands and choice of drinks that people love, to refresh them in body & spirit. And done in ways that create a more sustainable business and better shared future that makes a difference in people’s lives, communities and our planet.
Airbnb
Purpose:
Creating a world where Anyone can Belong Anywhere
Belong Anywhere だけで語られる場合もあります。
Sony
Purpose:
クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。
個人的な感想
企業にとってどういった形でどんな活動を行うのかという、いわば大義名分として理解しやすいミッションは、例えやや抽象的になったとしても確実に設定すべきStatementのように思います。
Missionという位置付けではなくてPurposeでも良さそうです。
意外と大企業でも公式サイトにビジョンが載っていない会社も多くあったので、Visionの要素を少し含めたMissionやPurposeで十分なのかもしれません。例えば、◯◯のような世の中にするために、◯◯をする、みたいな。
こういったStatementはブランディングという意味合いでの対外的な発信という側面以外に、その会社に関わる人々のモチベーションや存在意義という内的なメッセージという観点からも設定が大事だということは言うまでもありません。