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私たちはどう生きるか-入社6年目の若手社員と、社会人20年目のベテランが考える-

本日お話を伺うのは、シュハリのインターン卒業生の梅澤さん。梅澤さんは現在、株式会社商船三井でアセット管理の仕事をしています。まさにこれから戦力として活躍していく入社6年目のリアルな声を、社会人20年目のベテラン河合が伺いました。


■やりがいを感じる一方で抱く「明確な目標設定の難しさ」

梅澤さんがシュハリでインターンをしていたのは6年前。当時、東京工業大学の大学院生として、エネルギー系の研究をしていた梅澤さんは、電気・ガスなどのエネルギー系の企業を始め、商社や海運会社などに就職先の的を絞っていたそうです。
その中で特に、OB訪問や説明会を通して社員の人柄に惹かれ、商船三井への入社を決意されました。最初は、主に開発途上国に電力を届ける発電船の仕事から始まり、船の運航管理の部門を経て、現在はアセット管理の仕事をしています。

現在の仕事は、財務・ファイナンスの知識など、新しいことが学べる部門でやりがいがあると言います。船という規模の大きな商材を扱う仕事には達成感があり、周囲とコミュニケーションを取りながらプロジェクトを前に進めていくことには面白さを感じるそうです。

しかし一方で、「このままでいいのだろうか…」という明確な目標設定の難しさを感じるという梅澤さん。特に、ベンチャーに就職したり、起業をしたりした同世代の友人と会うと、そういった焦りや不安を強く感じると言います。彼らと何を比較して不安を感じるのか、という問いに対して、梅澤さんはこう答えました。
「スキルや経験という面では、特に引け目を感じることはありません。今の会社でも貴重な経験を積めている実感はある。ただ、彼らのように明確な未来が描けないんです…」
例えば起業をした友人は、「5年後までにこれをする、10年後にはこうなっていたい」という明確なマイルストーンを描き、それをしっかりと言語化できているそう。一方で梅澤さんはというと、「管理職を目指すことに悩むときがある。5年後、10年後にこれをしたい、といった明確な目標が見つかっていなくて …」

こういった若手社員は梅澤さんに限らず多いのではないでしょうか。大企業に入り、管理職になり、昇進を重ねていくことが成功とされていた時代と違い、現代は選択肢があまりにも多く、何が正解なのかが分かりづらい時代と言えます。“自分らしく”という言葉が一人歩きする一方で、“自分らしさ”とはいったい何なのか、自分は何をしたいのか、悩む若手が多いのは、そのような時代背景が大きく影響しているのではないでしょうか。

■会社員のキャリアを“運”任せにしない

「これからどういうキャリアを積んでいけばいいのか…」キャリア迷子に陥りやすい背景には、大きな組織の一員である、ということも関係しているかと思います。希望する部門に配属されるとは限らない、上司やチームメンバーを自ら選ぶことも難しいなど、会社員のキャリアというのは、どうしても“運”任せになりがちな部分があります。 そんな中で、梅澤さんからヒントになるお話がありました。

「例えば研修一つとっても、“頑張る人”と“頑張らない人”がいると思うんです。“頑張る人”というのは、何事も面白がって取り組むことができる。そういった姿勢というのは、必ず誰かが見ている。実はそれに気づいたのは入社3年目頃のことでした。あまりやりたくないな、と思う仕事があって…でもそれを全力で取り組んでみたんです。 そしたら、周りから評価してもらえた。そして、実際にやってみたらその仕事の面白さも分かってきた。どんなに小さな仕事でも、面白さを感じられない仕事でも、言われたことをきちんとやる、一生懸命やる、当たり前のことですが、それが仕事を進める上ですごく大切だな、と感じています。」

梅澤さんがこれまで3つもの部門を経験し、現在、希望する部門で働けているのも、こういった頑張る姿勢を崩さず、地道に努力してきた結果なのではないでしょうか。自分のキャリアを“運”任せにするのではなく、自分自身でつかみ取るためには、仕事に向き合う“姿勢”が何より大事、改めて大切なことに気づかされました。

■私たち大人世代がやるべき3つのこと

そして、悩める若手世代に対して、私たち大人世代ができることはないのでしょうか。
梅澤さんからは、3つのリクエストがありました。
・自分たち世代の意見に耳を傾けてくれること
・常に成長できる環境を与えてくれること
・大人世代(管理職)自身が仕事を楽しんでいること

どれも当然のことで、「え、そんな簡単なことでいいんですか!?」と思う一方、改めて自分自身に問いました。
・私は、本当に若い世代の意見に耳を傾けているだろうか。耳を傾けるふりをしながら、自分の過去の武勇伝を鼻高々に語っていないだろうか。
・一人一人の成長の度合いやライフステージに応じて、その時々で最適な“成長できる環境”を彼らに提供できているだろうか。
・そして何より、自分自身が仕事を楽しめているだろうか…?

「あんな大人にはなりたくない」そんな気持ちを抱かせてしまうことこそが、若い世代が「未来を描けない」何よりもの原因ではないかと、身が引き締まる思いがしました。

■今の状況を漢字一文字で表すと?

「今の状況を漢字一文字で表すと?」という問いに、梅澤さんは「考」える、と答えてくれました。入社間もない頃はすべてが新鮮で、とにかくがむしゃらに動いていた、しかし仕事にも慣れてきた今は、ふと立ち止まり「このままでいいのか、これからどう生きていくのか…」と考えている、と。

まさにこれからのことを“考”えている若手世代に、私たち大人世代ができること、それは、「お手本」とまではいかないけれど、「あんな大人になるのもいいな」と思ってもらえるように、私たち自身が仕事を、そして今の時代で生きることを、もっと楽しむことなのかもしれません。

■最後に、現インターン生からのインタビュー

Q: 学生時代にやっておいた方が良いことはありますか?

梅澤さん:社会人とたくさん接しておくと良いと思います。やはり勉強と仕事は全く違います。ですので、社会人が普段何を考えているのか、学生のうちは純粋だからこそ、社会人の価値観に触れておくのは非常に重要だと思います。私もシュハリで1年間のインターンを経験したことで、社会人になるための準備ができたと思っています。

■感想(現インターン生)

石村:これまでインターン卒業生たちの島崎さんと梅澤さんのお二方のお話を聞き、「仕事に楽しみを感じるとき」というのは、「自身が成長できたとき」なのではないかということに気づきました。自分自身に置き換えて考えてみても、新たな知識を得られたとき、何かできるようになったとき、そんな自身が成長できたときに仕事の楽しさを感じていたことに気づきました。インターンは、そんな成長ができる貴重な機会であることを実感しました。
 このような“成長機会のある環境”が悩める若手社員を救うカギになるのではないでしょうか。大企業であるほど、抱えている社員数も多いため、すべての人に成長する機会を提供することに難しさはあると思います。その課題を乗り越える術を模索していくことが大切ではないかと感じました。

大嶋:今回、インタビューを拝見して、待っていても状況は好転しないということ、そして、 自ら主体性を持って積極的に仕事に関わることの重要さについて、改めて考える機会となりました。梅澤さんもおっしゃっていた通り、大きな組織に限らず社会で働くということは、必ずしも明確な目標を持って、自分の思い描くキャリアを順調に築けるわけではない。仕事にやりがいを見出して楽しむためには、自らの主体性を持って積極的に取り組む必要がある一方で、会社に求められることで成果や結果を出していかなくてはならない。それは一種の矛盾やジレンマではないか感じました。社会で働く以上は、その二点の折り合いを、どう自分の中でつけていけるかにかかっているのかもしれません。社会人になる前に、このような気づきが得られたのは非常に有意義でした。