運動神経ゼロの僕が筋トレを続けている訳
イラストレーターの浦野周平です。
僕の背は高い(183cm)が、その見た目に反して運動神経はおそろしく低い。「運動“無”神経界のサラブレッド」と言ってもいい。
初めてやったキャッチボールも、父が熱血指導系の本にでも影響を受けたのかわからないが、思いっきりストレートを投げられ、秒で嫌いになった。
僕の『ぱっと見の印象』のせいで、今まで入った運動部では、皆の「おっ!」という期待の眼差しが「なんだよ…」という落胆の表情に変わるのを何度も見てきた。
中学、高校とバスケ部に入ったのも、バスケットシューズに興味があったからというだけの不純な動機だったので、当然上手くなるはずもなかった。部活を辞めたのちに漫画『スラムダンク』に出会い、やっと「楽しそう…」と思ったものの、時すでに遅し。
美術系の大学に入り、やっと運動から解放されるという僕の期待に反して、必修授業にまさかの『体育』の文字があった。「美大目指すような文化系の人は、さぞかし運動神経もないだろう」などと勝手かつ失礼な想像で油断していた僕だったが、いざ授業を受けてみるとみなさん運動できるできる。いかに自分がダメなほうの『サラブレッド』なのかを思い知らされた。
そんな学生時代を送った僕が今、ハマっているものがある。
『運動』だ(早くも矛盾しているが)。週に3〜5日は筋トレをしている。
「人生一度くらいははヒョロヒョロから脱出したい」と思っていた僕だったが、イラストレーターはご存知のとおり、座り仕事がメイン。引きこもりと言われかねないほど動かない職業だ。運動しない限りは筋肉はつかない。
しかし僕は気づいちゃったのである。「筋トレに運動神経は(ほぼ)必要ない」ということに。
『持ち上げる』『引く』『しゃがんで立つ』などが筋トレの基本。一方僕の苦手な『走る』『投げる』『捕る』『泳ぐ』など到底人間技とは思えない動作はそこにはなかったのである。
それに気づいた瞬間、「僕にも運動することを許された」という気分になった。いや、だれも禁止していたわけではないけど、ホントそんな気分だった。
それ以来、筋肉系YouTubeを漁り、筋トレ道具を買い、ジムを契約し、きちんとしたトレーニングは6年くらい続いている。
イラストレーターは長く続けられそうな仕事のイメージの半面、動かないという部分で結構しんどいところがある。世の中のクリエーターが細身(もしくは太い)な人が多いところもそれが理由だろう。…多分。
そんな僕は今、目指していることがある。「筋肉系イラストレーター」という肩書きだ。いや、別に筋肉を描きたいわけではなくて、細いと思われているイラストレーターが、打ち合わせに現れ「デカい!」と思われたら面白いのではないかと。絵を覚えてもらえなくても「あぁ、あのデカいイラストレーターね」と覚えてもらえればいい。理想はムキムキ状態の時の亀仙人のポジションだ。あんな老後を送るイラストレーターになりたい。
そんなどうでもいい夢想をしている僕の身体はまだまだ細い。
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